少子高齢化が進み、介護業界では慢性的な人材不足や業務負担の増大が深刻化しています。
こうした課題解決の切り札として注目されているのがAIやロボット技術の導入です。本記事では介護現場の業務効率化、ケア品質向上を実現した最新AI・DX事例を紹介します。
AI活用にまだ踏み切れていない介護事業所の経営者や管理者、サービス提供責任者の皆さんに向けて、導入時のメリット・課題から補助金など推進策、失敗しないポイントまで解説します。ぜひこの記事を参考にして、AI導入による介護現場の改革を進めてください。
介護業界におけるAI活用の現状と課題

介護業界では2025年問題を背景に、AI技術の導入が急速に進んでいます。人材不足は2025年には32万人に達すると予測されており、政府は介護テクノロジー導入支援事業(ICT補助金)による補助金を設定し、見守りシステムや介護記録自動化分野でのDX化を強力に後押ししています。
AI導入による効果として、見守りシステムによる24時間監視体制の確立、ケアプラン作成の効率化、記録業務の自動化などにより、職員の業務負担軽減と利用者の安全性向上が実現されています。
一方で、システムの過信による人的判断力の低下や、職員の不安軽減のための教育体制整備などの課題も存在し、AI技術と人による介護の適切なバランスが求められています。
介護現場でのAI導入事例

実際の介護施設では、様々な分野でAI技術が活用され、具体的な成果を上げています。ケアプラン作成から見守り業務、記録作成まで、現場のニーズに応じた多様な活用事例が生まれており、導入時の成功ポイントも明確になってきています。
ケアプラン作成支援AIの活用
ケアプラン作成支援AIは、利用者の状態変化や過去の膨大なデータを分析し、一人ひとりに合わせた個別性の高いケアプランの提案を行うシステムです。近年、多くの企業がこの分野の開発に注力しており、実証実験などを通じてサービスの製品化が進んでいます。
導入のメリットは、従来時間のかかっていたケアプラン作成業務の効率化と標準化です。AIが利用者の身体機能、認知機能、既往歴、家族構成といった多角的な情報を総合的に分析し、適切なサービス内容や頻度を提案します。
ケアプラン作成支援AIの活用により、経験の浅い新人ケアマネージャーでも、ベテラン職員と同等レベルの質の高いプランを作成することが可能になります。
見守り・転倒予防AIの活用
見守り・転倒予防AIシステムは、センサー技術と画像解析を組み合わせて利用者の安全を24時間監視するシステムです。AIが利用者の立体的な動きや骨格を捉え、転倒につながる可能性のある危険な動作を高い精度で検知します。
危険をその場で判断してすぐに通知する反応の速いシステムや、利用者の姿勢をAIが分析し、転倒しそうだと予測して未然に防ぐタイプも登場しています。
実際にシステムを導入した施設からは、ヒヤリハットや介護事故の件数が減少した、夜間の訪室回数が減った、職員の夜勤ストレスが軽減されたといった効果が報告されています。従来の定期巡回に加えて異常時のみピンポイントで対応することが可能となり、利用者のプライバシーに配慮しつつ、より安全な監視体制を構築できます。
記録業務の自動化
音声認識技術などを活用し、介護記録の作成を自動化するシステムも多くの施設や事業所で取り入れられています。
音声入力に対応したアプリを使えば、職員が介助の内容などを声に出すだけで、AIが内容を読み取り自動で記録してくれます。調査では、こうしたシステムの導入で職員1人あたり1日40分もの時間削減が実現したという報告もあるほどです。
記録は自動的にテキスト化されます。保存された記録は他の職員もすぐに確認でき、情報共有がスムーズになるでしょう。
中には、介護請求ソフトと連携できるものもあり、記録から請求までを一貫して行えるため、施設全体の業務効率化への大きな貢献が期待できます。音声入力の活用で、手入力にかかっていた時間が大幅に短縮され、職員はより多くの時間を本来のケア業務に充てられるようになります。
コミュニケーション・レクリエーション支援
コミュニケーション・レクリエーション支援AIは、高齢者の社会参加を促し、認知機能の維持を目的とした対話型のAIシステムです。
居室にロボットを置くことで、健康状態のチェックから日々の雑談まで、多角的に高齢者をサポートします。ロボットとの会話を記録して、離れて暮らす家族が専用サイトで様子を確認できるようなサービスも活用されています。
さらに、利用者の認知レベルに合わせて最適なレクリエーションを提案するロボットも登場しています。こうした機能は、利用者の心身の活性化を促し、認知症の進行を緩やかにする効果も期待できるでしょう。結果として、ケアマネージャーの業務負担軽減や、高齢者と家族のコミュニケーション促進につながります。
AI・ロボット活用によるメリット

AI・ロボット技術の導入は、介護現場に多面的なメリットをもたらしています。職員の働きやすさ向上から利用者のケア品質向上まで、その効果は着実に現れており、今後さらなる技術進歩により新たな可能性が広がっていくでしょう。
業務負担軽減と職員定着効果
2025年には約32万人の介護職員が不足すると予測されており、業界全体が深刻な人手不足に直面している状況です。こうした中、AIやロボットの導入による業務負担の軽減は、職員の離職を防ぎ、定着率を高める上で直接的な効果が期待できます。
特に夜間の見守り業務では、AIが人の代わりに見守ることで、職員の心理的なプレッシャーが大幅に和らぎます。 記録業務の自動化や見守りシステムの導入は、職員の心身両面にわたる負担を軽くしてくれるでしょう。記録の自動化で生まれた時間は、利用者と直接向き合う時間に充てられるため、職員のやりがい向上にもつながります。
結果として、採用コストの削減や人材育成の効率化が進み、経営面での好循環が期待できます。
ケア品質・サービス向上
AI技術の活用で期待できるのは、一人ひとりに寄り添った質の高いケアの実現です。
AIは、利用者の健康状態や日々の生活リズム、さらには個人の好みといった膨大なデータを分析し、その人に最適なケアプランを立案する手助けをします。これにより、画一的ではない、本当に必要な支援を提供できるようになります。例えば、健康管理システムがバイタルデータの微細な変化を捉えて体調不良を早期に発見したり、認知機能支援AIがその人のレベルに合ったレクリエーションを提案して社会参加を促したりといった活用が進んでいます。
特に、安全性の向上という面では大きな成果が上がっています。転倒予防システムを導入した施設では事故の発生率が大幅に減少し、利用者や家族からの信頼向上に直結しました。また、24時間体制の見守りが可能になることで、緊急時にも迅速に対応でき、重篤な事故を未然に防いでいます。
AI活用で失敗しないポイント

AI導入の成功には、適切な準備と計画的な実施が不可欠です。多くの導入事例から得られた教訓と、政府支援制度の活用法、そして失敗を回避するための具体的なポイントについて解説します。
補助金・政策支援を活用する
AI導入のコストを抑えるために、補助金を積極的に活用しましょう。国の主要な制度として「介護テクノロジー導入支援事業」がありますが、実際の申請窓口は各都道府県や市町村となります。
この事業は、見守りセンサーや移乗支援ロボット、介護ソフトなどのICTといった機器の導入を支援するもので、手厚い補助が受けられる内容になっています。国の通常予算と補正予算の2本立てで進められており、活用できるチャンスが広がっています。
補助金を上手に活用するには、いくつかのポイントがあります。 まず、申請先となる自治体によって公募期間や要件が異なるため、ウェブサイトなどで最新情報を確認することが重要です。既に募集を終了している自治体や、まだ詳細を発表していない自治体もありますので、注意が必要です。
その上で、「なぜ導入するのか」という目的を明確にすることが大切です。「職員の負担を〇〇%減らす」「夜間の見守り業務を効率化する」といった具体的な目標を立てましょう。単に機器を買うだけでなく、導入によってどう業務が改善されるかを計画で示すことが、審査を通過する鍵となります。
段階的な導入計画の策定
AI導入の成功には、段階的な計画策定と現場の課題を正確に把握した戦略的なアプローチが欠かせません。
導入計画では、まず現状の業務分析を行い、AI化による効果が高い業務から優先的に取り組みます。パイロット導入により小規模でテストを行い、問題点を洗い出した上で本格導入に進むアプローチが効果的です。導入スケジュールは余裕を持って設定し、職員の習熟期間や運用安定化のための期間を十分に確保することが重要です。
具体的には、見守りシステムや記録業務自動化など、職員負担が大きく効果が見えやすい分野から段階的に導入を進めることで、成功体験を積み重ねながら施設全体のDX化を推進できます。また、補助金申請のタイミングと合わせた導入計画を立てることで、コスト面でも効率的な導入が可能となります。
社内教育と職員の理解促進
AI技術の導入成功には、職員の理解と協力が不可欠であり、適切な教育プログラムの実施が重要な要素となります。
社内教育では、AI技術への理解促進と操作方法の習得、そして導入後の業務フローの変更に対する支援が必要です。具体的な進め方として、若手職員をリーダーとした推進チームの結成や、段階的な研修プログラムの実施が挙げられます。また、導入に対する不安や抵抗感を軽減するため、他施設の成功事例の共有や、導入効果の定期的な報告も効果的です。
成功の鍵は、組織全体でAI活用を進める体制を築くことです。そのためには、経営層と現場職員との間で、活発なコミュニケーションが欠かせません。経営層は導入のビジョンを明確に伝え、現場の意見にも耳を傾けることが大切です。また、「AIはあくまで業務を支援するツールであり、最終的な判断は人が行う」という基本姿勢を組織全体で共有することも、円滑な導入につながります。
AI導入が変える介護の未来

介護業界におけるAI活用は、人材不足と業務負担の解決に有効な手段です。成功の鍵は、明確な目標設定、段階的な導入、そして職員教育にあります。AIはあくまで人のケアを支えるツールであり、温かいケアは人が担うという基本姿勢が重要です。
ICT導入の一歩に「テレッサmobile」

「テレッサmobile」とは、LINEを活用しスマホで訪問介護の記録が報告できるシステムです。
実施記録の報告がメインのシステムですが、導入のためにスタッフが新たにアプリをインストールするなどの必要はなく、日常的に使っているスマホにLINEアプリが入っていれば、そのまま使用できます。
シンプルな機能なので、ITに苦手意識のある人や高齢の方でも問題なく操作できますし、記録用紙との併用も可能なので、全スタッフがすぐにペーパーレスにするのは難しい場合でもスムーズに移行できるでしょう。
主な特徴
- LINEで記録を入力・送信
- サ責がリアルタイムで確認・指示
- 申し送りはテンプレートでミスや漏れを防止し効率UP
- 紙の記録と併用できる設計で安心(1年間は専用記録用紙の無料プレゼントもあり)
- サポートも直接LINEですぐにつながる安心感
- 慣れてきたらシフトなどの機能がついたバージョンに切り替え可能
- IT導入補助金対象ツール
高齢スタッフでも操作に慣れやすく、導入初期の不安を軽減できる点が評価されています。
また、月額費用も1,980円~と低額で、紙の記録用紙を購入する費用と同等の費用で導入が可能となります。
ICT化は、特定事業所加算の取得にも有効です。業務効率はもちろん、安定した事業所運営にも今後重要なポイントとなってくるでしょう。
2ヶ月間無料でお試し利用ができるので、しっかりと納得して導入をご検討ください。
こちらの記事もおすすめ
訪問介護事業所におすすめのグッズ

ヘルパー手帳
介護用語や研修記録のページなど、ヘルパーさんの日常業務に活用できる情報満載のヘルパー手帳です。
持ち運びに便利なコンパクトサイズ♪
投稿者プロフィール

-
特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、居宅介護支援事業所での勤務経験。
介護福祉士、介護支援専門員の資格を活かし、高齢者やその家族、介護現場で働く方々のお役に立てる情報をウェブメディアなどで執筆中。
最新の投稿
コラム2025年11月14日介護業界のAI活用|人材不足・業務負担を解決するポイント
お知らせ2025年10月30日サ高住の介護記録を効率化|おすすめソフトの機能と選び方
お知らせ2025年9月13日訪問介護の現場で役立つヒヤリハット事例と防止策まとめ
コラム2025年8月29日訪問介護の料金は月額いくら?費用体系から軽減制度まで完全解説