介護記録のソフトを比較。機能や費用の違いとは？

介護現場の業務効率化に欠かせない介護記録ソフト。介護業界では、国をあげて記録の電子化が勧められており、訪問介護事業所でも介護記録ソフトを導入する事業所が増えています。

しかし、多くの選択肢の中から自社に最適なものを選ぶのは容易ではなく、どれにしたらよいか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

この記事では、介護記録ソフトを選ぶ際のポイントとなる機能や費用の違いについて解説します。業務効率化とサービス品質向上の両立を目指す皆様に、最適な選択をサポートする情報をお届けしますのでぜひ参考になさってください。

介護記録ソフトの基本機能とメリット

介護記録ソフトは、介護現場の業務効率化を実現するデジタルツールです。訪問介護の現場で必須となる、介護記録の電子化やスケジュール管理、介護報酬請求などの機能を備えたシステムを指します。従来の紙ベースの記録管理の手間を軽減し、介護サービスの質向上を達成するために作られました。

介護記録ソフトの基本機能

介護ソフトの機能は、それぞれのソフトによって異なります。多くの場合、利用者情報の管理や実施記録の入力・管理、スケジュール登録などが基本機能として備わっています。

例えば、現場で介護スタッフがスマホやタブレットから実施記録の入力を終えると、すぐに事務所のパソコンにも反映されるため、サービス提供責任者とすぐに共有することが可能です。また、利用者情報が登録できるので、名前を検索するだけでいつでも情報を確認することができます。

多くのソフトでは、スマートフォンやタブレットからの入力に対応し、写真や動画の添付も可能です。さらに、音声入力機能などを搭載し、テキスト入力の効率化を図るソフトも増えています。

加えて、スケジュール管理機能では訪問予定やスタッフのシフト管理が可能です。一部のソフトでは、サービス開始遅延時のアラート通知やシフト作成・調整機能も備えています。ケアプラン作成などの各種帳票作成機能も、多くの介護記録ソフトに搭載されています。

これらの機能をフル活用することで、より質の高い介護サービスの提供にもつなげていくことが期待できます。

介護記録ソフト導入のメリット

介護記録ソフトの導入には以下のようなメリットがあります。

介護スタッフの直行直帰が可能になる
実施記録に費やす時間が減り、介護ケアに集中ができる
サービス責任者と情報がすぐに共有ができる
印鑑の押印の手間が省ける
紙の記録の管理が不要になる
情報をすぐに引き出して確認できる

介護記録ソフトを導入するだけで、これだけの業務の手間と時間が削減されます。

今後も高齢者の増加が見込まれる世情からも、介護記録ソフトの導入を早めに検討することが1年、3年後の事業所の助けとなるでしょう。

介護記録ソフト選びのポイント

介護記録ソフトを選ぶ際は、自社の規模やニーズに合った機能、費用対効果、そして導入後のサポート体制を総合的に評価することが重要です。機能面では基本的な記録機能に加え、業務効率化につながる機能を比較しましょう。費用面では初期費用と運用コストを考慮し、導入・運用サポートの充実度も重要な選定基準となります。

機能面での選定基準

機能面での選定基準として、まず基本的な介護記録機能の使いやすさを確認します。直感的な操作性や、スマートフォン・タブレットからの入力対応は、現場での円滑な導入に欠かせません。さらに、音声入力やAI自動入力など、入力効率を高める機能の有無も重要なポイントです。特に、訪問介護事業所では年配のヘルパーさんなど、スマートフォンの操作に苦手意識を持っている方も多いため、操作性は重要なポイントです。

また、スケジュール管理、ケアプラン作成、介護報酬請求など、介護業務全般をカバーする統合的な機能を持つソフトを選ぶことで、業務の一元管理が可能になります。これらの機能はサービス責任者が使いやすさを確認し、事業所の実情に合わせた選択をしましょう。

費用面での考慮事項

介護記録ソフトの費用は、初期導入費用と月額利用料に分かれます。初期費用には、ソフトウェアのライセンス料やカスタマイズ費用、必要に応じてハードウェアの購入費が含まれます。月額利用料は、利用するユーザー数や機能によって変動します。

費用対効果を考慮し、自社の規模や予算に見合ったプランを選択することが重要です。

導入・運用サポートの重要性

介護記録ソフトの導入・運用サポートは、スムーズな導入と継続的な活用のために非常に重要です。導入時のトレーニングや、運用開始後の技術サポート、さらにはソフトウェアの更新やセキュリティ対策など、包括的なサポート体制を確認しておきましょう。また、法改正や制度変更に迅速に対応できる体制があるかも、重要な選定基準となります。

特に、介護現場ではITが苦手な方も多いため、個人差があることを考慮した上で、丁寧な導入サポートと継続的な運用支援を提供する事業者を選ぶことが望ましいです。

介護記録ソフトの機能と費用の比較

では、実際にどのような介護ソフトがあり、機能や費用の違いがあるのかをチェックしていきましょう。

介護記録ソフトの機能と費用の比較

介護の電子ソフトには、大きく分けて、介護記録用のソフトと請求用のソフトがあります。

今回は、介護記録を主とした5つのソフトの機能と費用を比較してみていきます。

※2025年1月調べの費用を記載
※価格は税抜で記載

介護記録ソフトの費用は、ケア数やスタッフ数など、それぞれの会社によってカウントする項目が異なるので注意が必要です。

例えば、テレッサモバイルであれば、ケア数300件までが1,980円、500件までが2,980円とケア件数によって費用が変わってきます。

一方で、Care Viewerとケアコラボは、スタッフ1名に対しての価格となっているので、介護スタッフの数によって費用が決まります。

また、介護記録ソフトの中には、記録以外にもシフト管理やスケジュール管理、請求管理などができるものがあり、機能によっても費用に違いがあります。

例えば、SHUTTLEは、介護記録以外に請求・シフト管理などができることから、その分、初期費用・月額が高めとなっています。

対して、ケアコラボは、介護記録に特化していることから機能はシンプルで、初期費用・月額ともに安めです。

このように、介護記録ソフトの費用は機能によって異なります。ソフトを選ぶ際には、まずは「事業所のスタッフ数やケア数がどれくらいか」「どのような機能が必要なのか」を明確にしておくとベストな介護記録ソフトをみつけやすくなるでしょう。

事業所に最適な介護記録ソフトの選び方

介護記録ソフトの選定は、介護サービスの質向上と業務効率化を実現する重要な決断です。最適なソフトを選ぶためには、以下のポイントを総合的に評価することが大切です。

1	自社のニーズ分析	現在の課題と将来の目標を明確にし、それらを解決・達成できる機能を持つソフトを選ぶ
2	機能と使いやすさのバランス	必要な機能を備えつつ、スタッフが使いこなせる操作性を持つソフトを選択する
3	費用対効果の検討	初期費用と運用コストを考慮し、長期的な視点で判断する
4	サポートの充実度	円滑な導入と継続的な活用をサポートする体制が整っている事業者を選ぶ
5	拡張性と将来性	事業の成長や制度変更に対応できる拡張性と、継続的なアップデートが期待できるソフトを選択する
6	セキュリティ対策	個人情報保護の観点から、高度なセキュリティ機能を備えたソフトを選ぶ
7	他システムとの連携性	既存の会計システムや人事管理システムとの連携が可能なソフトを選ぶと一元管理ができる