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訪問介護の手順書(サービス指示書)とは?記入例を詳しく解説!

訪問介護のサービス手順書について解説します。

手順書は、訪問介護においてスタッフがスムーズにサービス提供するために重要な書類です。

この記事では、手順書を作成する際のポイントや具体的な記入例を詳しく解説します。効果的な運用の参考にしてください。

訪問介護手順書とは、訪問介護サービスの開始から終了までの時間配分・援助の手順・注意点などを具体的に記載したものです。呼び方はさまざまで「サービス指示書」とも言われます。

サ責に作成が義務付けられている書類に「訪問介護計画書」がありますが、手順書は法的に定められている書類ではありません。

しかし、サ責にはご利用者の情報伝達の責務が定められています。「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 」において「訪問介護員等に対し、具体的な援助目標及び援助内容を指示するとともに、利用者の状況についての情報を伝達すること。」と記載されています。

これを遵守しているという証拠となるのが手順書です。手順書を作成しなければならないとされているわけではありませんが、運営指導などで問われた際に明確に法令遵守の根拠を示すことができます。

参考:厚生労働省「訪問介護におけるサービス提供責任者について」

特定事業所加算を算定する場合「利用者情報の文書等による伝達、訪問介護員等からの報告」が要件としてあげられます。この要件は、特定事業所加算(Ⅰ)〜(Ⅴ)の5種類すべてに含まれているため、加算を取得する場合には必ずクリアしなくてはなりません。

特定事業所加算を取得することで、利用者の介護報酬が最大で20%アップします。事業所の収益アップや、事業所全体の介護サービスの質を向上させるためにも、積極的に加算を取得することが望まれます。

参考:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」

ここからは、手順書の作成ポイントをみていきましょう。

手順書は、訪問介護計画書にもとづいて作成するものです。そのため、目標達成を意識した記載をすることが大切です。

訪問介護計画書には「目標」や「サービス内容」が記載されていますが、実際のサービスでどのような援助をするのかまでは記載されていません。そのため、現場でヘルパーが具体的にどのような援助を行うのかを示す必要があります。

自立支援を意識した内容を記載することも重要です。同じ入浴介助でも「洗身はご自身で行っていただくようにタオルを渡す」「洗髪は全介助」など、ご自身でできること、できないことを明確にしておく必要があります。ご利用者に関わるすべての人が同じ認識で目標達成に向けてサービス提供することが大切です。

手順書がしっかり記載されていれば、誰が担当しても同じサービスが提供できます。訪問介護の場合はご利用者の自宅で一人で対応しなくてはならないため、新人スタッフなどは特に不安になってしまう方も多いでしょう。また、急なスケジュール変更などで普段サービスに入っていないヘルパーがピンチヒッターで入った時などにも手順書が役立ちます。

そのためにも、部屋の間取り図や、物品の場所など細かく記載しておき、誰でも同等のサービスが提供できるよう意識して作成することが大切です。

手順書には、時間配分や援助方法だけでなく注意点・主治医からの指示・NGワード・NG行動・お声かけのコツなどを具体的に記載しておくと、事故やクレーム予防に効果的です。

訪問介護ではどうしても、注意点を申し送っていても忘れてしまうことや情報共有が行き届いていないケースが起こってしまいます。事故やクレームを繰り返さないためにも、注意事項までしっかり記載しておきましょう。

よくありがちなのが、一度作成した手順書を更新せず古いままになっているケースです。サービス内容が変更になるたびに、作り替えなければトラブルの原因になるため注意が必要です。長期間更新されていなければ確認しても意味がないため、いずれヘルパーも活用しなくなってしまいます。

サービス提供開始時などはとくに手探りの状況で、日毎援助内容が変化していきます。ヘルパーの不安を解消するためにも、こまめな更新が大切です。

訪問介護手順書

キャプスの手順書は、紙とCD版での販売をしています。

ここからは手順書の具体的な記入例を、身体介護の「入浴介助」と生活援助の「掃除」と「買い物代行」の3パターンをご紹介します。

前述のとおり、手順書には作成義務がないため、決まった書式もありません。一般的な様式で記入例を示しますので、作成時の参考にしてください。

開始
時間
所要時間サービス内容手順注意点
14:005分入室
体調確認
・チャイムを押して入室
・あいさつ
・体調確認
・体温、血圧測定
・妻が鍵を開けてくれるのでゆっくり待つ
・体温37.0℃以上、血圧160以上の場合は入浴中止。体調不良なければ清拭に切り替える
・体温、血圧は実施記録に記載する
14:055分入浴準備・着替えを準備していただくようにお声がけする
・お湯を貯める
・バスボードとチェアをセットする
・入り口に滑り止め付きののバスマットを敷く
・脱衣室に椅子を準備する
・ヘルパーの身支度
・水分摂取を促す
・トイレ誘導する

・着替えを準備していただいている間にヘルパーは浴室の準備をする
・着替えは自身で用意されるが不足がないか確認する(上下の衣服・シャツ・リハビリパンツ・尿取りパッド・靴下)
・バスマットは脱衣室の棚にある
・パッドが汚れている場合はこの時点処分する
14:105分脱衣室へ移動脱衣・脱衣室に着いたらお湯を出してチェアを温める
・椅子に座り、ご自身で上下脱衣していただく。
・リハビリパンツを脱いだらゴミ袋に入れて脱衣室の隅に一旦置いておく
・背中に湿布が貼っている場合は取る
・軽度の左片麻痺あり。上着が脱ぎにくい時は袖を抜く介助をする。
14:1520分移動
洗髪
洗身
・浴室への移動時は左側に立ち手を添える
・チェアの手すりを持って座っていただく
・お湯の温度を確認してから全身にかける
・お声がけして髪を濡らす
・シャンプーを手のひらに乗せ、ご自身で洗髪していただく
・洗身はボディーソープを泡立てたタオルを渡してご自身で行っていただく
・背中と足先は介助する
・洗身が終わったら一旦シャワーで体を流す
・床に泡が残っていないのを確認したら前の手すりを持って立ち上がっていただきタオルを渡す。陰部・臀部を洗っていただく
・泡の洗顔フォームを2プッシュ手のひらに乗せ顔を洗っていただく
・洗面器にお湯を入れて洗浄していただく
・湯温は40℃を好まれる
14:3510分浴槽に浸かる・浴槽の手すりにつかまって立ち上がり、一旦バスボードに腰掛けていただく
・右足から順に足を浴槽に入れる
・浴槽脇の手すりにつかまりながらゆっくりと腰を下ろしてもらう。念の為後ろから手を添えておく
・5分ほどたったら浴槽から出る
・ゆっくり立ち上がってもらい、一旦バスボードに腰掛ける
・左足から浴槽の外に足を出す。後ろから軽く体を支えておく
・シャワーチェアに座りかけ湯をする
・バスボードにお湯をかけて温めておく
・左足が上がりにくい時は介助する
・長湯を好まれるため注意が必要。時計で時間を確認しておく
・左足が上がりにくい時は介助する
14:4510分着衣
居室へ移動
・脱衣室の椅子にバスタオルをかけておく
・全身を拭いていただく
・髪の毛はフェイスタオルで巻いておく
・全身が拭けたら、保湿剤を塗る
・ご自身で上下着衣していただく。
・ドライヤーで髪を乾かす
・居室へ移動
・水分摂取を促す
・体調を確認する
・保湿剤とドライヤーは洗面所の青いカゴに入っている
・リハビリパンツのパッドを付け忘れることがあるので確認する
14:555分記録
退室
・脱衣室を整える
・衣服、タオルは洗濯カゴに入れる
・ゴミをゴミ箱に捨てる
・実施記録を入力して送信する
・脱衣室の椅子は奥に寄せておく
・浴室清掃は妻が行う
開始時間所要時間サービス内容手順注意点
10:005分入室体調確認・チャイムを押して入室
・あいさつ
・体調確認
・本日の掃除内容を確認する
・ご自身が鍵を開けてくれるのでゆっくり待つ
・朝は体調が優れない時があるので注意
10:0510分居室
廊下
・棚、テーブルなどの高いところからほこりを落とす
・奥から掃除機をかける
・テーブルの上の書類は触らない
(過去にクレームあり)
・テーブルの上に食器が放置されている場合はお声かけしてキッチンへ持っていく
・掃除機は玄関横の納戸にある
10:1510分キッチン・食器が残っていれば洗う
・シンクをスポンジで洗う
・三角コーナーのゴミを捨てる
・ガスレンジを固く絞った布巾で拭く
・キッチンの床は掃除機をかける
・シンク用のスポンジが別にあるので使い分ける
・三角コーナーのゴミを捨てたら新しいネットをかけておく(ネットは食器棚の一番下にある)
10:255分浴室・風呂用ブーツを履いて浴槽、床をスポンジで洗う・シャンプー・石鹸類は元の場所に戻す
10:305分トイレ・トイレ用の洗剤で便器内をこする
・便座、床はトイレシートで拭く
・トイレットペーパーの残りを確認して補充する
・汚物入れの中を確認して処分する
・トイレットペーパーの残りが3つになったら次の買い物で購入するように申し送る
・汚れた下着が汚物入れに入っている場合があるので注意して捨てる
10:355分記録
退室
・翌日ゴミ出しできるように玄関に出しておく
・実施記録を入力して送信する
開始
時間
所要
時間
サービス内容手順注意点
10:005分入室
体調確認
買い物リスト確認
・チャイムを押して入室
・あいさつ
・体調確認
・購入するものをメモしてくれているので確認する
・購入するスーパーも確認する
・冷蔵庫の在庫確認をする
・代金を受け取り、ヘルパー用のポーチに入れる
・預かった金額を記録しておく
・ご自身が鍵を開けてくれるのでゆっくり待つ
・重複する場合があるのでリストのものが冷蔵庫にないか確認する
・牛乳を切らすことが多いので確認する
・サービス範囲外の買い物を頼まれた場合はご説明して断る
(どうしても納得いただけない場合は〇〇サ責に相談する)
・財布ごと渡されるので、目の前で開けて必要な金額のみ受け取る。
10:0530分買い物・〇〇ストアか××スーパーで買い物リストをもとに購入する
・レシートを忘れずに受け取りお釣りを確認する
10:3510分商品を渡す
おつりの確認記録退室
・購入した商品を渡し確認してもらう
・おつりとレシートを渡し、確認していただく
・必要なものは冷蔵庫に入れるように促しご自身で行っていただく
・実施記録を入力して送信する

今回の記事では、訪問介護の手順書について解説しました。手順書は具体的な援助内容が記載されている書類なので、ヘルパーさんにとっては身近で頼りになるものです。手順書をもとにサービス提供することで、ケアが統一されご利用者満足度が上がり、ヘルパーさんの不安も軽減します。効果的な作成でサービス向上を目指しましょう!

訪問介護の記録や情報共有にはテレッサモバイルがおすすめです。

テレッサモバイルは訪問介護の記録に特化したシステムです。幅広い年代層におなじみのLINEアプリを使用するので、ITに苦手意識がある方にも感覚的に利用していただけます。ヘルパーさんはサービス終了後に、提供したサービス内容やご様子を入力して送信するだけ。スキマ時間を活用して入力できるので記録が負担になりません。
また、「ベーシック版」では、サービスの手順などを事前指示としてヘルパーさんに伝えることもでき、スムーズなサービス提供、急なシフト変更にも役立ちます。

Author Profile

tomo
tomo
特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、居宅介護支援事業所での勤務経験。
介護福祉士、介護支援専門員の資格を活かし、高齢者やその家族、介護現場で働く方々のお役に立てる情報をウェブメディアなどで執筆中。