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看取りにおける記録の書き方|基本項目やスムーズに書くコツを解説

看取りとは、余命わずかだと診断された方に寄り添い、その方らしい最期が迎えられるようにサポートすることです。高齢者に関わる仕事を行う介護職にとって欠かせない役割の一つであり、看取りケアにおいて適切な記録を残すことは非常に重要な業務です。

今回の記事では、なぜ看取りの記録が重要なのか、どのような項目を記録すべきか、そして効率的な記録の方法について詳しく解説していきますのでぜひ参考にしてください。

介護職において記録は非常に重要な業務の一つです。中でも看取りケアの記録には、大きな役割があります。

  1. 事業所全体の看取りケアの質の向上
  2. 家族や医療・介護関係者との情報共有
  3. 適切なケアを行ったことを示す証拠となる

ここから詳しく見ていきましょう。

看取りケアの記録は、事業所全体の看取りケアの質を向上させるための資料となります。

例えば以下のような活用が可能です。

  • 看取りケアの振り返りや改善点の発見
  • スタッフ間で経験やノウハウの共有
  • ケア方法の標準化、ルール作り
  • 新人教育や研修での活用

特に、看取りケアは事業所でも頻繁に対応することがないため、1回の事例が貴重な経験になります。記録に残しておくことで、組織としての経験が蓄積され、より質の高いケアの提供につなげることができます。

看取り期には、多職種による連携が不可欠です。そのため、こまやかな記録がチーム全体の情報共有を円滑にするために役立ちます。

正確な記録は、医師や看護師などの医療従事者が適切な医療を提供するための判断材料となります。また、ヘルパー同士のケアの申し送りとしても重要です。こまめな経過観察により、ご家族にも安心してもらえるでしょう。

記録は、看取りケアに不安な職員やご家族の安心材料としての役割も担います。

看取りケアでは時として予期せぬトラブルが発生するケースがあります。そのような事態に備えて、自分たちが行ったサービス内容をしっかり記録に残しておくことが大切です。

残しておくべき記録の一例は以下の通りです。

  • 提供したケアの内容と根拠
  • 本人・家族の意思確認
  • 医療スタッフとの連携
  • 急変時の対応

記録は、スタッフが適切なケアを提供したことの証拠となります。ご家族へ説明するための根拠にもなるため、法的な保護の観点からも重要な役割を果たします。

看取り期の記録で、残しておくべき基本的な項目について確認していきましょう。

看取り期のご利用者は、徐々に体力が衰弱していき、やがて自然に「死」を迎えます。ご利用者の体調や状態の変化は、今後のケアの方向を決める上での情報となるため、できるだけ詳細に残します。

  • バイタルサイン(体温・脈拍・血圧・呼吸数・SpO2など)
  • 意識レベル
  • 食事・水分摂取量
  • 排泄状況
  • 睡眠状態
  • 痛みや不快感の有無
  • 皮膚の状態(浮腫・褥瘡)
  • 表情や反応の変化
  • 精神・心理状態

これらの記録とともに、その時にとった対応も残しておくことが重要です。

ご利用者が尊厳を持った人生の終わり方ができるように、看取り期におけるご本人の意思や希望は最大限尊重されるべきです。ご利用者がどのような最後を迎えたいのか、意思や希望をしっかり聞いて記録しておきましょう。

  • 治療やケアに関する希望
  • 延命処置に関する意向
  • 食事や活動に関する要望
  • 面会や交流に関する希望
  • 精神的・宗教的なニーズ

これらの意思や希望は、体調や精神的な変化に応じて徐々に変わることがあります。状況に応じて話をよく聞き、その都度記録に残しておきましょう。

ご家族へのケアも看取りにおいては重要な要素です。大切な家族の終末期にあって、ご家族も精神的なサポートが必要な場合があります。ご家族からの要望や質問、心理状態や不安への対応なども、記録しておくことが望ましいです。

看取り期には、多職種で話し合いの場を持ったり、医療従事者から病状説明を行ったりする場面があります。今後のケアの方向性を決定し、意思確認を行ったら、トラブル防止のために証拠として記録に残しておきましょう。

  • カンファレンスの日時・参加者
  • 検討内容と決定事項
  • 医師からの病状説明
  • ご利用者・ご家族の意思
  • 今後の方針
  • 各職種の役割分担

急変時や看取りの場面の記録は、トラブル防止のほか、看取りケア終了後の振り返りのためにも大切な情報となります。

  • 急変時の状況
  • 急変時に取った対応・処置
  • 連絡した関係者・時刻
  • ご家族への連絡状況
  • 看取りの場面の様子
  • エンゼルケアの内容
  • 家族への対応

ここからは、記録をスムーズに書くためのコツをお伝えします。看取り期の慌ただしい中で、正確な記録を残すためのコツをしっかりつかんでおきましょう。

効率的な記録作成のためには、テンプレートの活用が有効です。決まったフォーマットやテンプレートを用意しておけば、記録漏れを防ぐことができます。基本的なバイタルサインや日々の状態観察などのよく使う項目はあらかじめ準備しておきましょう。時間帯ごとに必要な項目を設定しておけば、ケアの漏れも防げます。チェックボックス形式で記録を簡素化するのもおすすめです。

また、テンプレートはご利用者やスタッフの状況によりカスタマイズするとより使いやすくなります。

記録は後回しにすると詳細を忘れてしまうことがあるため、可能な限りリアルタイムに行いましょう。

とは言え、ケアで忙しい時に記録を優先するのは難しいものです。とくに、急変時などは記録より優先すべき対応があります。すぐに記録を残すことができない場面では、メモ帳に必要な項目だけ残しておき、落ち着いてから詳細を書くようにします。ITツールの力を借りるのも一つの方法です。最近では介護ソフトを使用している事業所も多いので、手書きよりも効率的な記録が可能になります。

看取り記録は、簡潔かつ正確な記録が必須です。

以下のポイントを意識して記載しましょう。

  • 客観的な事実を中心に書く
  • 必要な情報は漏れなく記載する
  • 主観的な判断は根拠を明記しておく
  • 時系列で書く
  • 箇条書きを活用する
  • 定型文を活用する
  • 共通認識のある略語を活用する

新人スタッフのために、頻繁に使用する用語や略語を一覧にしておくと親切です。介護ソフトを使用している事業所の場合は、定型文として登録しておくと良いでしょう。

記録の質の向上のために、定期的に介護記録を見直し、振り返りを行うことをおすすめします。記録に対してフィードバックしたり、改善点を話し合ったりする機会を持つことで、正確でわかりやすい記録が書けるようになり、ひいてはサービス全体の質を向上させることにもつながります。

看取りケア 介護スタッフのための医療の教科書

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遺族への接し方や、近年増加している在宅での看取りにも対応。介護職として入所者の終末期にどう向き合うか、知っておきたい情報が詰まった一冊です。

今回の記事では、看取りにおける記録の書き方について解説しました。介護現場において、記録は大切な業務の一つですが、中でも看取り期の記録は重要です。

正確な記録を残すことにより、より良い看取りケアの実現が可能になります。また、介護する側の負担や不安感を軽減することにもつながります。ご利用者に看取り期を大切に過ごしていただくためにも、記録の重要性を理解し、実践に活かしていきましょう。

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記録に特化したシンプルな機能なので、使いやすく、ランニングコストが抑えられることがポイント。幅広い世代になじみのあるLINEアプリを使うので、ヘルパーさんにもすぐに慣れていただくことができます。

看取りケアのように、ケアの回数が増える場合や、複数のヘルパーで対応する場合は特に、スムーズな申し送りの共有が重要です。介護記録を電子化することで、リアルタイムで報告があがり、すぐにシステム上から次のケアの指示ができるなど、多くのメリットがあります。

「パソコンが苦手なので介護ソフトは導入できない!」「スマホ操作が苦手なヘルパーさんがいるので無理!」と諦めているサ責さんも、ぜひ無料お試しだけでも体験してみてください。

投稿者プロフィール

tomo
tomo
特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、居宅介護支援事業所での勤務経験。
介護福祉士、介護支援専門員の資格を活かし、高齢者やその家族、介護現場で働く方々のお役に立てる情報をウェブメディアなどで執筆中。