企業のコストやケアマネをはじめとする従業員の業務を削減するため、訪問介護業界でも広まっているのが、ITを取り入れたペーパーレス化です。
今回は、訪問介護のペーパーレス化についてメリットや導入方法を解説します。
訪問介護の実施記録を電子化したい、ICTシステムを導入したいと考えている方は参考にしてみてください。
厚生労働省も推進するペーパーレス化
厚生労働省では、1999年から行政事務のペーパーレス化に取り組んでおり、内部事務の通知や情報共有文書からペーパーレスを導入し、徐々に申請や承認に関わる書類も変更していきました。
一般企業においても請求書などの電子保存の義務付けなど、対応が進んでいます。
厚生労働省は介護の分野においても、書類における自治体ごとの差異をなくし、業務の効率化を図ることを目指しています。
必要書類を持参して提出するのではなく、PDFやメールで手続きするなど、直接赴かなくても良い方法を取り入れたいという考えもあるようです。
介護事業所の一部では、IT技術を活用したコミュニケーションであるICTを積極的に導入し、行政への報告情報のデータベース化、法人番号と事業所番号の紐付けなどを厚生労働省に要請しています。
令和4年の介護労働安定センターによる調査では半数以上の介護事業者が介護記録にICT機器を利用していると回答していました。
出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和4年度『介護労働実態調査』結果の概要について」より
ペーパーレス化による業務時間の軽減
ペーパーレス化によるメリットのひとつは、業務時間の削減が期待できることです。
ペーパーレスを導入することで、決められた書式に記載する必要がなくなり、事業所でしかできなかったデスクワークが、自宅や外出先でも可能になります。
また、介護記録を、パソコンだけではなくスマホで管理できるようになれば、業務の合間に事業所へ立ち寄らなくても働けるようになり、直行直帰が可能になります。
結果的に従業員の移動時間が減少し、従業員の満足度アップにもつながるでしょう。
また、記録や持ち運びという点だけでなく、チェックが効率的に行えるようになるというのもメリットです。書類の種類や利用する機器などによっては、データをチェックする機能があったりと、これまで人の目で確認していた時間がかなり削減できるのです。
情報共有や整理が簡単
訪問介護に関わる書類は多岐に渡ります。
また、関連事業者も多く、情報のやり取りが頻繁に行われます。
まだ紙面やFAXでの情報共有が主流の事業所も多いですが、利用者情報やサービスの記録などをシステムなどで管理している事業所も増えてきており、ペーパーレス化に対応しなくてはならない場面もあります。
デジタルデータは、メール、各種システム・アプリのツールなど、連携事業所やスタッフ間で連携がしやすいのが特徴です。離れていても、リアルタイムで情報共有でき、場所や時間を選ばず時短につながります。
また、必要な情報をすぐに取り出せるというのも利点です。データのファイル名をルールに沿って設定しておけば、ファイル名を検索するだけですばやく情報を取り出すことができます。紙の場合、大量のファイルから探すということもよくありますよね。そうした作業も不要になります。
保管場所が不要
訪問介護事業所では、紙媒体の保管スペースが問題視されています。
書類がびっしりと綴じられたファイルを、事業所の棚やデスク周りいっぱいに収納していたり、ひとつの部屋を保管庫として使用しているケースもあるのではないでしょうか。
訪問介護の書類は長期保管が必要なものもあり、大量の紙の保管スペースを設けることになります。
ペーパーレス化を実現することで、書類の保管スペースだけではなく、書類をまとめるために必要な備品を管理するスペースも不要となります。
広くなった事業所の空間を有効活用することで、従業員の働きやすさにもつながります。
訪問介護でペーパーレスを実現するには
訪問介護でペーパーレスを導入するには、一定レベルのIT知識が必要だと思われがちです。ヘルパーの年齢層が高い事業所も多く、そのため導入に後ろ向きというケースもあります。
訪問介護事業所でペーパーレス導入を躊躇する理由
■ヘルパーの年齢層が高くシステムやアプリはハードルが高い
■初期費用や維持費などが見合わない
導入を見送っている事業所は、こうした理由であることがほとんどです。
しかし、最近は初心者でも取り入れやすいシステムも開発され、多くの事業所で活用されるようになってきています。
ひとつは、Caps(キャプス)の提供する「テレッサmobile」です。「テレッサmobile」は、LINEを活用しスマホで訪問介護の記録が報告できるシステムです。
実施記録の報告がメインのシステムですが、導入のためにスタッフが新たにアプリをインストールするなどの必要はなく、日常的に使っているスマホにLINEアプリが入っていれば、そのまま使用できます。
シンプルな機能なので、ITに苦手意識のある人や高齢の方でも問題なく操作できますし、記録用紙との併用も可能なので、全員すぐにペーパーレスにするのは難しい場合でもスムーズに移行できるでしょう。
また、月額費用も1,980円~と、低額なのも安心です。紙の記録用紙を購入する費用と同等の費用で導入が可能となります。
ペーパーレス化は、特定事業所加算の取得にも有効です。業務効率はもちろん、安定した事業所運営にも今後重要なポイントとなってくるでしょう。
まとめ
訪問介護事業所は、多岐にわたる業務があり、それぞれに多くの情報が必要となります。サ責の方は毎日大量の紙と闘っておられることでしょう。
ペーパーレス化を進め、業務時間の削減やリアルタイムの情報共有を行うことで、サ責の方はもちろん、スタッフの負担減少につながります。
ペーパーレスを通じて負担軽減を実現させ、より良い介護サービスの提供を目指していきたいですね。
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5年にわたり祖母の介護を経験。その経験を元に、介護の世界へ。
現在はライターとして介護の記事を中心に執筆中。
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