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介護職の在宅介護での看取り|辛い気持ちを和らげるために必要なこと

高齢化社会が進む日本では、高齢者人口が増えるとともに、看取り介護の需要がますます高まっています。

最近では、自宅で家族に見守られながら最後の時を過ごしたいと希望する方が増えています。しかし、在宅での看取りは決して簡単なことではありません。人の死に関わる仕事に対し、不安や辛い気持ちを感じている方も多いでしょう。

今回の記事では、在宅介護での看取りにおいて、辛い気持ちや不安を和らげるために必要なことを解説しますのでぜひ参考にしてください。

看取りとは、末期の患者や高齢者などの寿命が近づいている方が、自然に息を引き取られる過程を見守ることです。無理な延命治療などをせず、適切なケアで穏やかに最期が迎えられるようにサポートします。

関連する言葉に「ターミナルケア」がありますが、終末期医療とも言われるターミナルケアでは治療が重視されます。しかし、看取りはあくまでも、尊厳を持って最期の時間を過ごせるようにすることが目的なので、その方の希望や価値観に基づいたケアが重要です。

在宅での看取りは、ご本人もご家族もかけがえのない時を過ごすことができる素晴らしいものですが、身体的・精神的負担は避けられないため、在宅介護サービスをうまく活用して乗り越える必要があります。

在宅での看取りでは、医師や看護師、介護士などが協力し、残された時間をその方らしく過ごせるようにサポートします。

ここからは、看取り期に介護職が行う役割について解説します。

看取り期は体を動かすのが困難になり、ベッド上での生活が多くなるため、安心・安楽に配慮しながらのケアが大切です。

看取り期に必要なケアの一例を以下にまとめました。

食事介助・食事介助
・水分摂取
・食べやすい食事形態の工夫
清潔の保持・入浴(シャワー浴・部分浴・訪問入浴サービスの利用)
・清拭
・口腔ケア
・着替え
・シーツ交換
排泄介助・トイレ介助
・ポータブルトイレ介助
・おむつ交換
・バルーンカテーテル(尿の廃棄・尿量や尿の色の確認)
・陰部洗浄
・尿路感染症や褥瘡の予防
苦痛の緩和・体位交換
・安楽の確認
状態観察・記録・報告・体調確認
・食事摂取量・水分摂取量
・バイタル測定値
・尿量・排便量
※状態に応じて観察・記録・申し送りを行う

上記は一例であり、その方の希望やお体の状況により実施するケアは異なります。

看取り期は精神的なサポートが欠かせません。死期が迫ると身体的な苦痛はもちろん、不安や恐怖で精神的な苦痛にも襲われます。これらの苦痛を完全に取り除くことはできませんが、少しでも不安を軽減するために気持ちに寄り添ったコミュニケーションが大切です。寂しくないようにこまめに声かけを行うほか、体をさする・手を握るなどのスキンシップも安心感を与えます。また、快適に過ごすために室温や湿度の調節・換気などの環境整備も重要です。

ご家族のサポートを行うのも介護士の重要な役割です。大切な家族を失う不安や恐怖感に苛まれているご家族の心情にも配慮しなければなりません。最期の時間を大切に過ごせるように、最大限にサポートします。また、介護で気が休まらないご家族が、介護疲れをしないように支援することも大切です。

人の最期に携わるわけですから、看取り介護が辛いと感じるのは当然のことかもしれません。介護職が看取りに対して辛いと感じる理由を具体的に考えていきましょう。

看取り期のご利用者は、訪問するたびに体調の変化に気をつけなければなりません。体が動かしにくくなっているため、身体介護は全介助の状態になり体力的にも負担が大きくなります。

状態が安定せず、ご利用者の変化に応じて度々ケア方法を変化しなければならないこともあるでしょう。体調が悪い時には、介護サービスの利用回数や、緊急訪問の回数が増えることもあり、なかなか気が休まりません。常に気を張っていないといけない状況が続くため、体力的な負担が辛いと感じることがあります。

看取り期は、ご利用者が日に日に体力がなくなり、死に近づくのを側で見守らなければなりません。人の死に対する辛い気持ちは避けることができないでしょう。

特に、看取り介護が初めての方や、身近な人の死を経験していない方には、不安も大きいはずです。死を受け入れる心の準備が必要ですが、どうしても難しい場合にはメンタルに支障をきたしてしまう方もいます。看取りの本来の意義を考え、気持ちを共有しながら心のケアを行うことも重要になります。

看取り期は、いつ何時体調が急変するか分かりません。自分が訪問した時に容態の変化や危篤などがあれば対応できるか不安に感じてしまいます。

特に、訪問介護の場合にはヘルパー一人で訪問するケースがほとんどです。緊急時の初動は一人で対応しなければならない場合も多いため、不安に感じる方も少なくありません。

エンゼルケアとは、ご利用者が亡くなった後に行う死後処置のことです。一般的には、看護師や葬儀会社に依頼するケースが多いですが、介護スタッフが行う場合もあります。

エンゼルケアに明確な定義はありませんが、主に行うのは以下の処置です。

  • 口腔ケア・口を閉じる
  • 眼内・鼻のケア
  • 医療器具の抜去・傷の処置
  • 洗髪・整髪
  • 全身清拭
  • 更衣
  • 爪切り・髭剃り
  • エンゼルメイク
  • 冷却

エンゼルケアは、一般的に死後2〜3時間以内に行うことが推奨されています。ご家族の意向を確認し、お気持ちに配慮しながら行わなければならないため、不安に感じる方も多いでしょう。

これまでご説明した通り、看取りケアは人の最後に関わるサポートをするため、辛さや不安を感じずに行うのは難しいことです。しかし、プロとして対応するためには少しでも不安を和らげる方法を知り、向き合っていくことも大切です。介護士の役割を果たすためにできることを考えてみましょう。

看取り介護は頻繁に経験することではなく、知らないことが多いため余計に不安が増大します。知らないままケアにあたるといつまでたっても不安は解消されません。本やインターネットなどで情報を仕入れたり、人に教えてもらったりしながら、理解を深めることが大切です。

看取りを行う上での自分の役割身体的ケア・精神的ケアの方法エンゼルケアの手順など、看取り介護にまつわる知識をしっかりと身につけた上でケアにあたることで、不安を最小限に抑えることができます。

事業所内で研修勉強会事例検討などを行い、チームで看取りについて考える機会を持つことも大切です。

看取り期のご利用者のケアで不安なのは緊急時の対応でしょう。緊急時に少しでも慌てないように、連絡手順を理解しておくと安心です。

緊急時対応をシミュレーションしたり、オンコールの目安などを具体的に示しておくことで、スタッフが冷静に対応できます。

ご利用者の日々のご様子や、行ったケアの内容はこれまで以上に丁寧に記録に残しておきます。記録でしっかりと状況を申し送っておけば、次にケアに入るスタッフや医療従事者にも詳細に状況が伝わるため安心です。トラブル防止にも重要な役割を果たし、次に看取りを行う際にも活かせるため記録は大切です。

在宅での看取りケアは、医師やケアマネジャー、訪問看護師などと協力体制を取りながら進めます。不安なことがあればどんな些細なことでも相談しやすい関係性を構築しておくことが大切です。

チームケアを意識すれば、個々にのしかかる重圧から解放され、看取りケアの辛さを緩和できるでしょう。

前項のチームケアと内容は同じですが、看取りは一人で行うものではなく他の医療や介護の従事者や、ご家族とともに行います。一人で抱え込まず悩みがあれば吐き出し、不安や疑問があれば相談することが重要です。

とは言え、なかなか積極的に相談できないスタッフもいるかもしれません。事業所側からのこまめな声かけや、個別面談によるメンタルケアも大切です。

また、ご利用者のケアについて理解を深める勉強会や、ケースカンファレンスなどを開催し、職員で思いを話し合うのも一つです。

人は「死」を避けられません。看取りは、その方が最期の時を迎えるまで穏やかに過ごせるように寄り添い、サポートする尊い支援です。看取りに携わることは辛いことですが、ご本人やご家族にとって大きな支えになれることは間違いありません。

その方らしく、自宅で最期を迎えたいという思いをサポートできる、意義のある仕事だということを理解することで、やりがいを持って向き合えるはずです。

看取りケア 介護スタッフのための医療の教科書

終末期にどう向き合えばいい?

本書では事前の意向確認、臨終時の対応、医療職との連携など、看取りに関する知識と技術が実際の流れに沿って解説されています。
遺族への接し方や、近年増加している在宅での看取りにも対応。介護職として入所者の終末期にどう向き合うか、知っておきたい情報が詰まった一冊です。

今回の記事では「在宅介護での看取り|辛い気持ちや不安を和らげるために必要なこと」と題して解説しました。

在宅での看取り介護は、スタッフにとって辛い仕事となるため、スタッフ同士の細やかなコミュニケーションやメンタルケアが重要になります。

看取り期は、普段以上に細やかな報連相を徹底することが大切です。正確でこまめな情報共有を行うことでチームケアを円滑に進めることができます。訪問介護の記録や情報共有には、訪問介護に特化した画期的なシステム「テレッサモバイル」を導入してみてはいかがでしょうか。テレッサモバイルを利用すれば、サービス実施記録をLINEで送るだけでご利用者の様子が報告できるため、情報共有がスムーズです。

看取り期には何かと変更の多い、ヘルパーさんのスケジュール調整やご利用者のケアに関する指示伝達も行えます。忙しい訪問介護事業所の助けになるはずですので、一度お試しください。

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tomo
tomo
特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、居宅介護支援事業所での勤務経験。
介護福祉士、介護支援専門員の資格を活かし、高齢者やその家族、介護現場で働く方々のお役に立てる情報をウェブメディアなどで執筆中。