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介護現場における申し送りの目的とは?苦手を克服する方法を解説

申し送りとは、仕事を次の担当者に引き継ぐ際に「ご利用者の状況」「業務の進捗」など、必要な情報を伝えることです。

申し送りは交代勤務の介護職にとって重要な業務の一つ。情報の共有によりサービスの質は大きく変わります。

今回の記事では、介護現場における申し送りについて解説します。情報をまとめるのに苦手意識を感じている方はぜひ参考にしてください。

介護現場において申し送りはなぜ必要なのでしょうか。その目的や必要性を理解することで申し送りの精度が上がるはずです。

介護の仕事はご利用者の24時間365日の生活をサポートするため、誰か1人のスタッフが常に担当する訳にはいきません。そのため、次に担当するスタッフにサービスの状況を共有する必要があります。そのうえで、それぞれのスタッフが同じクオリティのサービスを提供することが望まれます。スタッフが変わるたびに支援の方法が変わったり、何度もご利用者に同じことを聞いていては適切な支援とは言えません。

また、心身の状況などの医療情報は高齢者にとって非常に重要です。自身で訴えられない方もいるため、前任者や医療従事者からしっかりと引き継いでおかなければ、命に関わる危険性も考えられます。

とくに高齢者の心身の状況は日々変化しやすいため、適切な支援のためにも丁寧な申し送りが大切です。

介護サービスはケアマネジャーの作成するケアプランに基づいて提供されるため、介護職が申し送るご利用者の日々の出来事や心身の状況は非常に重要な情報源になります。

申し送りは介護スタッフ間だけでなく、医療従事者や管理者などさまざまな職種のスタッフも参考にします。その情報を頼りに、直接介護にあたらない職種も適切な支援が提供できるのです。申し送りはご利用者の希望に沿った質の高いケアプラン作成に役立ちます。

申し送りは事故やトラブルの再発予防にも重要です。事故やクレームが起こった際には、事実を周知することで注意喚起するだけでなく、対応予防策を徹底しなければなりません。対応予防策が徹底されていなければ事故やクレームが再発し、重大なトラブルに発展する可能性があります。

また、大きな事故に至らなくてもヒヤリハットなどご利用者のちょっとした変化を申し送ることも大切です。日々の情報の積み重ねにより事故を未然に防ぎ、ご利用者の安全を守ることにつながります。

介護に直接関係のない連絡事項も申し送りしておくことで、日々の業務が円滑に進みます。

とくに、施設介護は日勤や夜勤だけでなく、早番や遅番などさまざまな勤務形態の職員が働くシフト制の仕事です。自分一人でコツコツ積み上げる仕事ではなくチームワークが大切な仕事のため、申し送りが重要な役割を果たします。

忙しい介護現場で、その都度聞きながら行うのは手間がかかり時間のロスにつながってしまいます。その日の予定業務ルールの変更物の置き場所など細かいことでも事前に伝えておくとスムーズでしょう。

ご利用者の様子やスタッフが取った対応などをしっかりと記録に残し、次の勤務に申し送ることは、事故やトラブルが起こった際に自分の身を守ることにもつながります。

ご利用者の中には、認知症の方や記憶力が低下している方もいます。そのため、トラブルになった際にも申し送り内容が、適切な対応をしていたという証明になります。とくに大きな事故になった場合には、記録が頼りになるため申し送りは非常に重要です。

施設や事業所により勤務形態が異なるため、申し送りの方法もそれぞれです。どのような申し送り方法があるのか見てみましょう。

施設介護の場合、口頭での申し送りを行っているところも多いですが、口頭だけでなく記録に残すことも併用するのが一般的です。

口頭での申し送りは、直接対話ができるため情報が伝わりやすいのがメリットです。聞き手の反応をみて理解度が確認できたり、分からなければその場で質問ができたりするので一方通行になりません。文字だけではなかなか伝わらない細かい描写も伝えられます。

ただし、全員が集合するのに時間がかかることや、申し送りの間にご利用者の対応ができない時間帯が発生するのがデメリットです。また、話を整理して話すのが苦手な方は初めのうちは緊張してしまう場合もあるでしょう。

介護現場では、ご利用者の様子を記録に残すことが介護保険法によって義務付けられています。そのため、書面での記録を確認することで申し送りとしている施設もあります。介護記録事故報告書などのほか、申し送りのために日報連絡ノートのような書面を別に設けて申し送りに活用している職場もあるでしょう。

書面での申し送りは、職員それぞれのタイミングで確認できるのがメリットです。前回の出勤日まで記録を遡って確認することもできます。しかし、文字を読むだけでは理解できていなかったり、読み落としてしまう可能性があります。手書きの場合、記録の手間がかかってしまうこともデメリットです。

最近は介護現場でもICT化が進められているため、デジタルツールによる申し送りを導入している施設や事業所も増えています。

介護ソフトの導入は、手書きで記載する手間が省けることや情報がリアルタイムで伝わることなど多くのメリットがあります。隙間時間を活用して入力や情報確認をすることも可能です。ペーパーレスなので過去の書類を管理する手間も削減できます。

デメリットといえば、導入時にまとまった費用がかかることや、スタッフが使いこなせるまでレクチャーが必要な点です。ITツールに苦手意識を持つスタッフも少なくありません。しかし、導入にかかる費用や労力がクリアできればスタッフの業務が効率化できる便利なツールになり得ます。

申し送りが苦手だと感じる方が、スムーズに行えるようになるためのちょっとしたコツも確認しておきましょう。

申し送りはご利用者の様子を、正確に伝えるのが鉄則です。間違えた情報を伝えてしまうとトラブルになりかねません。

見聞きした情報を、そのまま正しく申し送ることが大切です。

忙しい介護現場において申し送りに時間がかかりすぎてしまうのはNGです。スムーズな申し送りのためにも情報の要点を整理して簡潔に伝えるようにしましょう。

具体的な様子をありのままに伝えることは大切ですが、長話が続くと聞いている側の集中力が削がれてしまいます。記録の場合にも、だらだらと長い文章の中から必要な情報をピックアップするのは時間がかかり、大切な情報を読み落としてしまうリスクがあります。

貴重な時間を無駄にしないためにも、要点をまとめて簡潔に申し送ることが大切です。

申し送りでは事実だけではなく、自分の意見や推測を述べなければならないときもあります。例えば、転倒事故が起こった場合に、事故に至った要因を考えたり、今後の対応予防策に対する意見を述べたりする場合です。事故の要因を検証したり対応予防策を考えるのは大切なことですが、事実と意見や推測は明確に分けておかなければなりません。誤った解釈で受け取られないように注意しましょう。

正確な情報を申し送るためにも、勤務時間中はこまめにメモを取ることが大切です。忙しい業務の中、すっぽり伝達を漏らしてしまうことは避けなければなりません。伝え忘れは大きなトラブルにつながるため、事あるごとにメモを取り申し送りに役立てましょう。

今回の記事では、介護現場での申し送りについて解説しました。介護はご利用者に対して複数のスタッフが関わる仕事のため、チームワークが大切です。

介護施設や事業所により働くスタッフや勤務形態が異なるため、それぞれに合ったスタイルで情報伝達の方法を検討しなければなりません。

訪問介護の場合には、ヘルパー同士で直接申し送る場面はあまりありませんが、記録を通して次の担当者に正確な情報を伝達する必要があります。中心となるサービス提供責任者が情報を集約し、ヘルパーに伝える役目を果たします。

訪問介護事業所でICT化を実現したいけれど、なかなか一歩が踏み出せない場合には、介護記録に特化したシンプルな介護記録管理アプリ「テレッサモバイル」がおすすめです。テレッサモバイルならLINEアプリを使用して介護記録を入力し、あとは送信するだけでサ責に情報が伝えられます。申し送りをスムーズに行うためにも、介護ツールを導入して記録の効率化を図ってみてはいかがでしょうか。

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tomo
tomo
特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、居宅介護支援事業所での勤務経験。
介護福祉士、介護支援専門員の資格を活かし、高齢者やその家族、介護現場で働く方々のお役に立てる情報をウェブメディアなどで執筆中。