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訪問介護の特定事業所加算について解説!算定要件を知っておこう

令和3年度の介護報酬改定により、従来の特定事業所加算Ⅰ~Ⅳに加えて、特定事業所加算Ⅴが、新たな区分として設けられることになりました。

そこでこの記事では、特定事業所加算Ⅰ~Ⅴの加算算定率や要件について、厚生労働省の掲げる規定に基づいて、詳しく解説していきます。

訪問介護の特定事業所加算は5種類

特定事業所加算とは、質の高い介護サービスを提供する事業所に対して、一定の評価をする加算のことです。

特に、専門性が高い人員を配置したり、要介護度の高い利用者にも積極的な介護サービスを提供したりしている事業を評価するものです。

特定事業所加算は地域における介護サービスの向上を目的としており、国が定めている一定の条件を満たしていること、かつ申請を行うことで適用されます。

特定事業所加算は、Ⅰ~Ⅳの4種類でしたが、これにプラスして令和3年度より新しく特定事業所加算Ⅴが新設され、合計5種類となりました。

 

次の項から、特定事業所加算Ⅰ~Ⅴの加算割合や、体制要件および人材要件、重度障害者に対応する重度者要件について、詳しく説明していきましょう。

特定事業所加算Iの要件

特定事業所加算Ⅰは、所定単位数が20%と最も高いぶん、要件も最も厳しくなります。

特定事業所加算Ⅰの取得には、以下のすべての要件を満たさなければなりません。

体制要件

■すべての訪問介護員等に対して、訪問介護員ごとに研修計画を作成。当該計画に従って研修を実施、もしくは実施を予定していること

■利用者に関する情報、もしくはサービス提供時の留意事項の伝達、または当該指定訪問介護事業所における、訪問介護員等の技術指導が目的の会議を、定期的に開催すること。会議は、テレビ電話等のICTの活用も可。

■サービス提供責任者は、当該利用者を担当している訪問介護員等に対して、当該利用者に関する情報およびサービス提供時の留意事項を、文書等の確実な方法で伝達したうえで、担当員にサービスを開始させること。また、サービス提供終了後には、担当員等より適宜報告を受けること。

■当該指定訪問介護事業における、全ての訪問介護員等に対して、定期的に健康診断等を実施すること。

■指定居宅サービス等基準第 29 条第 6 号に規定する、「緊急時等における対応方法」が、サービス利用者に明示されていること

人材要件

 ①全てのサービス提供責任者が 下記①、②のどちらかを満たすこと3 年以上の実務経験を有している介護福祉士

 ②5年以上の実務経験を有している実務者研修修了者。もしくは、介護職員基礎研修課程修了者ならびにホームヘルパー1級修了者

重度者要件

■前年度、もしくは前3ヶ月において、要介護4および5の利用者、日常生活自立度Ⅲ以上の認知症のある利用者、喀痰吸引等の行為を必要とする利用者が、合わせて全体の20%以上であること

特定事業所加算IIの要件

特定事業所加算Ⅱは、算定率は10%となっています。要件は以下の通りです。

体制要件

■すべての訪問介護員等に対して、訪問介護員ごとに研修計画を作成。当該計画に従って研修を実施、もしくは実施を予定していること

■利用者に関する情報、もしくはサービス提供時の留意事項の伝達、または当該指定訪問介護事業所における、訪問介護員等の技術指導が目的の会議を、定期的に開催すること。会議は、テレビ電話等のICTの活用も可。

■サービス提供責任者は、当該利用者を担当している訪問介護員等に対して、当該利用者に関する情報およびサービス提供時の留意事項を、文書等の確実な方法で伝達したうえで、担当員にサービスを開始させること。また、サービス提供終了後には、担当員等より適宜報告を受けること。

■当該指定訪問介護事業における、全ての訪問介護員等に対して、定期的に健康診断等を実施すること。

■指定居宅サービス等基準第 29 条第 6 号に規定する、「緊急時等における対応方法」が、サービス利用者に明示されていること

人材要件

特定事業所加算Ⅱの人材要件は、下記1・2、いずれかを満たすことが必要です。

1.訪問介護員等の総数の割合が、以下の①、②のどちらかを満たしていること

 ①介護福祉士が 30%以上

 ②介護福祉士、介護職員基礎研修課程修了者、実務者研修修了者ならびにホームヘルパー1級修了者が、50%以上

2.全てのサービス提供責任者が下記①、②のどちらかを満たすこと

 ①3年以上の実務経験を有している介護福祉士

 ②5年以上の実務経験を有している実務者研修修了者。もしくは、介護職員基礎研修課程修了者ならびにホームヘルパー1級修了者

特定事業所加算IIIの要件

特定事業所加算Ⅲの算定率は10%です。

その他の特定事業所加算のいずれの人材要件も満たさない場合かつ、重度者要件を満たす場合に加算が可能になります。

実のところは、その他の特定事業所加算のいずれかの人材要件を満たす事業所が増加しているので、特定事業所加算Ⅲを算定している事業所は、あまり多くないのが現状です。

体制要件

■すべての訪問介護員等に対して、訪問介護員ごとに研修計画を作成。当該計画に従って研修を実施、もしくは実施を予定していること

■利用者に関する情報、もしくはサービス提供時の留意事項の伝達、または当該指定訪問介護事業所における、訪問介護員等の技術指導が目的の会議を、定期的に開催すること。会議は、テレビ電話等のICTの活用も可。

■サービス提供責任者は、当該利用者を担当している訪問介護員等に対して、当該利用者に関する情報およびサービス提供時の留意事項を、文書等の確実な方法で伝達したうえで、担当員にサービスを開始させること。また、サービス提供終了後には、担当員等より適宜報告を受けること。

■当該指定訪問介護事業における、全ての訪問介護員等に対して、定期的に健康診断等を実施すること。

■指定居宅サービス等基準第 29 条第 6 号に規定する、「緊急時等における対応方法」が、サービス利用者に明示されていること

重度者要件

■前年度、もしくは前3ヶ月において、要介護4および5の利用者、日常生活自立度Ⅲ以上の認知症のある利用者、喀痰吸引等の行為を必要とする利用者が、合わせて全体の20%以上であること

特定事業所加算IVの要件

所定単位数の5%が加算できる項目です。

特定事業所加算IVは、全職員向けの個別研修の実施要件がありません。

その代わりに、サービス提供責任者全員向けの、個別研修の実施が要件となっています。

さらに、人材要件および重度者要件が、他の項目とは大きく異なるのが特徴です。

体制要件

■利用者に関する情報、もしくはサービス提供時の留意事項の伝達が目的の会議を、定期的に開催すること。会議は、テレビ電話等のICTの活用も可。

■利用者情報を、文書等で伝達すること。さらに、訪問介護職員等からの報告も受けること。伝達は直接面談しながら文書を手渡す方法の他に、メール・FAXでも可。

■健康診断を、事業所負担により、少なくとも1年以内ごとに1回実施すること

■緊急時等における対処方法を明確に示しておくこと

■サービス提供者ごとに作成された研修計画に基づいて、研修を実施すること

人材要件

■サービス提供責任者を、常勤により配置すること。さらに、規定する基準を上回る数の常勤サービス提供責任者を、1人以上配置していること

重度者要件

利用者のうち

●要介護3~5である者

●日常生活自立度がⅢ、Ⅳ、Mである者

●痰の吸引等を必要とする者

が占める割合が、全体の60%以上であること

特定事業所加算Vの要件

2021年度に新設された項目で、所定単位数の3%を算定できます。

特定事業所加算Ⅴは、加算Ⅲとの併算定は可能ですが、加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅳとの併算定を行うことはできません。

体制要件

■訪問介護員ごとに作成された研修計画に基づいて研修を実施すること

■利用者に関する情報、もしくはサービス提供時の留意事項の伝達が目的の会議を、定期的に開催すること。会議は、テレビ電話等のICTの活用も可。

■利用者情報を、文書等で伝達すること。さらに、訪問介護職員等からの報告も受けること。伝達は直接面談しながら文書を手渡す方法の他に、メール・FAXでも可。

■健康診断を、事業所負担により、少なくとも1年以内ごとに1回実施すること

■緊急時等における対処方法を明確に示しておくこと

人材要件

■訪問介護員等の総数のうち、30%以上の割合が、勤続年数7年以上の者で占めていること

まとめ

特定事業所加算を算定するためには、それぞれ要件を満たしておく必要があります。

申請する前に、どの特定事業所加算にあてはまるのかを、しっかり確認しておきましょう。

特に、特定事業所加算ⅠとⅡは、サービス実施について、適宜報告を行わなければならないため、紙の記録用紙ではほぼ不可能な要件となっています。

「テレッサmobile」では、LINEからリアルタイムで報告が上がるので、適宜報告の要件を満たすことができます。

業務効率が上がるような仕組みも取り入れつつ、より質の高いサービスを提供できるようにしていきましょう。

Author Profile

りんご
りんご
5年にわたり祖母の介護を経験。その経験を元に、介護の世界へ。
現在はライターとして介護の記事を中心に執筆中。