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訪問介護事業所が行うべき研修の必須項目はコレ!計画の立て方も解説

訪問介護事業所の研修計画についてお悩みではないでしょうか。

訪問介護事業所の研修は主に、必ず実施しなければならない「法定研修」と、特定事業所加算を取得するために必要な「個別研修計画」の2種類があります。他にも、自治体の研修や外部研修に参加したり、入社時のオリエンテーションや独自の研修を積極的に行っている事業所もあるでしょう。

忙しい業務の合間に研修を行うのは大変なことですが、必須項目は確実に行う必要があります。そこで今回の記事では、訪問介護事業所が行うべき研修の必須項目や計画の立て方について解説します。

法令遵守や加算取得のためにもぜひ参考にしてください。

訪問介護事業所には、ヘルパーに受けさせなければならない研修がいくつかあり、訪問介護の運営基準にも定められています。法定研修の実施状況は運営指導などでもチェックされ、未実施の場合には、減算の対象になる可能性があるため計画的に行わなければなりません。

訪問介護事業所に求められる、法定研修の必須10項目を確認しておきましょう。

認知症の研修で学ぶのは、認知症に関する理解やケア方法です。

日本の高齢化とともに、認知症を有する方は年々増加しています。内閣府の高齢社会白書では、2012年に462万人だった高齢者の認知症患者数が、2025年には約700万人に増加すると予測されています。これは、65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症患者になるという予測です。

当然、国をあげて認知症ケアは重視されており、2024年度から「認知症介護基礎研修」として、介護に直接携わるすべての職員に受講が義務付けられました。

参考:内閣府「平成28年版高齢社会白書(概要版)  高齢者の姿と取り巻く環境の現状と動向(3)」

個人情報保護」や「プライバシー保護」について基本的な知識を身につけます。訪問介護でご利用者に対して適切なケアを行うためには、ご利用者の情報を十分に把握しておく必要があります。特に訪問介護は、ご自宅に入り込むためご利用者やそのご家族の個人情報に深く触れる機会が多くあります。移動時に個人情報を持ち出さなければならないこともあるため、情報の取り扱いについて十分に理解しておかなければなりません。

最近では介護の現場でもICT化が進んでいるため、ご利用者の情報をデータでやりとりする機会も増えています。パソコンのセキュリティーなど、個人情報を適切に扱うためのルールも徹底しておくことが大切です。個人情報やプライバシー保護の知識が不足しているとトラブルに発展する可能性があるため、重要な研修項目です。

身だしなみ・あいさつ・マナー・コミュニケーション方法について基本的なルールを学びます。ご利用者に対する接遇は、介護の仕事をする上で基本です。介護の知識や技術が身についていても基本の接遇ができていなければご利用者と良好な関係を築くことができません。

仕事に慣れていくと、ご利用者と親しくなりすぎて言葉遣いが乱れてしまうケースもあるため、定期的な研修で振り返ることが大切です。

倫理とは、人として守るべきルールや基準・決まりごと・道徳・ モラルを指します。介護ではご利用者の尊厳を守り、自立支援につながるサービスを提供することが大切です。

また、介護保険サービスを提供するには法令を守り、正しい事業所運営のもと介護サービスを提供しなければなりません。介護保険法はもちろん、個人情報保護法・高齢者虐待防止法・道路交通法など、介護サービスに関連するさまざまな法令を理解しておきます。定期的に改正されるルールについても学び、正しい行動が取れるように周知しておく必要があります。

訪問介護は施設介護と違い、事故やトラブル発生時にヘルパー一人で対応しなければならないケースがほとんどです。不安を抱えるスタッフも多いため、事故発生時の対応は十分な研修が必要です。

事故発生時の対応方法はもちろん、事故発生後の記録や報告の手順再発予防策などについても詳しく学びます。

訪問介護では、ご自宅に訪問した際にご利用者の体調の急変に遭遇することもあります。事故発生時同様、緊急時に慌てず対応できるように正しい手順を頭に入れておかなくてはなりません。

急変時の応急処置関係各所への連絡方法救急車の手配など、適切な判断ができるようにスキルと知識を身につけます。

感染症食中毒は、抵抗力の低い高齢者にとって非常に大きなリスクです。ノロウイルスインフルエンザ新型コロナウイルスなどは、高齢者が罹患すると死に至るケースも少なくありません。新型コロナウイルスの大流行時には、多くの死者が出たのも記憶に新しいところです。

感染症や食中毒を蔓延させないためには、いかなる症状の場合でも普段からの手洗いや消毒、マスク着用などの基本的な感染予防対策が大切です。正しい対応ができていなければ、介護者が媒介してしまうことも大いに考えられます。

万が一発生した場合に備え、症状が現れた時の初動や蔓延させないための対応方法などを訓練しておく必要もあります。

介護職員が安心して働ける環境を構築するために、令和3年度の介護報酬改定において、介護現場のあらゆるハラスメントに対して必要な措置を講じることが義務づけられました。

ハラスメントの内容は、セクシャルハラスメント・パワーハラスメント・カスタマーハラスメントなどが該当します。介護現場では職場のハラスメントの他に、ご利用者やご家族からのハラスメントが発生します。事業所としてハラスメント対策を行うためには、職員全体でハラスメントに対する理解を深めることが大切です。

参考:厚生労働省「介護現場におけるハラスメント対策」

令和3年度介護報酬改定では、介護サービス事業者に対し高齢者虐待と虐待防止に対する措置を講じることが義務付けられました。委員会を定期的に開催するなど、必要な体制の整備を行うとともに、ヘルパーに対する研修も求められます。

関連する内容として、身体拘束についての研修も重要です。介護施設での身体拘束廃止・防止の取り組みは介護保険法施行前から実施されており「身体拘束ゼロへの手引き」も作成されています。

不当な身体拘束は、介護施設だけでなく在宅介護でも行われている状況があります。この現状を踏まえ、令和6年3月には「身体拘束ゼロへの手引き」の内容が、在宅介護も対象として見直しがされました。マニュアルに基づき、研修を実施し理解を深める必要があります。

参考:厚生労働省「介護施設・事業所等で働く方々への身体拘束廃止・防止の手引き」

業務継続計画(BPC)とは、感染症や災害時にあっても介護サービスを継続的に提供するための計画です。このBPCも2024年度から策定が義務付けられています。

計画は、感染症や災害時の場合にも慌てず実行できなければなりません。平時から、シミュレーションしていざという時の災害に備えましょう。

法定研修は事業所に義務付けられている研修なので、計画的に実施しなければなりません。研修計画に決められた書式はないため「実施月」「研修項目・内容」「実施担当者」「講師」「準備物」などを年間計画としてまとめておくと良いでしょう。

項目が多いので、月に1項目研修を行うなどバランスよく計画します。決まりはありませんが、年度初めに「接遇」「倫理」「プライバシー」などの基本的な研修、流行期が訪れる前に「感染症」に関する研修を実施するのがおすすめです。

研修の実施状況は一般の方でも「介護サービス情報公表システム」の運営状況で確認できます。また、運営指導などでもチェックされるため、計画と実施したことがわかる資料は残しておきます。実施が確認できなければ、減算の対象になる場合もあるので注意が必要です。

個別研修は、特定事業所加算を算定する際に必須となる研修です。特定事業所加算は算定できる要件や加算の割合により(Ⅰ)〜(Ⅴ)の5段階に分かれますが、すべてにおいて個別研修計画の要件が含まれます。

特定事業所加算を算定するためには、従業員全員分の研修を計画しなければなりません。サービス提供責任者・常勤・非常勤・登録スタッフ・派遣スタッフなど、役職や勤務形態も問わずすべての従業員が対象です。勤務日数が少ないスタッフや新入社員なども忘れずに計画に組み込む必要があります。

経験年数やスキル、役職などに応じてグルーピングして実施することも可能なため、研修時期を明確に定めて確実に実行できるようにすることが大切です。

個別研修計画は、前述の「法定研修」とは別の内容で計画しなければなりません。個々のスキルアップを目的とした研修を設定します。そのため、基礎的な介護スキルや知識に関する研修・用具の使用方法のレクチャーなど、従業員全員に必要な内容は個別研修に相応しいとは言えません。

個別研修を計画するためには個人目標の設定が必須です。個人の課題や描くキャリアを明確にし、目標を設定したうえでスキルに応じた研修を計画します。どのようなサービスを提供したいのかや、どのようなキャリアアップを目指しているかなど、個人の目標や関心に合わせて設定することが大切です。

今回の記事では、訪問介護事業所に必須の研修について解説しました。

法定研修や特定事業所加算を取得するための研修など必要な項目が多いため、年間計画を立てて確実に実施していくことが大切です。

介護記録をLINEで入力・報告できる「テレッサmobileは、研修動画配信サービスの併用も可能です。個別研修が負担となっている、特定事業所加算の継続に課題を感じている、介護記録を電子化したい、これらのいずれかに当てはまるという方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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tomo
tomo
特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、居宅介護支援事業所での勤務経験。
介護福祉士、介護支援専門員の資格を活かし、高齢者やその家族、介護現場で働く方々のお役に立てる情報をウェブメディアなどで執筆中。