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訪問介護でデイサービスの送り出しを算定する際のルールや注意点

訪問介護では、ご利用者がデイサービスやデイケアなどの通所サービスを利用する際に、外出の準備をサポートすることを「デイの送り出し」と呼んでいます。

訪問介護サービスを提供するだけでなく、通所サービスとの連携が必要な場合もあるので、細かいルールについて悩む方も多いのではないでしょうか。

この記事では、訪問介護の援助内容の一つである「デイの送り出し」について解説します。デイの送り出しが必要なケース、算定のルールや援助内容などについてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

まずは、デイの送り出しの概要を確認しましょう。

送り出しで行うのは、デイに行くまでの自宅内での援助です。送迎車が迎えにきたらスムーズに出発できるように準備をおこないます。

具体的な援助内容の一例は以下のとおりです。

  • ベッドから車椅子への移乗や移動など
  • 持ち物の準備(薬、連絡ノートなど)
  • 着替え
  • 整容
  • 排泄介助
  • 戸締まり・火の元の確認
  • 拒否がある場合の声かけ、促し

必要な援助内容についてはケアマネジャーと相談のうえ決定し、ケアプランに明記されます。

デイの送り出しは、訪問介護の身体介護で算定します。

サービス内容所要時間単位数
身体0120分未満163
身体120分以上30分未満244
身体230分以上60分未満387
身体360分以上90分未満567
参考:WAM NET「介護給付費単位数等サービスコード表」

1単位を10円として計算するため、身体01の場合は1,630円の料金です。そのうち、1割〜3割をご利用者が自己負担し、残りの9割〜7割は国の介護保険の財源からまかなわれます。

ただし、この基本単位には、地域によって決められている1級地から7級地までの地域単価がプラスされます。また、提供時間や各種加算により費用は異なるので確認が必要です。

ここからは、デイの送り出しサービスが必要なケースをご紹介します。

通所介護のスタッフが行うサービスの範囲は、通所介護事業所から玄関までの間です。基本的に、自宅内はサービス提供範囲外になります。そのため、デイの車が迎えに来た際には玄関まで移動しておかなくてはなりません。送迎車には、ほかにご利用者を乗せている場合もあります。車の中で長い間待たせるわけにはいかないため、スムーズに乗り込めるように準備を行います。

車椅子の方であれば、ベッドから車椅子への移乗や、車椅子を押して玄関先までの移動介助が必要です。手引き歩行での介助が必要な方もいます。また、一人介助では移動・移乗が困難な方は、デイサービスの職員と協力しながら介助をするパターンもあります。

外出のための移動や移乗のほかにも、お体の状況や認知症により外出するための準備が困難な方についても介助が必要です。すぐに出発できるように、着替えや整容などをすませておかなくてはなりません。

認知症の方であれば、持ち物の準備ができない方や事前に介護者が準備していても中身を出してしまう方もいます。その日がデイサービスの日であると認識できなければ、迎えにくる時間までに準備が全くできていなかったり、失念して不在にしてしまったりするケースもあるのでサポートが必要です。

デイの送り出しでは、デイサービスに対して拒否がある方に、うまく声掛けして説得することも行います。

特に、認知症のある方は、デイサービスの迎えが来てもどこに行くのかがわからないこともあるので、慣れているヘルパーが声かけすることで外出できるケースもあります。デイサービスに行ってしまえば楽しく過ごす方も多いので、思い出せるような声掛けをして促します。

デイサービスに行きたくない理由は、外出が億劫な場合や、レクリエーションや人との交流が苦手、入浴が嫌いなどさまざまです。新しい環境が苦手な方もいるので、無理強いせずにうまく声掛けをして、外出を促すことが大切です。デイサービスのスタッフや環境に慣れれば、サポートが不要になる場合もあるでしょう。

デイのお迎えがある時間帯に家族が不在になるためサポートできない場合にも、訪問介護サービスが受けられます。ご自身で身支度ができる方であれば問題ありませんが、サポートがなければ準備や戸締まりに不安がある場合に、送り出しのサービスが利用できます。

デイサービスのスタッフが送迎に来た場合、どの段階で送迎の担当者に引き継いだらよいのか悩む方もいるかも知れません。デイサービスが担当する範囲を確認しておきましょう。

デイサービスは施設とご利用者宅の玄関までの範囲を送迎するのが原則です。訪問介護サービスはご利用者の自宅内でサービスを提供するので、行きも帰りも玄関で引き継ぎをします。

ただし、デイサービスのスタッフは、居宅に帰着したときに安全な状態と認められる場所まで送り届けなければなりません。ご利用者の心身の状況や自宅の状況から、何が何でも玄関までの対応ではなく、例外も発生すると考えられます。

細かい範囲は明確に定義されておらず、ルールは指定権者判断とされているため、各自治体に従います。ヘルパーが判断に迷った場合には、サービス提供責任者に相談しましょう。訪問介護サービスは利用者の居宅内の援助、通所介護は施設から利用者の玄関先までの送迎が原則であることは頭に入れておくことが大切です。

通所サービスの送迎は、必ず義務付けられているわけではありません。ただし、多くの通所サービスで送迎サービスが行われています。通所サービスの基本報酬には、送迎サービスも含まれているため、送迎を行わなかった場合には、片道につき47単位が減算されます。往復とも送迎しなかった場合には、94単位の減算です。

先述のとおり、デイが担当するのは施設と玄関までの範囲が原則です。以前は、デイのスタッフが送迎時に居宅内介助することが認められていなかったため、送迎の前後には家族や訪問介護のヘルパーが対応する必要がありました。しかし、平成27年度の介護報酬改定において、要件を満たすことで送迎時の居宅内介助が提供できるように変更されています。

介助の所要時間は30分以内が原則です。サービスを提供するには、ケアマネジャーが必要性があると判断したうえで、ケアプランに位置付けられていなければなりません。また、ほかのご利用者を車内で待たせることもできません。

ヘルパーは、どこまでが自身のサービス提供範囲であるのかしっかりと確認しておく必要があります。

今回の記事では、訪問介護のサービスのひとつ「デイの送り出し」の算定について解説しました。外出の準備が困難な方をサポートする援助なので、戸惑うヘルパーさんもいるでしょう。ご利用者がデイサービスに快く通えるようにするためには、ご様子をしっかりと記録に残し、援助を工夫していくことが大切です。

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通所サービスには、ご利用者やご家族の自宅での生活を支える重要な役割があります。訪問介護とデイサービス・デイケア、お互いのサービス内容を理解したうえで、ご利用者の自立した生活をサポートできるようにしましょう。

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tomo
tomo
特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、居宅介護支援事業所での勤務経験。
介護福祉士、介護支援専門員の資格を活かし、高齢者やその家族、介護現場で働く方々のお役に立てる情報をウェブメディアなどで執筆中。