サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)では、入居者の状況把握や職員間の情報共有、各種書類作成など多岐にわたる業務があります。これらの業務を効率化するには、専用の介護記録ソフトが欠かせません。
適切なソフトを選択することで職員の業務負担を大幅に軽減し、入居者へのサービス品質向上につなげることが大切です。
本記事では、サ高住における介護記録ソフトに必要な機能や選定時のポイントを詳しく解説します。自施設に最適なソフト選びの参考にしてください。
サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)とは

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは、高齢者が安心して暮らせるように設計された賃貸住宅です。
バリアフリー構造や緊急通報システムなど、安全面に配慮した設備が整っており、見守りや生活相談などのサービスも付いています。
介護が必要になった場合は、外部の介護サービスを利用できるため、自立した生活を続けながら必要な支援を受けられます。
サ高住の入居条件
サ高住の入居対象者は、原則として60歳以上の高齢者または要介護・要支援認定を受けた60歳未満の方です。夫婦での入居も可能で、どちらか一方が条件を満たしていれば両名とも入居できます。
多くのサ高住では、入居時に連帯保証人や身元引受人の設定が求められますが、要介護度による入居制限は設けられていません。
自立から要介護5まで幅広い介護度の方が利用可能で、介護度が変化しても継続して住み続けられる点が特徴です。
サ高住で受けられるサービス
サ高住では、法律により「安否確認」と「生活相談」の2つのサービス提供が義務付けられています。
「安否確認」は、職員が定期的に入居者の健康状態や生活状況を確認するサービスで、緊急時の対応体制も整備されています。「生活相談」では、日常生活に関するさまざまな相談に応じ、必要に応じて適切な専門機関への橋渡しを行います。
これらの基本サービスに加え、多くのサ高住では食事提供や清掃、洗濯などの生活支援サービスを利用することも可能です。
介護が必要になった場合は、併設する事業所や外部の訪問介護、デイサービスなどの介護保険サービスを個別に契約して利用する仕組みです。
サ高住の費用形態
サ高住の費用は、大きく初期費用・月額費用・その他の費用に分けられます。
- 初期費用
入居時に15〜50万円程度の敷金が必要です。賃貸契約形式のため、礼金や更新料は不要な場合がほとんどです。 - 月額費用
一般型は約10〜25万円、介護型は約15〜40万円が目安です。家賃、管理費、基本サービス費、食費、光熱費などが含まれます。 - その他の費用
介護サービスや医療サービスの利用料、日用品費、家事代行などのオプションサービス費は別途発生します。
費用は施設や地域、サービス内容によって大きく異なります。入居を検討する際は、必ず資料や見積もりを取り寄せて比較検討することが大切です。
サ高住向け介護記録ソフトの必須機能

サ高住の運営を効率化し、質の高いサービスを提供するためには、サ高住の業務に適した介護記録ソフトが欠かせません。
一般的な介護施設とは異なる業務フローや管理項目があるため、サ高住特有のニーズに対応できる機能が備わっているソフトを選ぶことが重要です。
入居管理機能
サ高住の入居管理機能は、賃貸住宅としての契約業務と介護サービスの管理を同時に行える仕組みが必要です。住宅事業ならではの複雑な業務をスムーズに処理できる機能が求められます。
入居者情報の管理では、基本的な個人情報に加えて、連帯保証人や緊急連絡先、病歴、処方薬などの詳細情報を一箇所で管理し、全職員が必要な時にすぐ確認できる環境を整えます。
さらに、要介護度の変更履歴やご家族との連絡内容などを蓄積することで、継続的で質の高いケアの提供が可能になります。
契約期間の満了アラートや稼働率の自動集計といった運営支援機能も、安定した施設経営を支える重要な要素です。
申し送り・情報共有
サ高住では、法的な夜間スタッフ配置義務はありません。しかし、提供するサービスや入居者の状況に応じて24時間体制でサービスを提供している施設が多く、職員間の確実な情報共有が入居者の安全と満足度に直結します。申し送り機能では、日中・夜間・休日それぞれの勤務体制に応じた情報伝達ができる仕組みが必要です。
緊急性の高い情報については優先表示機能やアラート機能を活用し、見落としを防ぐ工夫が重要です。入居者の状態変化を視覚的にも把握できる環境を整備することで、より質の高いケア提供が実現できます。
提供している各種サービスの記録
サ高住では、提供しているさまざまなサービスの記録を適切に管理することが重要です。法令で義務付けられている安否確認や生活相談の記録をはじめ、食事提供や生活支援、併設事業所の介護サービスなど、すべてのサービス記録を明確に区分して管理できる機能が必要です。
記録入力の効率化には、定型文の登録機能やタブレット・スマートフォンでの入力対応、音声入力機能などがあると便利です。
また、記録の客観性と継続性を保つためには、時系列での記録表示や関連サービスとの連携記録、画像添付機能などがあると効果的でしょう。
監査対応や事故発生時の検証には、検索・抽出機能が充実していると安心です。
立替金請求業務との連動
サ高住特有の各種金銭管理については、透明性と正確性が重要です。入居者から預かる立替金の管理機能があると、日用品購入や医療費支払いなどの詳細な使途記録と残高管理が効率的に行えます。
また、サ高住の請求業務は、住宅費用と介護サービス費用を合わせて管理する必要があります。月額利用料の計算機能では、日割り計算や中途入退去への対応、選択制サービスの利用実績に応じた料金計算があると便利でしょう。
家族への定期報告や入居者本人への説明資料として活用できる、分かりやすい形式での帳票出力機能も重要な要素です。さらに、銀行引き落としや現金収納など多様な支払い方法に対応した管理機能があると、業務効率化につながります。
スタッフ管理・シフト作成
サ高住では、安否確認と生活相談を中心とした基本サービスに加え、併設事業所での介護サービス提供もあるため、職員配置の管理が重要です。シフト作成機能があると、入居者の状況や業務量に応じた人員配置がスムーズに行えるでしょう。
また、職員の資格情報や勤務実績を管理できる機能があると、適切な人員配置や労務管理に役立ちます。
センサー・ナースコール機器等との連携
高齢者の安全確保と職員の業務効率化のため、各種機器との連携機能があると便利です。ナースコール機器との連携では、入居者からの呼び出し履歴を記録できると対応状況の把握に役立ちます。
また、見守りセンサーやバイタルサインモニターとの連携機能があると、入居者の生活リズムや状態変化の把握がしやすくなるでしょう。
これらの機器連携により得られる客観的なデータは、家族への報告や医療機関との連携においても有効な情報源となります。
サ高住向け介護記録ソフトを選ぶ際のポイント

適切な介護記録ソフトの選択は、自施設の規模や特徴、将来的な展望を踏まえた、長期的な視点が重要です。
直感的な操作性と使いやすさ
介護記録ソフトの使いやすさは、職員の負担軽減に大きく影響します。パソコンが苦手な職員でも簡単に操作できる、分かりやすい画面構成のソフトを選ぶことが大切です。ボタンや文字が大きく見やすい、必要な機能がすぐに見つけられる、といった基本的な使いやすさが重要でしょう。
また、タブレットやスマートフォンでも使えると、入居者のそばで直接記録を入力できて便利です。
安定稼働と拡張性のある動作環境
サ高住では介護ソフトが毎日安定して動くことが重要です。動作が遅いと職員の作業に支障が出るため、快適に使えるシステムを選びましょう。
インターネット経由で使うクラウド型システムの場合は、データがしっかり保管され、万が一の時にも復旧できる仕組みがあるか確認が必要です。また、複数の職員が同時に使っても問題なく動作するかも重要なポイントです。
万全なセキュリティ対策と情報保護
入居者の個人情報を扱うサ高住では、情報漏洩を防ぐセキュリティ対策が重要です。職員一人ひとりにパスワードを設定し、担当業務に必要な情報だけを見られるように制限する機能があると安心でしょう。
また、誰がいつシステムを使ったかを記録する機能があると、万が一の時にも原因を調べることができます。データが暗号化されて保存される、定期的にセキュリティの点検が行われるなど、安全対策がしっかりしているシステムを選ぶことが大切です。
適正な導入コストと充実したサポート体制
介護ソフトを導入する際は、購入時の費用だけでなく、毎月の利用料や職員への操作説明費用なども含めて総額を考えることが大切です。高機能すぎて使いこなせないものより、自施設に必要な機能を備えた適正価格のソフトを選びましょう。
また、導入後のサポート体制も重要なポイントです。操作で困った時にすぐ電話で相談できる、システムに不具合が起きた時に迅速に対応してもらえる、介護保険制度の変更に合わせてシステムを更新してもらえるなど、長く安心して使えるサポートがあるか確認しましょう。
適切な介護ソフト選択でサ高住運営を成功に導く

サ高住向け介護記録ソフトの導入は、職員の負担軽減と入居者サービスの向上につながる大切な取り組みです。住宅サービスと介護サービスの両方を提供するサ高住の特徴に合ったシステムを選ぶことで、日々の業務をスムーズに行えるようになります。
入居者情報から日々の記録、月末の請求業務まで一つのシステムで管理できると、職員の作業時間短縮と記録ミスの防止につながります。また、見守りセンサーなどの機器と連携できる機能があると、より安全で質の高いケアを提供できるでしょう。
システムを選ぶ際は、使いやすさ・安定性・セキュリティ・費用を総合的に比較し、自施設に最適なものを選択することが重要です。適切なシステム導入により、サ高住の持続可能な運営と入居者満足度の向上を実現しましょう。
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投稿者プロフィール

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特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、居宅介護支援事業所での勤務経験。
介護福祉士、介護支援専門員の資格を活かし、高齢者やその家族、介護現場で働く方々のお役に立てる情報をウェブメディアなどで執筆中。
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