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2024年度介護保険法改正の注目すべき見直しポイントを解説

2024年は介護保険法改正の年です。
日本は2040年に高齢者人口がピークに達すると予測されています。
一方で20歳から64歳の現役人口は減少を続けているため、介護業界を含めた労働力不足は深刻です。

高齢化社会を取り巻く現状は日々変化しており、常に社会のニーズに合わせた制度の見直しが必要です。そのため、介護保険はサービスを提供する事業者の報酬やサービス内容などが3年に1度のペースで改正されています。

今回の記事では、2024年度介護保険法改正の注目すべき見直しポイントを解説します。ルールを正しく把握し、対応に向けて準備を進めていきましょう。

2024年介護報酬改正の基本的な4つの視点

厚生労働省では、2024年度の介護報酬改定に向けた基本的な視点を以下の4点で整理されています。

  1. 地域包括ケアシステムの深化・推進
  2. 自立支援・重度化防止に向けた対応
  3. 良質な介護サービスの確保に向けた働きやすい職場づくり
  4. 制度の安定性・持続可能性の確保

参考:厚生労働省 介護報酬改定に向けた基本的な視点

それぞれの視点に沿って詳しくみていきましょう。

1.地域包括ケアシステムの深化・推進

地域包括ケアシステムとは、介護が必要な方が介護や医療のサービスを受けながら、住み慣れた地域で生活できるシステムを言います。地域と言っても都市部と地方では実情が違う中、それぞれに応じた取り組みを推進し、システムを構築していくことが必要です。

2040 年にピークを迎えると言われる高齢者人口。それに伴い、認知症の方や単身で生活されている高齢者、医療ニーズの高い高齢者の数もどんどん増加していくため、高齢者を地域で支えるための地域包括ケアシステムをさらに深化・推進させていくことが求められます。

他にも、感染症や自然災害などが発生した場合にも、介護サービスが継続的に供給できる体制の構築についても示されています。

2.自立支援・重度化防止に向けた対応

2つ目は、自立支援や介護の重度化を防止するための取り組みです。介護が必要になってもその方の尊厳を守り、持っている能力に応じた生活が継続できるように必要なサービスを提供することが必要とされています。

リハビリテーション、口腔、栄養などに一体的に取り組んだ場合の加算や、LIFE による質の高い科学的介護の推進が評価されます。

3.良質な介護サービスの確保に向けた働きやすい職場づくり

介護の人材不足がますます厳しくなると予想される中、良質な介護サービスを維持し介護者が働きやすい環境を整備していくことも重要な課題です。

介護職員の処遇の見直しや、業務を効率化させて働きやすい環境を生み出すためのICT等テクノロジーの推進を通した人材確保対策が求められています。

4.制度の安定性・持続可能性の確保

介護ニーズが増大する中で、介護保険制度の安定性と持続可能性を確保する取組が、引き続き必要であることが明記されています。

これまでの制度改正でも定期的に見直しされている介護保険制度ですが、評価の適正化・重点化・報酬体系の整理・簡素化をしながら、必要なサービスを継続的に確保できる体制を整えることが重要です。

2024年度版介護サービスコード表

2024年4月の報酬改定に対応した【全サービス掲載】介護サービスコード表です。

2024年介護報酬改正のポイント

2024年に改正される介護保険法、介護報酬について気になるポイントをピックアップして確認してみましょう。

介護報酬が+1.59%引き上げられる

2024年度の介護報酬の改定率は+1.59%です。内訳は介護職員の処遇改善分が+0.98%その他の改定率が+0.61%です。この改定率は、臨時の改定を除くと過去2番目に高い改定率になりました。

介護報酬が改定される日は2024年4月です。ただし、診療報酬が6月に改定されるので「訪問看護」「訪問リハビリテーション」「通所リハビリテーション」「居宅療養管理指導」の、医療系サービスはこれに合わせて施行されます。

財務諸表の公表が義務化される

2024年度から介護サービス事業者に財務諸表の公表が義務化されます。財務諸表とは、1年間の企業の財務状況を報告する決算書類です。介護事業所の運営において、お金の出入りやどれくらいの儲けがあるかなどが財務諸表でわかります。

これまで公表の義務があったのは社会福祉法人や障害福祉事業者のみでしたが、今後は全ての介護事業者が対象となり、定期的に都道府県知事に届けなければなりません。もし怠った場合には指定の取消や業務停止が課せられる可能性もあります。

科学的介護情報システム「LIFE」の活用

LIFE(科学的介護情報システム)とは、ご利用者の状態・ケアの計画・ケアの内容などを一定の様式で入力すると厚生労働省に送信されるシステムです。送信された内容が分析後、現場にフィードバックされる仕組みです。

フィードバックされたデータは、現場でご利用者のケアの向上のために利用できるほか、全国から収集できる大規模なデータは国の施策などにも活用されます。2021年度の改正でもLIFEの活用等が要件となる加算が創設されましたが、さらなる推進を目指して対象サービスや加算の見直しが行われます。

介護予防支援が居宅介護支援事業所に指定を拡大

地域包括支援センターの役割の一つである介護予防ケアマネジメント。要支援1・2と認定された方のケアプランの作成など、さまざまな支援を行いますが地域包括支援センターの業務の中で大きな負担になっています。そのため、多くのケースが地域包括支援センターでの契約後に居宅介護支援事業所に委託されているのが現状です。

今回の改正では、居宅介護支援事業者も市町村からの指定を受けることにより、介護予防支援を直接受注できるように変更され、地域包括支援センターの業務負担の軽減が図られることになります。

処遇改善加算が一本化される

介護職員の処遇改善を目的とした加算には「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」の3種類があります。

介護職員の給料アップや職場環境の改善のためにも積極的に活用したいところですが、事務手続きの煩雑さやご利用者の自己負担増なども懸念され、取得していない事業所も一定数あるのが現状です。それぞれの制度が理解しづらいのも問題です。

そこで今回の改正では、加算取得のための手続きを簡素化するために処遇改善加算が一本化されます。その上で、新たな「介護職員等処遇改善加算」には4段階の区分で加算率が設けられる予定です。

【見送り決定】注目されていた改正案

今回の介護保険制度改正で注目されていたけれど、見送りが決定した改正案もいくつかあります。

  • 訪問介護と通所介護の複合型サービスを創設
  • 自己負担額2割負担の範囲拡大
  • ケアプランの有料化
  • 要介護1~2における総合事業への移行

まず注目されていたのが、訪問介護と通所介護を併せた複合型サービスの創設です。地域密着型通所介護事業所が訪問介護サービスも提供することで、ヘルパーの人材不足を補うほか、ご利用者の細かいニーズにも対応できる新サービスの登場が期待されていましたが今回は見送りが決定しました。

ほかに、1割負担の対象者の中から2割負担の対象者を拡大する案や、ケアプラン作成費用を有料にする案が見送られたことに関しては、胸を撫で下ろしている方もいるかもしれません。

議論は次回に持ち越されましたが、少子高齢化が進む中でこれらの改正案には今後も注視が必要です。

今後の動向を注視し準備を進めよう!

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今回の記事では、2024年度の介護保険法について解説しました。

訪問介護においては介護報酬が減額となる今回。そのため、今後は処遇改善加算や特定事業所加算の取得がカギとなるといっても過言ではありません。
サービスの継続・持続のため、加算を取得していない事業所は早めの対策をしていくことがおすすめです。

しかし、加算取得には一定の条件があり、クリアするのはハードルが高いものもあります。

介護・福祉の総合マーケットキャプスが提供する「テレッサモバイル」は、介護記録をLINE上で報告・送信できるシステムで、特定事業所加算の取得に必要な事前指示・適宜報告が可能になるほか、特定事業所加算取得のためのサポートも行っています。

今後は介護業界でもさらにICT化が進み、業務効率をあげるための取り組みが評価されるようになるでしょう。

テレッサモバイルは、介護記録の管理に特化したアプリなので、シンプルでわかりやすいのが特徴。あらゆる世代でなじみのあるLINEを使ったシステムのため、スマホの操作が苦手なヘルパーさんにも安心です。

介護報酬減額に備え、テレッサモバイルの導入をぜひご検討ください!

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tomo
tomo
特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、居宅介護支援事業所での勤務経験。
介護福祉士、介護支援専門員の資格を活かし、高齢者やその家族、介護現場で働く方々のお役に立てる情報をウェブメディアなどで執筆中。