訪問介護のサービス提供責任者の仕事といえば、ケアの相談業務・ヘルパー指導・訪問介護計画書や指示書の作成・請求業務などさまざまな役割があります。
中でも、訪問介護のスケジュール管理はご利用者やヘルパーの状況を考慮しながらうまく調整しなければならないため、大変に感じることも多いのではないでしょうか。
この記事では訪問介護のスケジュール管理について解説します。サ責の仕事は、複数の業務を並行して対応する必要があります。
スケジュール管理をスムーズに行い、サ責の業務負担が軽減できるように検討してみましょう。
訪問介護サービスの提供時間のルール
まずは、訪問介護サービスの提供時間のルールを確認しておきましょう。
訪問介護員の勤務時間
訪問介護事業所は、だいたい8時〜18時くらいの時間帯の中で営業時間が設定されています。しかし、モーニングケアやイブニングケアなどが必要な方に対しては、早朝は6時や7時頃、夜間は19時や20時頃に開始するサービスにヘルパーを配置しなければなりません。
正社員のヘルパーの勤務時間は、営業時間の中で1日8時間、週5日のケースが多いでしょう。サービスがないときは、事業所で別の仕事を行う時間帯もあります。
一方登録ヘルパーは、働きたい時間や曜日を指定しておき、その中で勤務時間が決まります。
ご利用者の希望する時間帯やサービス内容とマッチするヘルパーが割り当てられ、キャンセルがあれば臨時での出勤もあるため、その時によって勤務時間が変動するのが通常です。
訪問介護の時間区分と単位数
訪問介護サービスには「身体介護」「生活援助」「通院等乗降介助」があり、サービス時間により単位数が決められています。
主なサービス内容と所要時間、単位数は以下の通りです。
サービス内容 | 所要時間 | 単位 |
---|---|---|
身体介護 | 20分未満 | 167単位 |
20分以上30分未満 | 250単位 | |
30分以上1時間未満 | 396単位 | |
1時間以上 | 579単位(30分を増すごとに+84単位) | |
生活援助 | 20分以上45分未満 | 183単位 |
45分以上 | 225単位 | |
通院等乗降介助 | 1回につき | 99単位 |
他に、身体介護と生活援助を両方行う時間区分もあります。
2時間ルールに注意が必要
訪問介護サービスの算定には「2時間ルール」という規定があります。訪問介護サービスは、お一人のご利用者に1日のうち複数回訪問することが可能ですが、その間隔を2時間以上空けなければならないというルールです。2時間空けていなかった場合は、合わせて1回のサービスとして算定しなくてはなりません。
ただし、緊急時・看取り期・通院等乗降介助サービスの利用時などは2時間ルールの対象外です。
サービス提供責任者はこのようなルールも頭に入れながら、スケジュールを組んでいく必要があります。
訪問介護のスケジュール管理の悩み
多くのサービス提供責任者の方が悩むスケジュール管理。どういった点が大変なのでしょうか。サ責の悩みを以下にまとめました。
ご利用者の希望に合わせたスケジュール管理
訪問介護のスケジュールは、ご利用者に必要な介護サービスを必要な時間にお届けします。
そのため、どうしてもモーニングケアやイブニングケア、昼食時などサービスを希望する時間が重なってしまいます。また、その方が訪問介護サービス以外にも他の介護サービスを受けている場合は、それらの時間とも重ならないように調整しなくてはなりません。
ご利用者とヘルパーにも相性があるため、合わなければヘルパーをチェンジしなくてはならないケースもあります。
1つのサービスを追加したり変更したりするだけで、パズルのように組み合わせて微調節していかなければならないのが大変です。
ヘルパーの都合に合わせたスケジュール管理
スケジュール管理は、前述の通りご利用者の予定に合わせて調整しなくてはなりません。それと同時にヘルパーのスケジュールも考慮する必要があります。
例えば、土日に休みたいヘルパーが多いため、土日が手薄になってしまう事業所も多いでしょう。とはいえ、ご利用者のサービスに土日は関係ありません。毎日サービスが必要な方もいるため調整が必要です。また、年末年始やお盆休みなど世間が休日の時にはヘルパーの休み希望も重なってしまいます。そのような場合にはヘルパーの手配が大変で困ってしまう場合がよくあります。
他のヘルパーが空いていたとしても、今まで援助に入ったことがないご利用者のお宅であれば何も分からず対応出来ないため、代理でサービスに入ることが難しいケースもあります。
また、ヘルパーによっては1日に何軒か連続でサービスに入るため、ヘルパーの移動時間も考慮しながらスケジュールを組んでいく必要があります。
急なキャンセルや予定変更の対応
ご利用者の体調不良などで、急なキャンセルや追加が発生した場合にもその都度スケジュール調整しなくてはなりません。想定外のトラブルが発生した場合に、予定が全体的にずれ込んでしまうこともあります。
そのような場合にも、しっかり把握してスケジュール管理することが必要です。情報を管理しきれず柔軟に対応できなければ、ご利用者やヘルパーに迷惑をかけてしまうことになってしまいます。
記録時間が残業になってしまう
訪問介護のサービス提供時間には記録時間も含まれています。しかし、実際のサービス業務に追われ、記録の時間が取れないケースも多いでしょう。
サービス提供と同様に記録も大切な業務です。ご利用者やご家族にもサービス提供時間には記録の時間も含まれていることを事前に説明しておく必要があります。それでも時間が取れない場合は、サービス内容を見直さなければなりません。また、記録の簡素化や隙間時間に記録ができるような工夫も大切になります。
ヘルパーが、無理なスケジュールになっていないかやスムーズに仕事ができているかを、常に気にかけておくのもサービス提供責任者の大切な役割です。
介護ソフトの導入で改善できること
介護ソフトの導入により、ヘルパーのスケジュール管理が大幅に楽になり業務負担の軽減が期待できます。
スケジュール管理がしやすくなる
多くの介護ソフトが、ヘルパーのスケジュール管理に対応しているので、介護ソフトを導入することで予定管理や調整がしやすくなるでしょう。
急なスケジュール変更があっても、サ責はスマホやタブレットからスケジュール調整ができます。自宅や出先であっても状況が確認しやすいので、すぐに対応できるのもメリットです。
介護ソフトは、ヘルパーの勤務時間や空き状況などを一目で把握できるように工夫されています。空いている時間が見つけやすく、変更後はリアルタイムに反映させることも可能です。
ヘルパーもスケジュール確認がしやすくなるので、双方の予定管理ミスが軽減できます。
介護記録の時間が短縮できる
介護ソフトを導入することで、記録にかかる時間が短縮できます。
スマホやタブレットで入力できるので、わざわざ記録用紙や筆記用具を出して記入する必要がありません。忙しい場合でも、ちょっとした隙間時間を活用して効率よく記録の時間にあてられます。
また、記入ミスをした時に書き直しをしたり、記入した後にご利用者に押印してもらったりする手間も省けます。
入力が苦手な方がいる場合は、音声入力を活用すれば簡単に入力することも可能です。
ヘルパーの残業時間が減らせる
介護ソフトの導入は、記録にかかる時間が短縮できるためヘルパーの残業時間が削減できます。
サービス提供に追われて時間が取れず、終了後に残業して記録を書くのが当たり前になっているケースはよくあることです。しかし、介護ソフトを導入することで介護記録の効率化が期待できます。
サ責に報告しておきたいことがある場合にも記録でリアルタイムに報告できるため、サービス終了後に別途電話やメールで連絡を入れる必要がありません。また、記録用紙をわざわざ事業所に提出しにいく手間も省けます。
記録用紙の提出が不要になることは、サ責の業務負荷も大幅に軽減します。月末月初の時期にも、ヘルパーの記録の提出を待つことなくすぐに請求業務に取り掛かることが可能です。
情報共有・ケア方法の統一がしやすい
介護ソフトは情報共有やケア方法の統一がしやすいメリットもあります。ケアの情報共有ができていれば、ヘルパーの急な休みや変更があっても対応できるヘルパーの幅が広がり、スケジュール変更もしやすくなるでしょう。
施設介護であれば、設備がどのご利用者の居室もほとんど同じであり、ある程度の介護手順も統一されています。もし、分からないことがあっても、その場のスタッフに確認して対応することが可能です。次のスタッフに申し送り事項があってもすぐに伝えられるため情報共有もしやすいでしょう。
しかし、訪問介護のサービス提供は、洗濯・掃除・料理の方法などそれぞれのご家庭によってルールが異なります。身体介護も、トイレやお風呂の設備など介護するシチュエーションが違うため、お一人おひとりの状況に合わせてサービスを行わなければなりません。
そのため、訪問介護サービスはそれぞれのルールに合わせてに対応できるように情報共有が重要になります。介護ソフトを利用し、細かいケアの内容を記録しておくことで、ヘルパーそれぞれがその都度確認しながらサービスにあたれます。
ヘルパーによってケアの方法に違いがあるとクレームにつながりかねません。しかし、介護ソフトの活用によりサ責への報告以外にも、ヘルパー同士の情報共有にも役立ちます。
介護実施記録のシステム化ならテレッサモバイル
訪問介護の実施記録をシステム化するならテレッサモバイルがおすすめです。
テレッサモバイルは、訪問介護サービス実施記録をLINEで報告できる介護記録ソフトです。幅広い年代になじみのあるLINEアプリを使用することで、スマートフォンの操作が苦手な方にも使用しやすくなっています。
サポート体制も充実しているので、パソコン作業が苦手なため介護ソフトの導入に二の足を踏んでいるサ責さんにもおすすめできます。
スケジュール管理や訪問介護記録がスムーズに行えれば、ヘルパーやサ責の業務負担軽減することは間違いなしです。
Author Profile
-
特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、居宅介護支援事業所での勤務経験。
介護福祉士、介護支援専門員の資格を活かし、高齢者やその家族、介護現場で働く方々のお役に立てる情報をウェブメディアなどで執筆中。
Latest entries
- コラム2024年10月25日ホームヘルパー(訪問介護員)とは?役割や働き方・魅力を徹底解説
- コラム2024年11月11日訪問介護は依頼を断れない?サービス提供を拒否できる正当な理由とは
- コラム2024年11月11日訪問介護で適用される2時間ルールとは?具体的な事例で解説します
- コラム2024年10月15日【例文あり】訪問介護のモニタリングシートの書き方を解説!