介護サービスを行ううえで欠かせない訪問介護記録。手書きで行っている事業所もまだ半数程度あります。
しかし、申し送りに何を書けばいいのかわからないという人も多いですよね。
この記事では、介護記録の例文や書き方のコツ、便利なアプリについても紹介しています。
手書きの介護記録業務|記録の作業はサービス時間内でOK?
ホームヘルパーの業務において、欠かせないものに介護記録の作成があります。
介護記録とは、実施した介護サービスの内容や利用者の状態を記載するもので、訪問介護の場合は訪問のたびに作成しなくてはなりません。
手書きで行っていると、どうしても時間がとられてしまって、負担を感じる人も多いでしょう。なかには1日分を溜めておいて、事業所に戻ってからまとめて書くという人もいます。
この記録の時間はサービス外の仕事だと思っている方もいるかもしれませんが、介護記録の記入の時間は、老計第10号にも記載がある通り、「サービス提供後の記録」としてサービスの時間に含まれます。
本来は、サービスを行う毎に戸締りや火元のチェックなどと同じ流れでサービス内で記録も完了させる必要があります。
また、特定事業所加算を取得している事業所は、「サービス毎の適宜報告」が義務づけられており、紙の記録であれば、1件のサービス毎に記録を事業所に提出するなどの対応が必要となります。紙に手書きの記録の場合、ちょっとハードルが高いですよね。
訪問介護記録を残す必要性と保管義務
そもそも、訪問介護記録を作成しなければならない理由についてきちんと理解しておきましょう。
介護記録が大切である理由は主に3つあります。
1つ目は、サービスの質の向上のためです。介護記録を残すことで、利用者の状態や効果のあったサービスを知ることができます。
過去の記録を元によりよいケアプランが作成できたり、実施内容や事例を共有したりすることで、スタッフの学びにもつながります。
スタッフ個々のスキルアップはもちろん、事業所全体でのサービスの質の向上により、利用者の満足度アップを実現できるでしょう。
2つ目は、利用者やそのご家族とのコミュニケーションツールとなることです。
紙の介護記録は複写になっていることが多いため、控えをご家族にお渡しすることで、どのようなサービスを行ったのか、利用者がどのような反応をしたかを伝えることができます。
よりよいサービスを行うには利用者のご家族との信頼関係が大切です。介護記録はご家族とのコミュニケーションの材料としても活用できるのです
3つ目は、介護給付金算定の根拠とするためです。
訪問介護の場合は、利用時間が給付金額の算定基礎となるため、介護記録が適正に記入されていないと、介護給付費の請求ができません。
記入漏れがないよう、丁寧に作成する必要があります。
また、訪問介護記録は保管義務があります。
事業所はサービス終了後、最低でも2年、自治体によっては5年間保管しておかなくてはいけません。
記録が残っていないということになると、介護給付金算定の根拠がないとして返戻等の可能性もあるのです。
介護記録は大変重要な書類です。ヘルパーさんひとりひとりにも、その認識をもってもらうことが大切です。
訪問介護記録を手書きで作成する際のメリットとポイント
訪問介護記録は、サービス実施記録・介護記録・ヘルパー日誌などと呼ばれ、紙で残すのが一般的ですが、最近では半数程度の事業所がアプリやシステムなどを使用しており、国も推奨しています。
少しずつアプリやシステムに移行する事業所も多いなか、手書きで介護記録を作成するメリットはどういった点にあるのでしょうか。
紙(手書き)で作成することのメリット
介護記録を手書きで作成する場合、専用の用紙に利用者名、ヘルパー名、利用時間、食事介護や入浴などの実施したサービス内容、利用者の状態などを記入します。確認印欄がある場合は、利用者に押印を依頼。複写式の場合は、利用者控えとしてお渡しします。
紙の介護記録は、年齢問わず特に知識は不要ですぐに書けるという点が一番のメリットでしょう。事業所間での移動や転職、高齢ヘルパーも多い介護業界では、ある程度様式が決まっており、新人ヘルパーや高齢ヘルパーにも難なく介護記録を作成してもらえるのは紙のいいところです。
また、複写式であれば、利用者宅に控えを残すことができ、トラブル防止や利用者家族とのコミュニケーションにも使えます。
利用者や利用者家族は控えが手元にあることで、サービスの内容を確認することができ、安心感や信頼にもつながります。
紙(手書き)で作成する際のポイント
記録用紙は既製品も販売されていますが、より時短で負担感を減らすには、あらかじめ事業所名を印刷しておくということもおすすめです。
また、ヘルパー氏名もスタンプを使うなど、限られた時間のなかでできる限りスムーズに記録を終えられるよう工夫をしましょう。
アプリやシステムを使用する事業所が増えたことから、記録用紙自体にも押印欄がないものが主流になってきています。法律上も確認印が必要というものではなく、利用者の理解を得たうえで押印については省略することも検討すると良いかもしれません。
手書きの介護記録の難しさは、申し送りの部分ですよね。文字の読みやすさや内容など、ヘルパー個人に委ねられます。
もしも字に自信がなくとも、できるだけ丁寧に書くこと、具体的に書くこと、想像ではなく事実を5W1Hを意識して書くことを意識しましょう。
利用者やご家族が読んでも理解しやすいよう専門用語は避け、具体的な表現で記録するといいですね。
介護記録の例文
では、介護記録の申し送り部分について、例文をいくつかみていきましょう。
最も多いのは「特変なし」。特に変わりがない、ということですよね。実際、毎日サービスに入る場合や介護度によっては特に変わりがないということもあります。
しかし、いつもと変わらずどうなのか、というところがこの一文ではわかりません。
例えば、こうしてみてはいかがでしょうか。
例
「特変なし」
→「いつもと変わらず表情は穏やかで食事も完食されました。体調も悪くないと本人がおっしゃっていました」
このように、いつもと変わらずどうなのかを付け加えることで、利用者の状態がわかりやすく、読む側にも伝わりやすくなります。
次に、なんとなく調子が悪そう、ということを記録する際、そのまま「なんとなく調子が悪そうでした」と書くのはNGです。根拠が書かれておらず、事実かどうかがわからないからです。
例
「なんとなく調子が悪そうでした」
→「笑顔がなく、食事も3分の1ほど残されました。いつものようにおしゃべりをされることもほとんどなく、あまり動きたくないとおっしゃっていました。」
体調が優れない様子が具体的にわかり、その後のサービスでも注意をすることができます。こちらが感じたこと、思ったことではなく、事実を伝えるようにしましょう。
おすすめの介護記録の書き方・例文の本
いくつか、介護記録の書き方や例文についての本をご紹介します。事業所に1冊置いておくと重宝しますよ。
【新しい介護記録の書き方・活かし方】
本書は新しいデータベース活用時代(=LIFE時代)に必要な、介護記録の書き方のポイントについて図解でやさしく解説。いま介護現場ではどんな書き方が求められているのか。実践編の1冊です。
【手早く書けてしっかり伝わる!介護記録の書き方&場面別文例集】
「時間をかけずに正しく書ける」介護記録の書き方のポイントがわかる!
すぐに使える場面別文例が満載!
気になる場面やヒヤリハット場面が充実しています。
【目で見てわかる介護記録の書き方】
適切な記録を書くための観察ポイントを図解。
何を、どう見るのかハッキリわかります。「特変なし」の時の書き方もフォロー。
「特に書くことがない」場合の対応もバッチリです。認知症ケア、医療的ケアもしっかり収録。
豊富な事例を元に記録の書き方を紹介しています。
例文を登録しておくことができるテレッサmobileを活用しよう
サービス実施記録として全国の訪問介護事業所で広く使われている「テレッサ」は、サービスの種類や使い勝手によって15種類を取りそろえています。
また、紙の記録用紙だけでなく、LINEで記録を報告できる「テレッサmobile」も展開。
テレッサmobileは、LINEを使って訪問介護記録を作成できるアプリです。使い方はとても簡単で、自分のスマホからLINEでお友達登録をするだけで、すぐに使いはじめられます。
介護記録の提出方法は、必要事項を入力して報告ボタンを押すだけ。スタッフは、介護記録の提出や報告のために事業所に出向く必要がないため直行直帰が可能となり、時間の有効活用につながります。
送信された内容は事業所のパソコンでリアルタイムに閲覧することができ、報告内容の確認や、利用者の状況把握が迅速に行えます。紙の介護記録と同じフォーマットで出力が可能で、利用者控えやチェック用として活用できるでしょう。
申し送りはよく使う例文を登録しておくことができるので、スムーズに記録ができ、ヘルパーによる文字の見やすさなどにも左右されません。
月額1,980円~と始めやすいのも特徴です。申し送りに課題がある事業所はぜひ検討してみてくださいね。
まとめ
ホームヘルパーの訪問介護記録は、実施内容の報告だけでなく、サービスの向上やスタッフのスキルアップに欠かせないものであることがわかりました。
また、専用アプリを使用することで、より質の高い介護記録の作成ができるでしょう。
スマホアプリ「テレッサmobile」であれば、業務のスリム化やコストダウンなどメリットもたくさんあります。ぜひ「テレッサmobile」を導入してみませんか。
Author Profile
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5年にわたり祖母の介護を経験。その経験を元に、介護の世界へ。
現在はライターとして介護の記事を中心に執筆中。
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