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訪問介護で発生しやすい介護事故|要因分析でリスク軽減を!

  • 介護事故を減らす方法はある?
  • 事故の対策を取るのが難しい…
  • 対応予防策を検討したのに徹底できていない…

訪問介護のサ責さんには、このようなお悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか?

訪問介護サービスの場合は、介護をする環境が自宅であることやスタッフ間の情報共有の難しさなど、施設介護とはまた違った悩みが多いかもしれません。

今回の記事では訪問介護で発生しやすい事故やその要因、対応予防策について解説しますのでぜひ参考にしてください。

介護事故とは、介護サービスを提供している際に発生する、ご利用者の身体的・精神的な実害を生じさせた事象を指します。事業者の過誤、過失の有無は問いません。また、実際に事故に至らなかったものの、一歩間違えれば事故に至っていた恐れのある事例は事故とは別に「ヒヤリハット」と呼んでいます。

ご自宅で過ごされている、訪問介護サービスをご利用の方はどのような事故を起こしやすいのでしょうか。

介護現場で起こる事故で最も多いのが転倒事故です。転倒は、事故の瞬間や実害が起きたのが明確なので、報告に上がりやすいとも言えます。訪問介護の場合は、ご自宅に訪問したらすでに転倒されていたケースも考えられるでしょう。

転倒と合わせて多いのが転落事故です。ベッドからの転落、いすや車いすからの転落などが挙げられます。高齢者は骨や皮膚がもろいので、ちょっとした転落や転倒でも骨折やケガのリスクが高まります。

次に高齢者に多い事故が誤嚥です。嚥下能力の低下しているご利用者は誤嚥のリスクが高く、食べ物が喉に詰まってしまった場合には窒息に至る危険性があります。飲食物や、唾液が気道に入ってしまうと、細菌が肺へ流れることで誤嚥性肺炎を引き起こすケースもあります。

他に、食べ物や飲み物以外のものを口にしてしまう誤飲異食なども認知症の方などに起こりやすい事故です。

訪問介護で多いのが物の破損紛失です。生活援助をする機会が多い訪問介護では、ご利用者の所有物に関するトラブルに巻き込まれやすくなります。

身体介助中や掃除中にご自宅にある物を破損してしまう、あるいは紛失してしまう、壁や家具などに物をぶつけてしまう、洗濯物を縮ませてしまう、洗濯物を色落ちさせてしまうなどが考えられます。

紛失してしまった場合には、もはや原因がわからないためやっかいです。ご利用者本人が紛失している場合や、認知症で物盗られ妄想がある方もいるからです。買い物の際のお金のやり取りなども注意が必要です。

服薬ミスには、タイミングを間違える、薬を飲ませ忘れる、薬を落とすなどの事故があげられます。施設介護の場合では他の方の薬を飲ませてしまうという危険な服薬ミスのリスクがあります。一方、訪問介護の場合は介護者が常に薬の管理ができないため、ご利用者自身の飲み忘れや飲み間違いを避ける工夫が必要です。

介助中に、ご利用者を骨折させる、皮膚を傷つけるなどケガを負わせてしまうケースもあります。身体介護の際に、ご利用者の体をどこかにぶつけたり、着替えの際にファスナーなどで傷つけたり、さまざまな事例が考えられます。施設のようにバリアフリーの環境や福祉用具が整っていない訪問介護では、ヘルパーが介護しやすい環境をつくることが重要です。

事故の要因はさまざまですが、主に上げられるのが以下の3パターンです。

  • 利用者本人に要因がある場合
  • 支援する側に要因がある場合
  • 環境に要因がある場合

詳しい内容をみてみましょう。

高齢者は身体機能や認知能力などの低下により、予期せぬ事故が起きやすい状況にあります。事故の要因として考慮すべきご利用者の背景は以下のとおりです。

  • 疾患
  • 認知症の有無
  • 身体機能、ADL
  • 精神状況
  • 服薬状況
  • 生活歴
  • 性格、価値観

ご利用者が行動されるのを抑制することはできないため、事故の要因がご利用者本人にある場合は完全に防ぐことはできません。しかし、これらの背景を考慮したうえで対応予防策を検討することが求められます。

介護は人と人との関わり合いなのでどうしても、支援する側が要因の事故も発生します。介護職やご家族に潜むリスクの例は以下のとおりです。

  • 集中力が低下している(体調不良・睡眠不足など)
  • ストレスが蓄積している
  • 介護技術、知識の不足
  • 慣れによる不注意
  • 見守りが行き届いていない
  • 介護者同士のコミュニケーション不足

介護は体力を使う大変な仕事なので、疲労が蓄積している場合などは集中力が低下してしまうため要注意です。見守りの不行き届きや、職員間の情報伝達不足など、ヘルパー自身の要因や事業所の体制が問題で事故につながるケースも考えられます。

ご自宅での生活は特に、施設のようにバリアフリーになっていないため環境が要因で事故につながるケースも多いでしょう。居室内の段差・手すりがついていない・床が滑りやすいなどさまざまな要因が考えられます。福祉用具のレンタル住宅改修などの介護保険サービスを活用して、スタッフが介護しやすい環境に整備する必要があります。

ここからは、訪問介護サービスのご利用者の事故を防ぐためにできることを確認していきましょう。

介護事業所は、サービスの提供により事故が発生した場合には、行政への報告の義務があります。事故に対して必要な措置を取るとともに、事故の経緯や対応などを記録に残しておかなくてはなりません。事故報告書は、義務付けられているから形式的に記載するのではなく、記載した内容は再発防止のためにもスタッフ間で共有することが大切です。事故が起きたことを知らないまま他のスタッフがサービスに入れば、同じ事故を繰り返してしまいかねません。とくに訪問介護では、ヘルパー同士が毎日同じ場所で働いているわけではないため、情報共有を意識的に行うことが大切です。

事故報告書を記載したら、事故の要因を分析した上で対応予防策を検討します。事故の要因は、先に説明した「利用者本人」「支援する側」「環境」など、さまざまな要因から分析します。もしかすると、要因は1つではないかもしれません。

次に、分析した内容に応じた対応予防策を検討します。ミーティングなどを設定して多くの視点で検討すると良いでしょう。決定した対応予防策はすぐにスタッフ間で共有し、注意しながら介助にあたり再発予防に努めます。

事故の要因分析の際に役立つのが、普段の経過記録です。ご利用者の普段のご様子をこまめに記録しておくことで事故の要因が分析しやすくなります。また、日々の記録から様子の変化に気付けるため、事故を未然に防ぐことにもつながります。

事故には至っていないものの、事故につながりかねないようなひやりとしたことを報告する「ヒヤリハット」も重要です。普段の経過記録と同様、ヒヤリハットをこまめに記載することで事故の未然防止につながります。普段から、ヒヤリハットを記載する習慣をつけることで、事故予防の観点も磨かれるでしょう。有名な「ハインリッヒの法則」では「1件の重大事故に、29件の軽微な事故と300件のヒヤリハットが存在すると言われています。ヒヤリハットも事故報告書と同様に扱い、対応予防策を講じることが重大事故防止のカギになります。

今回の記事では、介護事故の要因分析と対応策について解説しました。訪問介護サービスを受けるご利用者は、年齢を重ね身体機能や認知機能が低下してしている高齢者が中心です。そのため、事故のリスクは非常に高く、どれだけ努力しても完全には避けられません。動きを制限することは、高齢者がその方らしく生活するための自立支援の介護に反してしまいます。

しかし、事故が発生する要因の中でも、支援する側や環境に要因がある場合には工夫次第で事故を未然に防ぐことが可能です。また、ご利用者本人に要因がある場合にも、普段の様子をしっかり観察することや、情報共有を徹底することで避けられる事故もあります。ご利用者を守るために、できる対策を検討してみましょう。

訪問介護の記録や情報共有にはテレッサモバイルがおすすめです。

テレッサモバイルは訪問介護の記録に特化したシステムです。幅広い年代層におなじみのLINEアプリを使用するので、ITに苦手意識がある方にも感覚的に利用していただけます。ヘルパーさんはサービス終了後に、提供したサービス内容やご様子を入力して送信するだけ。スキマ時間を活用して入力できるので記録が負担になりません。事故を減少させる第一歩として、介護記録を充実させましょう。

Author Profile

tomo
tomo
特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、居宅介護支援事業所での勤務経験。
介護福祉士、介護支援専門員の資格を活かし、高齢者やその家族、介護現場で働く方々のお役に立てる情報をウェブメディアなどで執筆中。