訪問介護のスケジュール管理について、皆さんはどのようにしていますか?
訪問介護のサービス提供責任者の仕事といえば、ケアの相談業務・ヘルパー指導・訪問介護計画書や指示書の作成・請求業務などさまざまな役割があります。
中でも、訪問介護のスケジュール管理はご利用者やヘルパーの状況を考慮しながらうまく調整しなければならないため、大変に感じることも多いのではないでしょうか。
この記事では訪問介護のスケジュール管理について解説します。サ責の仕事は、複数の業務を並行して対応する必要があります。
スケジュール管理をスムーズに行い、サ責の業務負担が軽減できるように検討してみましょう。
【ヘルパーさんのスケジュール管理にはコレ】
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訪問介護のスケジュール管理の悩み
多くのサービス提供責任者の方が悩むスケジュール管理。どういった点が大変なのでしょうか。サ責の悩みを以下にまとめました。
ご利用者の希望に合わせたスケジュール管理
訪問介護のスケジュールは、ご利用者に必要な介護サービスを必要な時間にお届けします。
そのため、どうしてもモーニングケアやイブニングケア、昼食時などサービスを希望する時間が重なってしまいます。また、その方が訪問介護サービス以外にも他の介護サービスを受けている場合は、それらの時間とも重ならないように調整しなくてはなりません。
ご利用者とヘルパーにも相性があるため、合わなければヘルパーをチェンジしなくてはならないケースもあります。
1つのサービスを追加したり変更したりするだけで、パズルのように組み合わせて微調節していかなければならないのが大変です。
ヘルパーの都合に合わせたスケジュール管理
スケジュール管理は、前述の通りご利用者の予定に合わせて調整しなくてはなりません。それと同時にヘルパーのスケジュールも考慮する必要があります。
例えば、土日に休みたいヘルパーが多いため、土日が手薄になってしまう事業所も多いでしょう。とはいえ、ご利用者のサービスに土日は関係ありません。毎日サービスが必要な方もいるため調整が必要です。また、年末年始やお盆休みなど世間が休日の時にはヘルパーの休み希望も重なってしまいます。そのような場合にはヘルパーの手配が大変で困ってしまう場合がよくあります。
他のヘルパーが空いていたとしても、今まで援助に入ったことがないご利用者のお宅であれば何も分からず対応出来ないため、代理でサービスに入ることが難しいケースもあります。
また、ヘルパーによっては1日に何軒か連続でサービスに入るため、ヘルパーの移動時間も考慮しながらスケジュールを組んでいく必要があります。
急なキャンセルや予定変更の対応
ご利用者の体調不良などで、急なキャンセルや追加が発生した場合にもその都度スケジュール調整しなくてはなりません。想定外のトラブルが発生した場合に、予定が全体的にずれ込んでしまうこともあります。
そのような場合にも、しっかり把握してスケジュール管理することが必要です。情報を管理しきれず柔軟に対応できなければ、ご利用者やヘルパーに迷惑をかけてしまうことになってしまいます。
記録時間が残業になってしまう
訪問介護のサービス提供時間には記録時間も含まれています。しかし、実際のサービス業務に追われ、記録の時間が取れないケースも多いでしょう。
サービス提供と同様に記録も大切な業務です。ご利用者やご家族にもサービス提供時間には記録の時間も含まれていることを事前に説明しておく必要があります。それでも時間が取れない場合は、サービス内容を見直さなければなりません。また、記録の簡素化や隙間時間に記録ができるような工夫も大切になります。
ヘルパーが、無理なスケジュールになっていないかやスムーズに仕事ができているかを、常に気にかけておくのもサービス提供責任者の大切な役割です。
訪問介護のスケジュール管理|みんなはどうしてる?
このように、課題の多いスケジュール管理ですが、他の事業所ではどのように管理しているのでしょうか。
最近は、シフト管理ソフトもいろいろと販売されているため、ソフトを活用しているという事業所も多いですが、頻繁に変わるシフトの変更には、エクセルがラクという声も多くあります。
また、シフトが変更になった場合は、逐一電話やLINEで担当者に知らせたり、事業所に貼りだして周知するという方法を取っているところが多いですね。
今では少数になってきましたが、ホワイトボードで管理するという事業所もあります。スケジュール管理のみであれば、すぐに対応できるアナログな方法のほうがラクだと考える人も少なからずいるでしょう。
スケジュール管理システムの導入で改善できること
スケジュール管理システムの導入により、スケジュール管理が大幅に楽になり業務負担の軽減が期待できます。
スケジュール管理がしやすくなる
アナログな方法のほうがラクだと感じている人もまだ多いと思いますが、書く(入力する)、消すなどの過程がぐっと短縮できるのがシステムの強みです。
多くの場合、スタッフ名などはあらかじめ登録しておき、スケジュールの移動や変更などがワンクリックでできるなど、書く・消す作業は不要になります。
また、クラウド型システムの場合、場所を選ばずいつでも対応できるのもポイント。クラウド型システムとは、インターネット上のシステムのことで、パソコンにソフトをインストールして使うタイプではなく、インターネットが使える場所であればどこでも操作ができるシステムのことです。
せっかくシステムを導入しても、パソコンにインストールするタイプのものだと、結局そのパソコンがある場所でしか操作ができない、パソコン自体が壊れてしまったらデータも消えてしまう、担当者が増えたときにそのパソコンにもインストールしなくてはならないなど、あまり効率が上がらないということもあります。
これからスケジュール管理を効率化したいなら、断然、クラウド型システムがおすすめです。急なスケジュール変更があっても、サ責さんはスマホやタブレットからスケジュール調整ができます。自宅や出先であっても状況が確認しやすいので、すぐに対応できるようになりますよ。
情報共有がしやすい
アナログな方法でのスケジュール管理の場合、プリントアウトして配布する、LINEなどのツールを使って周知するなどの手間が生じます。
頻繁に変更のあるスケジュールは、その作業だけでも大変です。
スケジュール管理システムを活用することで、データをそのままLINEやメールで共有できたり、システムによってはスケジュール変更ごとに自動でスタッフに通知がいくようになっており、負担が大きく軽減されます。
BCP対策にも
クラウド型スケジュール管理システムの導入は、事務作業の効率化だけでなく、BCP対策にも効果があります。
BCPとは、業務継続計画といい、介護施設・事業所にも対策を講じることが義務化されました。介護サービスは、社会インフラとして重要な責務があり、災害等が起こったときにもできる限り早く復旧しなければなりません。会社やスタッフの命、収入を守るためにも重要です。
もしも地震や洪水などの災害に遭ってしまったときに、スタッフや利用者の命はもちろん、事業継続のための情報を守ることも非常に大切です。
まだまだ紙で管理しているものも多くありますが、紙の場合、災害で失ってしまう可能性もあります。同様に、パソコンの中に保管しているデータも、パソコンが壊れてしまったら取り出すことは不可能なこともあります。
クラウド型システムであれば、もしも事業所のパソコンが壊れてしまっても、インターネットの使える場所であればどこでも情報を取り出すことができます。
災害リスクの高い近年、情報のクラウド保管がBCPの観点でも推奨されています。
スケジュール管理をシステム化したいならテレッサモバイル
訪問介護事業所のスケジュール管理をシステム化したいなら、テレッサモバイルがおすすめです。
テレッサモバイルは、クラウド型システムで、スケジュール管理からサービス実施記録の管理までを一貫して行うことのできるシステムです。
ケアプランを作成したら、自動でシフトが作成され、スタッフをワンクリックで割り当てていくだけ。特に変更のない月は、前月からのコピーで楽々完了。
シフトが割り当てられたスタッフには、リアルタイムで本人のスマートフォンのスケジュール管理に反映されるので、改めて周知する手間も要りません。
急な変更時にもインターネットがつながる場所であればいつでも変更ができ、すぐにスタッフのスマートフォンで確認できるので安心です。
また、スタッフはスマートフォンに表示されたスケジュールをタップするとそのまま介護記録の入力ができ、サービス終了後、ボタンひとつで送信するだけ。直行直帰も可能です。
送信された介護記録はリアルタイムで確認でき、クラウド上に保管されていきますので、介護記録用紙の保管場所も不要になり、利用者やスタッフのデータ、スケジュールや介護記録のデータもクラウド上で保管、どこでも閲覧でき、BCP対策もばっちりです。
介護記録のシステム化はちょっと難しいかも…と感じている事業所様もご安心ください。テレッサモバイルはLINEアプリを活用しており、新たにアプリをダウンロードする手間も不要、幅広い年齢層で使われているLINEなので、すぐに操作に慣れていただけると好評です。
テレッサモバイルはIT導入補助金の対象ツールとして毎年登録されていますし、テレッサモバイル導入をきっかけに特定事業所加算を取得している事業所も多くあります。
この機会にぜひ、訪問介護事業所のスケジュール管理と介護記録をシステム化して、業務効率アップを目指しませんか?
【おまけ】訪問介護サービスの提供時間のルール
最後に、訪問介護サービスの提供時間のルールを確認しておきましょう。
訪問介護員の勤務時間
訪問介護事業所は、だいたい8時〜18時くらいの時間帯の中で営業時間が設定されています。しかし、モーニングケアやイブニングケアなどが必要な方に対しては、早朝は6時や7時頃、夜間は19時や20時頃に開始するサービスにヘルパーを配置しなければなりません。
正社員のヘルパーの勤務時間は、営業時間の中で1日8時間、週5日のケースが多いでしょう。サービスがないときは、事業所で別の仕事を行う時間帯もあります。
一方登録ヘルパーは、働きたい時間や曜日を指定しておき、その中で勤務時間が決まります。
ご利用者の希望する時間帯やサービス内容とマッチするヘルパーが割り当てられ、キャンセルがあれば臨時での出勤もあるため、その時によって勤務時間が変動するのが通常です。
訪問介護の時間区分と単位数
訪問介護サービスには「身体介護」「生活援助」「通院等乗降介助」があり、サービス時間により単位数が決められています。
主なサービス内容と所要時間、単位数は以下の通りです。
サービス内容 | 所要時間 | 単位 |
---|---|---|
身体介護 | 20分未満 | 167単位 |
20分以上30分未満 | 250単位 | |
30分以上1時間未満 | 396単位 | |
1時間以上 | 579単位(30分を増すごとに+84単位) | |
生活援助 | 20分以上45分未満 | 183単位 |
45分以上 | 225単位 | |
通院等乗降介助 | 1回につき | 99単位 |
他に、身体介護と生活援助を両方行う時間区分もあります。
2時間ルールに注意が必要
訪問介護サービスの算定には「2時間ルール」という規定があります。訪問介護サービスは、お一人のご利用者に1日のうち複数回訪問することが可能ですが、その間隔を2時間以上空けなければならないというルールです。2時間空けていなかった場合は、合わせて1回のサービスとして算定しなくてはなりません。
ただし、緊急時・看取り期・通院等乗降介助サービスの利用時などは2時間ルールの対象外です。
サービス提供責任者はこのようなルールも頭に入れながら、スケジュールを組んでいく必要があります。
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特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、居宅介護支援事業所での勤務経験。
介護福祉士、介護支援専門員の資格を活かし、高齢者やその家族、介護現場で働く方々のお役に立てる情報をウェブメディアなどで執筆中。
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