介護事業所でITの導入を検討しているけれど、資金面で難しいと感じている管理者さんもいるのではないでしょうか。
超高齢社会を迎え、ご利用者と対面でサービスする介護業界でもITの導入は必須のものとなりました。
業務の効率化のためにも紙媒体での情報共有を見直し、働きやすい環境を整えることが大切です。
今回の記事では、介護現場で利用できるIT導入補助金について解説します。
ご利用者へのサービスを向上させ、満足度を高めるためにもIT技術を活用し、介護職員の働きやすい環境を整えましょう。
令和6年度IT導入補助金とは?
IT導入補助金は、IT機器を導入する時に発生した経費などを補助する助成金です。
中小企業・小規模事業者が、働き方改革やインボイス制度の導入などの課題をクリアし、生産性をアップできるようにIT導入の経費をサポートします。
ITとは縁が遠かった介護業界ですが、最近ではご利用者やスタッフの情報管理や請求業務などで介護ソフトの普及がどんどん進んでいます。
平成29年(2017年)から始まったIT導入補助金ですが、毎年対象や要件などが変わっています。
補助金が受けられる事業所と条件
IT導入補助金が受けられる対象事業者は、中小企業・小規模事業者です。
業種・組織形態 | 資本金(資本の額又は出資の総額) | 従業員(常勤) |
---|---|---|
サービス業 | 5,000万円 | 100人 |
医療法人、社会福祉法人、学校法人 | ー | 300人 |
ITツールの導入にかかった費用が助成されるにはいくつか条件があります。
まず、導入するITツールが事務局に登録されている補助金の対象ツールである必要があります。介護ソフトを導入する場合は、事務局の審査をクリアした介護ソフトを導入しなければなりません。
また、導入により生産性向上につながることを事務局に認められる必要もあります。
令和6年度IT導入補助金の種類
IT導入補助金には金額や条件により種類があります。
通常枠(A類型・B類型)
「通常枠」は中小企業・小規模事業者等で「ソフトウェア購入費」「クラウド利用料(最大2年分)」「導入関連費」などでかかった費用の一部が助成されます。通常枠にはA類型・B類型の2種類があり、補助額の下限・上限はA類型が5万円〜150万円未満、B類型は150万円〜450万円以下で、補助率はいずれも1/2以内です。
ソフトウエアが持つ機能を「プロセス」といい、業務効率化・売上アップを図るために導入するソフトウエアには一定のプロセスが含まれている必要があります。通常枠A類型のプロセス数は1以上、B類型は4以上含んでいることが必要です。
デジタル化基盤導入枠
「デジタル化基盤導入枠」はインボイス対応、企業間取引のデジタル化を推進するための補助金で、通常枠よりも補助率が高く設定されています。
会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフトなどを導入した場合に経費の一部が補填されます。
セキュリティ対策推進枠
インターネットのサイバー攻撃回避など、セキュリティ強化のためにITツールを導入する際に支援が受けられるのが「セキュリティ対策推進枠」です。セキュリティサービスは、独立行政法人情報処理推進機構が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスが対象です。
補助額5万円〜100万円の範囲で、最大2年分のサービス利用料の補助が受けられます。
介護事業所がIT導入でできること
介護事業所におけるIT導入補助金の活用例には以下のようなものがあります
- 利用者情報の管理
- アセスメント記録の作成・管理
- 具体的なサービス内容の記録
- 事業所内外での情報共有
- ケアプランの管理
- 介護報酬請求
- その他の業務支援(シフト表作成、計算書類作成、給与管理等)
IT導入補助金を受けるには、介護ソフト等を導入することにより、生産性向上につながっていることを認めてもらわなければなりません。
それぞれの事業所の課題から導入するITツールを検討して申請する必要があります。ここからはIT導入によりできる活用例をいくつかご紹介します。
ご利用者の情報共有
介護現場では一人のご利用者に毎日同じスタッフが対応するとは限らないため、サービスに入る前の申し送りの確認は大切です。ご利用者の情報共有ができる介護ソフトを導入すると、ご利用者の体調やサービス内容の確認がスムーズに行えます。
日々変化のある申し送り事項の情報共有をスマートフォンやタブレットで確認できれば安心してサービスが開始できます。ご利用者も安心してサービスを受けてもらえるため、ご利用者満足にもつながるでしょう。
スタッフの業務負担軽減
サービスの実施記録を管理できるツールを使用すれば記録のペーパーレス化が実現し、スタッフの業務負担が軽減できます。
従来の訪問介護サービスであれば、ご利用者宅でサービス実施後に記録をしてご利用者にサインをしてもらい、用紙を事業所に提出するという手間がかかっていました。
介護サービス実施記録をスマホやタブレットで管理できれば、サービス実施後に書類を作成する時間が軽減できます。わざわざ事業所に書類を提出しに行く必要もなくなるので、直帰出来ればヘルパーさんの負担も軽減できるでしょう。
また、クラウド上で記録がすぐに確認できればサービス提供責任者の負担軽減にもなります。すぐにサービスの実施状況が確認でき、ご利用者の状況確認や介護報酬請求業務などのサ責業務もスムーズに行えるでしょう。
勤怠管理
介護士の出退勤時間の登録ができるツールも導入可能です。勤怠管理ができるツールを導入すれば、タイムカードを押すために事業所に立ち寄る必要がなくなり、出退勤の報告ができます。勤務表の提出が楽になれば、管理者や事務スタッフの業務負担軽減にもつながります。
IT導入補助金の申請・手続き方法
1.事前準備
申請する前に、ホームページなどでIT導入補助金についてしっかり理解をしましょう。
まず、交付申請には「gBizIDプライム」のアカウントを取得します。
次に、独立行政法人情報処理推進機構が実施する「SECURITY ACTION」の宣言を行います。「SECURITY ACTION」の宣言とは、情報セキュリティ対策に取組むことを自己宣言する制度です。補助金申請時には、宣言済みのアカウントIDを入力することが必須です。
また、中小企業庁の「みらデジ」にて「経営チェック」を実施する必要があります。「みらデジ」とは、中小企業や小規模事業者等の経営課題をデジタル化によりサポートする制度です。経営チェックはIT導入補助金2023より申請要件に追加されました。
2.IT導入支援事業者と交付申請
IT導入支援事業者を決定し、交付申請の事業計画を策定します。
IT導入支援事業者から「申請マイページ」の招待を受け、共に必要事項の入力を行い、内容を確認した上で申請します。最終的に申請するのは、介護事業所や施設の申請者です。
3.交付決定・ITツールの契約
事務局から交付決定の通知を受けたら、ITツールを契約して支払いをします。申請結果の連絡が届く前に発注・契約・支払い等を行うと補助金が受けられないため注意が必要です。
4.事業実施報告・補助金交付手続き
ITツールの発注・契約・納品・支払いの証拠となる書類を添付した事業実績報告を提出します。必要な書類は申請内容により異なりますが、書類が提出できない場合、補助金の交付を受けることができないため注意が必要です。契約書・注文書・納品書・導入通知書・請求書・振込受領書等は破棄したり紛失したりしないように必ず取っておきましょう。
事業実績報告を提出した後に補助金額が確定し、補助金が交付されます。
5.事業実施効果報告
補助金が支給されたら、3年間(毎年4月)導入したITツールにより効果がどのくらいあったのかの報告を行わなければなりません。
「申請マイページ」の必要な情報を入力し、IT導入支援事業者に確認してもらった後に提出できます。
テレッサmobileはIT導入補助金対象の訪問介護記録システムです
今回の記事では、令和6年度のIT導入補助金について解説しました。
申請や手続き方法を見るとちょっと大変そうだなと感じますよね。
テレッサmobileは、IT導入補助金対象の、訪問介護のサービス実施記録をLINEで報告できる便利なアプリです。テレッサモバイルを導入するにあたり、IT導入補助金を申請する場合、申請や手続きについて無料で行政書士サポートがつきますので安心です。
IT導入補助金は申請すればかならず補助を受けられるというものではありませんが、介護記録の電子化を検討している事業所様にはチャレンジしてみて損はないでしょう。
テレッサモバイルは特定事業所加算取得の要件クリアにも役立つ介護記録に特化したアプリなので、業務効率向上、スタッフの満足度アップ、そして事業所の安定経営を目指して多くの事業所様に導入いただいています。
令和7年度も同様にIT導入補助金が発表されると予測されます。令和7年1月から2月頃の発表を注視しておきましょう。それまでに、どのITツールを導入するかの目途を立てておき、スムーズに申請できるようにされることをおすすめします。
テレッサモバイルについて詳しく話を聞きたい、一度詳しい資料を見てみたいという方はお気軽にお問い合わせくださいね。
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特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、居宅介護支援事業所での勤務経験。
介護福祉士、介護支援専門員の資格を活かし、高齢者やその家族、介護現場で働く方々のお役に立てる情報をウェブメディアなどで執筆中。
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