訪問介護サービスのサ責は、事業所において全体をマネジメントする立場にある存在です。ご利用者に適切なサービスを提供するためには、サ責のマネジメント能力が欠かせません。
しかし、さまざまな介護サービスがある中で、ヘルパーがそれぞれのご利用者宅でサービスを展開する訪問介護は、特に全体をマネジメントするのが難しい業態かもしれません。
そこで今回の記事では、訪問介護のサ責にマネジメント力が必要な理由と求められるスキルについて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
マネジメントとは?
マネジメントの基本的な意味は「経営」や「管理」のことを指し、組織の成果を上げるために、経営資源を効率的に活用・管理をしながら目標やミッションの達成を目指すことを言います。
介護業界では、施設であれば「介護リーダー」「介護主任」「ケアリーダー」などと呼ばれる、役職が現場をまとめます。さらに全体の組織を統括するのが「施設長」「ホーム長」などと呼ばれる管理職です。
訪問介護であれば通称「サ責」と呼ばれる「サービス提供責任者」がヘルパーをまとめ、組織の責任者として「管理者」がいます。どちらも、訪問介護事業所に配置が義務付けられており兼務も可能です。
サ責にマネジメント力が必要な理由
訪問介護事業所の運営には、サ責のマネジメント力が必要です。その理由を深掘りしてみましょう。
慢性的な人材不足の対策
高齢化社会が進む日本において、介護業界では人材不足の状態が続いています。中でも訪問介護員の人材不足は、施設で働く介護職員に比べても非常に深刻な状況です。
訪問介護のヘルパーが確保しづらい理由として考えられるのが、訪問介護ならではの働きにくさです。訪問介護で働く上での懸念点には、正社員でなければ勤務日・勤務時間・給料が不安定な点や、ご利用者の自宅までの移動にかかる手間、1対1の介護に対する不安などがあげられます。そのため介護職の方は、訪問介護ではなく施設などの他業態を選択する方が多いのが実情です。職員の満足度をあげ、できる限り長く勤務してもらうためにも働きやすい環境づくりが不可欠です。
事故やクレームを軽減する
ご利用者に安心してサービスを利用していただくためには、事故やクレームを軽減するためのリスクマネジメントが必須です。リスクマネジメントを整備することが、事故やトラブルの可能性を最小限に抑えるため、スタッフの働きやすさにもつながります。
サービスを向上させる
訪問介護事業所のサービスをより向上させるためにもマネジメントは欠かせません。前述のリスクマネジメントのほか、ヘルパーの人材マネジメントはサービス向上の鍵です。
特に、訪問介護のヘルパーは介護職員初任者研修かその上位の取得が必須であり、ある程度の経験と知識が求められます。ご利用者宅で1対1の対応を行うため、個々の介護技術のスキルアップが重要です。介護技術だけでなく、スタッフの接遇・マナーの向上にも努めなければなりません。
どのスタッフがサービスに入っても同等レベルのサービスが提供できるように、マニュアルを整備して働きやすい環境を作っていくことも大切です。
サービス提供責任者が行うマネジメントの内容
サービス提供責任者のマネジメント職としての役割には以下のような内容があります。
- ご利用者やご家族との連携
- ケアマネジャーや他事業所との連携
- ヘルパーのスケジュール管理
- ヘルパーの育成、指導
- 研修の立案、実施
- アセスメント
- モニタリング
- 訪問介護計画書の作成
- サービス担当者会議への参加
- 記録の管理
- 業務のマニュアルの作成
これらの業務を通して、サ責は事業所全体のマネジメントを行っていきます。
マネジメント力アップのために必要なスキル
サ責のマネジメント力をアップさせるためには、自己研鑽を積みさまざまなスキルを身につけていかなくてはなりません。
介護知識とスキル
サ責は、ヘルパーに対して教育や指導を行っていく立場です。また、ご利用者のケアに対して、ヘルパーやご家族からアドバイスを求められる場面も多いため、介護知識とスキルを身につけておく必要があります。
例えば介護技術や高齢者の心身の特性についてや介護保険制度など、幅広い知識が求められます。ご利用者やご家族、ケアマネジャーなどとスムーズにやりとりするためにも求められるスキルです。
コミュニケーション力
サ責の仕事は、コミュニケーション力も欠かせません。現場では、ご利用者や家族のニーズをしっかりと汲み取ることが大切です。また、より良いケアを実現していくためにはヘルパーやケアマネジャー、他事業所などご利用者に関わるすべての方との連携も重要です。
訪問介護は施設と違い、ご利用者やヘルパーがすぐ近くにいる環境ではありません。それぞれのご自宅で介護を行い直行直帰するヘルパーもいるため、コミュニケーションの機会が少なくなってしまいます。定期的な面談を設定するほか、普段から意識的にコミュニケーションを取り、関係を構築していくことが求められます。
リーダーシップ
サ責は訪問介護スタッフの中心となる存在なので、リーダーシップスキルが重要です。スタッフ全員が、ご利用者の目標や事業所の目指すべき姿に向かい、正しい方向に進んでいけるように舵取りをしていかなくてはなりません。
時には、スタッフへの指示や指導を行わなければならない場面もあります。リーダーシップを発揮するためには、サ責自身が確かな介護技術と知識を身につけ、自分の考えを明確にしておく必要があります。
事務処理能力
訪問介護のサ責業務は、施設の介護リーダーに比べ机に向かって事務作業をする時間が多いのも特徴です。訪問介護計画書の作成や介護記録の管理だけでなく、毎月の請求業務にも深く関わるため、これらの事務処理を的確にこなす能力が必要です。
スケジュール管理能力
訪問介護の仕事は、ご利用者・ご家族・ケアマネジャーや行政の担当者など、ご利用者に関係するあらゆるポジション方とスケジュールを調整しながら仕事を行います。
ご利用者のサービス提供に関しては、施設介護のように食事や入浴のタイムスケジュールが決められているわけではなく、ご利用者の生活スタイルに合わせて動かなければなりません。突発的なスケジュール調整が必要な場面も多いため、柔軟で臨機応変な対応が求められます。
スキルを磨いてマネジメント力をアップさせよう!
今回の記事では、訪問介護のサービス提供責任者にマネジメント力が必要な理由と求められるスキルについて解説しました。
訪問介護のサービス提供責任者には、サービス向上への取り組みやヘルパーをまとめる力など多くのスキルが求められます。マネジメント力をつけるのは難しいことですが、サ責業務を通して介護技術や知識、コミュニケーション力など得られるスキルが幅広いため、自身の成長にもつながるでしょう。
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特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、居宅介護支援事業所での勤務経験。
介護福祉士、介護支援専門員の資格を活かし、高齢者やその家族、介護現場で働く方々のお役に立てる情報をウェブメディアなどで執筆中。
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