国の働き方改革や新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、さまざまな業種でテレワークの導入が始まりました。
しかし接客や介護を伴う業種や工場での作業が必要な製造業では、なかなか事例が少ないのが現実です。
そこで今回は、訪問介護事業所のテレワークの取り組み事例やメリット・デメリット、どんな環境整備が必要なのかなどを紹介します。
訪問介護事業所のテレワークの取り組み
そもそもテレワークとは、情報通信技術(ICT)を駆使して時間や場所を自由に使いながら働くことです。
そのためテレワークを導入する企業というと、デスクワークが中心のIT企業や働き方が自由な外資系企業などをイメージする人もいるでしょう。
それでは、訪問介護事業所でテレワークを導入している事例はあるのでしょうか?
結論からいえば、訪問介護事業所でのテレワーク成功事例はたくさんあります。
介護の現場にいるヘルパーさんが、介護をテレワークで行うのは無理ですが、事業所内でシフト調整や支援経過などの記録をしているスタッフなどはテレワークが可能です。
介護事業所向けのソフトを使いデータをクラウド管理することで、自宅のパソコンからも操作できるようになります。
ヘルパーさんでも可能なテレワークとして、直行直帰で訪問先に行けるシステムを構築したり、介護記録を電子化したりすることで極力事業所に行かなくても良いような取り組みをしている企業もあるようです。
テレワーク活用のメリット
ここからは、介護事業所でのテレワーク活用のメリットについて考えていきましょう。
感染予防対策につながる
コロナ禍では、密な環境・人との接触・飛沫などが感染リスクを高めます。
そのため、ヘルパーさんが直行直帰で訪問先に行けるようなシステムを構築すれば、事業所に人が集まるのを防ぐだけでなく、ヘルパーさんへの感染リスクも軽減できるでしょう。
また、事業所を行き来するのにバスや電車など公共交通機関を使っているとすれば、使う頻度が少なくなるため、感染リスク軽減につながるはずです。
ヘルパーさんへの感染リスクが軽減できれば、利用者へのリスクも軽減できるため、事業所のテレワーク導入は、訪問介護事業所に関わるすべての人にとって、とても有益といえます。
多様な人材が確保できる
子育てや高齢者の親の介助などが必要なために、思うように仕事ができない人もいるでしょう。
また通勤時間が長いことやさまざまな要因で、「働きたいけど働けない」ジレンマを抱えて、退職せざるを得ない人もいます。
テレワークを導入すれば、通勤時間の削減や柔軟な働き方ができるはずです。
また、主な仕事を家でも行えるようになるため、退職せず仕事を続けられると考える人も増えるでしょう。
そうすれば、多様な人材の確保につながります。
オンラインで業務効率が上がる
テレワークを導入するには、現在行っている業務をオンライン化する必要があります。
オンライン化できれば、不要な業務を見つけられたりペーパーレス化が進んだりするでしょう。
また、スタッフ間や事業所責任者がオンライン上で情報共有できるようになるため、困っていることや相談したいことなどをリアルタイムで確認できます。
オンライン化すれば、事業所まで行く必要がなくなったり、少し手が空いている時間に仕事ができたりなど、業務効率アップにつながるはずです。
テレワーク活用のデメリット
次にテレワーク活用のデメリットについて考えていきましょう。
対応できる業務に限りがある
当たり前のことですが、利用者へのケア業務はテレワークできません。
訪問介護事業所でのテレワークでは、対応できる業務に限りがあります。
セキュリティ管理に注意が必要
介護サービスでは、利用者の個人情報やサービス実施記録などさまざまな重要な情報を保管し、情報をもとにサービスを提供しています。
テレワーク導入で、これらの重要な情報をクラウド管理すると、情報漏洩や紛失のリスクが高まるのです。
オンライン化する場合は、セキュリティ対策を万全にしてください。
テレワーク活用に求められる環境整備とは
テレワークの定着や促進のために、国や自治体ではテレワーク促進助成金を創設しています。
こういったものを有効活用して環境整備すると良いでしょう。
最後に、訪問介護事業所でテレワークを活用するには、どういった環境整備が必要なのかを紹介します。
テレワークと現場対応の業務を切り分ける
まずは、現在どういった業務があるのかをスタッフ間で出し合いましょう。
そしてその中から、在宅勤務でできることと現場対応が必要なものとに分類します。
そうすると、テレワークを導入しやすくなるだけでなく、不要な業務の削減にもつながるでしょう。
電子化ツールなどを活用する
たとえば、介護記録は基本的に、ペーパーにスタッフが記入しているため、介護記録の記入や提出のために事業所に立ち寄る必要があり、スタッフの負担となっているケースがあります。
業務時間中に作業を終わらせようと思えば、介護サービスの時間を削減する必要があったり残業しなければならなかったりするでしょう。
介護記録を電子化してしまえば、次の訪問先に行く前にスマホやタブレットなどから入力できます。
そうすれば時間効率がアップし、余った時間をサービス向上につなげられるでしょう。
残業が減れば、スタッフのワークライフバランスも整います。
この他にも、ビデオ会議ツールや請求ソフトなどさまざまな電子ツールがあるので、取り入れられる部分から始めてみるとテレワークへと移行しやすいでしょう。
テレワークにおすすめのアプリ
それでは、テレワークにおすすめのアプリをいくつかご紹介します。
先に述べたように、介護事業所でテレワークできる部分はケアプラン作成やシフト管理など、基本的に事業所内で行う業務のみとなります。
しかし、事業所内で行う業務を自宅などで行えるようになったとしても、ヘルパーさんからの報告が紙で上がってくる場合、紙を受け取る必要があるため、結局は事業所に出向かなくてはならないということになります。
つまり、ヘルパーさんの報告を紙からデータに変える必要があるのです。
介護記録をデータで扱うようになると、報告はリアルタイムで、どこにいても送信・確認することができるようになるため、ヘルパーさんは直行直帰ができ、事業所内のスタッフも自宅等でのテレワークが可能になります。
Colibri(コリブリ)
Colibri合同会社がサービスを提供する「コリブリ」は、計画書の作成・シフト・記録までを一貫して管理できるアプリです。
シフトとケア内容に紐づく仕組みで、最小の労力でケア計画が作成できるのがポイント。
大変なケア計画も、日々の記録内容から自動でできあがってくれるという、サ責さんは感涙もののアプリです♪
テレッサmobile(テレッサモバイル)
介護事業所向け通販「キャプス」と、東京都内に複数の事業所を持つわかばグループのグループ会社「ケアバンクシステムズ」が共同で開発した「テレッサmobile」は、年齢問わず多くの人が利用しているLINEを使ったアプリです。
介護記録販売大手として、全国に顧客をもつキャプスが提供するアプリは、記録内容の安心感はもちろん、記録に特化したシンプルな機能と低価格を実現しています。
利用中の介護ソフトやシステムと併用できるので導入のハードルも低いアプリです♪
まとめ
訪問介護事業所はテレワーク導入できないと思い込んでいませんか?
業務を見直していくと、意外とテレワークで処理できるものがあります。
セキュリティ対策を行った上で、作業効率につながるアプリやソフトを少しずつ導入していくと良いでしょう。
また、テレワーク活用の好事例集や仕事例などをチェックして、自分の事業所で取り入れられるものがないか確認するのもおすすめです。
スタッフはもちろん、利用者にも喜んでもらえるようなテレワークを導入・構築できると良いですね。
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5年にわたり祖母の介護を経験。その経験を元に、介護の世界へ。
現在はライターとして介護の記事を中心に執筆中。
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