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訪問介護事業所での研修テーマと効果的に研修を進めるコツを伝授

訪問介護事業所で実施する研修テーマについてお悩みではないでしょうか。研修は企画するのも実施するのもパワーが必要です。せっかく実施するなら効果的な研修を実施して、ご利用者へのサービス向上やスタッフのモチベーションアップにつなげたいものです。

今回の記事では、訪問介護事業所におすすめの研修テーマについて解説します。効果的に進めるコツについてもお伝えしますのでぜひ参考にしてください。

訪問介護事業所には、各種法令等によりヘルパーに受けさせなければならない研修が定められています。

研修の内容は、人権や法令に関すること、事故やトラブルについてなど、事業所の職員全員が身につけておくべき基本的な内容です。

訪問介護事業所で必須の法定研修の項目は以下の通りです。

  1. 認知症及び認知症ケアに関する研修
  2. プライバシーの保護の取り組みに関する研修
  3. 接遇に関する研修
  4. 倫理及び法令遵守に関する研修
  5. 事故発生又は再発防止に関する研修
  6. 緊急時の対応に関する研修
  7. 感染症・食中毒の予防及び蔓延防止に関する研修
  8. ハラスメント研修
  9. 人権擁護・虐待防止に関する研修
  10. 感染症および災害時に係る業務継続計画(BPC)についての研修

法定研修の実施状況は、運営指導などによりチェックされます。年間研修計画が作成されているかや研修の資料、参加者のレポートなどの実施が確認できる資料は残しておく必要があります。未実施の場合には減算の対象になる可能性があるため、確実に実施しなければならない研修です。

訪問介護事業所では、法定研修以外に多様な研修を実施することが望まれます。従業員のスキルアップのための研修を企画したり、事業所の課題となっているテーマを取り上げたりすることで、事業所全体のレベルアップが期待できるからです。

ここからは「法定研修」以外に、訪問介護事業所で実施すると良いおすすめの研修のテーマをご紹介していきます。

介護技術に関する研修は、職員からのニーズが高い研修です。介護技術は、初任者研修や実務者研修でも学びますが、基本的な内容に限られます。事業所で行う研修であれば、実際のご利用者を想定しながら行えるため、実用性が伴います。

研修内容の一例は以下の通りです。

身体介護食事・入浴・清拭・おむつ交換・トイレ介助・更衣・移動・移乗・ポジショニング・口腔ケアなど
生活援助掃除・洗濯・買い物・調理・介護食・ベッドメイキングなど
その他ボディメカニクス・腰痛予防・福祉用具の使用方法など

ご利用者の自宅でケアを行う訪問介護は、設備の整った施設介護と違って介助しにくいシュチュエーションも想定されます。それぞれの身体状況や生活環境に応じた介助方法をディスカッションしながら行うのも良いでしょう。

法定研修では「認知症及び認知症ケアに関する研修」を実施しなければならないと定められていますが、その他の疾患については特に定められていません。実際のご利用者に沿ったテーマを選定して研修を行うと、内容がより身近に感じられ実務にも役立ちます。

おすすめの研修テーマは以下の通りです。

高齢者に起こりやすい症状や疾患糖尿病・高血圧・脳血管疾患・心疾患・誤嚥性肺炎・がん・褥瘡・精神疾患・パーキンソン病・熱中症・脱水症・便秘症・感染症・難聴・眼の疾患(白内障・緑内障・加齢黄斑変性症)・骨粗鬆症・骨折など
その他老化に伴うこころとからだの変化・サルコペニア・フレイル・薬について・睡眠について・介護予防・ターミナルケアなど

法令や制度については、ヘルパーの現場でほとんど学ぶ機会がありません。従業員全員が法令をしっかり守って職務を遂行するためにも、積極的に研修のテーマに取り上げることが望まれます。

介護保険制度介護保険制度の考え方・仕組み・財源・被保険者・介護報酬請求・サービス利用の流れ・サービスの種類・地域包括ケアなど
訪問介護サービスの理解訪問介護のルール・できることできないこと・報酬単価(加算・減算)・サービス提供責任者の仕事についてなど
ケアプラン・記録についてケアプラン・訪問介護計画書・介護記録(ルール・重要性・書き方)など
その他関連制度老人福祉法・成年後見制度・障害者総合支援法など

介護保険制度については3年ごとに介護報酬が改定されるため、定期的な研修で周知を図るようにしましょう。法令や制度についての研修は実務に役立つだけでなく、介護福祉士の国家資格取得や、サービス提供責任者などへのキャリアアップを目指す従業員にとっても有益な学びになります。

訪問介護事業所におすすめな研修は、まだまだあります。以下のような研修も取り入れてみてはいかがでしょうか。

  • アンガーマネジメント
  • コミュニケーションスキル
  • ストレスケア
  • チームワーク
  • リーダー向けマネジメント研修
  • モチベーションアップ
  • クレーム対応
  • 傾聴スキル
  • 地域連携
  • レクリエーション

訪問介護の業務にとらわれ過ぎず、自由な発想で研修テーマを選ぶのも一つです。普段と違った学びで刺激やモチベーションアップ、従業員同士のコミュニケーションにもつながります。

効果的に研修を進めるコツは以下の通りです。

研修はヘルパーのニーズに合ったテーマを選択することが大切です。興味がなければ、参加したいとなかなか思えません。研修を企画する前に、聞き取りアンケートにより広く意見を聞いてみると良いでしょう。

どのような研修を受けてみたいかを聞くのはもちろん、仕事上で困っていることや課題に思っていることを聞いてみると、必要な研修が浮かび上がります。また、今後どのようなキャリアアップの道を歩みたいのかや、ご利用者にどのような介護サービスを提供したいかなど目標を聞いてみるとニーズが明確になるでしょう。

受講後にフィードバックを受けて次回に活かすことも大切です。研修の目的を明確にして、参加意欲を高めると効果的に研修が実施できます。

研修は講師の一方的な講義だけでは退屈です。集中できず居眠りしてしまう方も出てくるかもしれません。コミュニケーションを取りながら参加型の研修内容を実施すれば、楽しく学べ理解も深まります。

特に、実技グループワークなどを取り入れるのがおすすめです。事例共有を交えると、より意見が活発に交わされることが期待できます。仲間作りや働きやすい環境づくりにもつながります。

研修を外部講師に依頼するのもおすすめです。事業所内のスタッフだけではどうしても研修内容がマンネリ化してしまいますが、外部講師を招くことでより専門的な知識が習得できます。新鮮な気持ちで研修が受けられるため積極的に取り入れると良いでしょう。

外部に依頼できる研修には以下のようなものがあります。

研修のテーマ講師
医療・疾患について医師・看護師・理学療法士・作業療法士
薬について薬剤師・医師・看護師
介護技術理学療法士・作業療法士・看護師
福祉用具の使い方理学療法士・作業療法士・福祉用具専門相談員
オムツのあてかたオムツメーカー
介護保険制度・ケアプランケアマネジャー
口腔ケア・嚥下歯科衛生士・言語聴覚士

事業所内で研修を企画、実施することは非常にパワーがいることです。講師を外部に依頼することで、管理者やサ責の業務負担軽減にもなるでしょう。

今回の記事では、訪問介護事業所の法定研修のおすすめのテーマについて解説しました。

一方、特定事業所加算を算定している、算定しようとしている事業所ではさらに「個別研修計画」が必要となります。
個別研修計画は法定研修とは別に、個々のスキルアップを目的として、全従業員分の研修を計画しなければなりません。

これは、特定事業所加算を算定するうえで特にハードルの高い要件のひとつで、加算取得に前向きになれない、難しいと感じている事業所の多くがつまずくポイントです。

そんな事業所におすすめなのが、特定事業所加算取得サポートです。特定事業所加算取得のためのアドバイス、要件クリアのためのサポートなどを包括的に行ってくれます。また、研修動画配信サービスでは、法定研修はもちろん、個別研修計画にも対応しており、研修における負担が大幅に軽減できます。
研修について悩みを感じている方、特定事業所加算の算定を検討している方は、取得や研修に関わるサポートを活用してみてはいかがでしょうか。

研修を実施することにより個々のスキルアップはもちろん、事業所全体のケアの質を高めることができます。普段はそれぞれの現場で業務に励んでいる従業員同士が交流する機会にもつながります。仕事へのモチベーションを維持し、働きやすい職場環境を作るためにも効果的に研修を取り入れていきましょう。

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tomo
tomo
特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、居宅介護支援事業所での勤務経験。
介護福祉士、介護支援専門員の資格を活かし、高齢者やその家族、介護現場で働く方々のお役に立てる情報をウェブメディアなどで執筆中。