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自立支援介護はチームアプローチが重要!必要なケアやメリットを解説

介護における自立支援について解説します。自立支援は介護保険制度の重要な基本理念の一つ。国としても急速な高齢化に対応すべく、介護予防や自立支援に対する取り組みを重視しています。

今回の記事では自立介護支援に必要なケアや、取り組みのメリットについて解説しますのでぜひ参考にしてください。

自立」とは他の人の援助を受けずに、自分の力で生きていけることをいいます。高齢者がが可能な限り自力で日常生活が送れるように支援することを「自立支援」といい、介護保険法の理念としても掲げられている重要な考えです。

ただし、どのような状態を自立とするのか明確な基準はなく、特定の自立支援の方法もありません。高齢者がその方らしく生活できるように、個々の能力に応じた手助けすることが大切です。

「自立支援介護」に必要な4つのケア

自立支援の考え方の一つに、国際医療福祉大学大学院の竹内孝仁教授による「自立支援介護」という理論があります。「水分」「栄養」「運動」「排便」を重要視した基本ケアを行い、高齢者の自立を支える考え方です。4つの基本ケアはすべてが密接に関わっているため、バランスよく取り組むことにより健康や自立した生活に良い影響を与えます。

4つの基本ケアについて詳しくみていきましょう。

水分は人間が生命維持するうえで欠かすことのできないものです。

人の身体は多くが水分で構成されており、成人は体重の約60%、高齢者は体重の約50%〜55%が水分です。水分の多くは筋肉に含まれていますが、年齢とともに筋肉量が減少する高齢者は水分が不足しがちになってしまいます。また高齢者の中には、喉の乾きを感じにくくなったり、トイレの回数を気にして水分摂取を控えたりする方もいます。

体内の水分が不足すると脱水症状だけでなく、認知症などの原因にもなるためこまめな水分摂取は欠かせません。自立支援介護では高齢者に必要な1日の水分摂取量は1500mlほどとされているため、意識的に摂取する必要があります。

食事も水分と同様に健康な身体には欠かせません。食事摂取量が減ると低栄養になり、体力や抵抗力が低下する原因になります。活動の低下は、寝たきり認知症の要因にもなってしまうため注意が必要です。寝たきりの状態は褥瘡を引き起こしやすく、さらに低栄養では改善が困難なため悪循環になります。食欲が低下している場合は本人が食べたいと思える好きなものを提供したり、噛む力や嚥下力が低下している方には、刻み食やペースト食など食べやすい形態に変更したり工夫して少しでも食べられるようにしましょう。1日の摂取カロリーは1500kcal以上を目安に、バランスのよい食事を心がけることが大切です。

自立支援介護では、1日2kmの歩行に相当する運動も大切です。歩行により日常生活動作において自力でできることが増え、活動の幅が広がります。筋力アップ体力アップ血流改善など身体全体に良い影響を与え、脳に刺激も与えます。日中の活動は、睡眠の質を向上させるのにも効果的です。

体力に不安がある方は一気に2km歩く必要はありません。自身のペースで少しずつ身体を動かす機会を設けることが大切です。

排便は、3日以内の自然排便が目標です。高齢者には便秘で悩み、下剤に頼っている方も少なくありません。しかし、これまで説明してきた基本ケアの「水分」「栄養」「運動」を重視することで、自然排便が目指せます。

直腸に送られた便は約75%が水分です。水分摂取が不足することにより便が硬くなり移動しにくくなるため、快便のためには十分な水分摂取が欠かせません。また、食事量が減ると、便そのものを作る材料が不足してしまいます。栄養バランスが乱れ、食物繊維が不足することも便秘の要因になります。

おむつでの排泄では便意に気付きにくく腹圧もかけにくいため、トイレでの排泄ができるように筋力や体力アップも大切です。運動の継続は便秘解消にも効果的です。

自立支援のメリットには以下の4点が考えられます。

  1. 生活の質が向上する
  2. 介護度の進行を予防する
  3. 家族の介護負担を軽減する
  4. 介護にかかる費用が抑えられる

それぞれについてみていきましょう。

自立支援をすることで、その方らしい生活を送ることや生きがいを感じることにつながり、生活の質が向上します。自分でできる動作が増え、活動の幅が広がればさまざまなことに意欲的になり、充実した日常生活が可能になります。

生活の質を向上させるには、身体的・精神的な健康が欠かせません。基本の4つのケアに取り組み、心身ともに健康を維持することが社会参加や自己決定など、生活の質を上げることに多大な影響を与えます。

自立支援により、身体機能を維持・向上させることで介護度の進行を予防できるのも大きなメリットです。自立支援を行わず活動量が低下すると、高齢者が陥りがちな廃用症候群を引き起こす要因になります。身体を過度に動かさないことは、身体的・精神的にさまざまな悪影響を与えてしまいます。動かなければどんどん心身の機能が低下し、介護の必要度は上がってしまうため、できることは自分で行いながら介護予防に取り組むことが大切です。

要介護者の身体機能の維持・向上により、介護者の介護負担が軽減されるのもメリットです。

介護は介護者に身体的にも精神的にも大きなストレスを与えます。移動・移乗・入浴・排泄などの身体介護や、認知症の進行による周辺症状の悪化は介護負担を増大させていきます。自立支援により少しでも自身でできることが増えれば、ゆとりを持った介護につながるでしょう。

自立支援により必要な介護が少なければ、当然介護にかかる費用も抑えられます。

介護が必要になれば、介護保険でさまざまなサービスが使えるものの、1〜3割の自己負担が必要です。ほかにも、介護保険で賄えない介護用品やおむつ代など何かと費用はかさみます。それらにかかる費用を払わなくてよければ、経済的な負担も軽減します。

少子高齢化が進む日本では、国の財政で賄われる医療・介護給付費を軽減させるためにも自立支援は大切な考え方です。介護保険法第一条でも、介護保険の目的として自立支援が重要視されています。

自立支援にはこれをすれば良いという明確な方法はありません。本人の心身の状況や意思にもよるためそれぞれに合わせた対応が大切です。

自立支援をするために介護者ができる具体的な内容の一例を確認しておきましょう。

介護の基本ではありますが、介助はできない部分のみに留め、できることは自身で行ってもらいます。何でも手伝ってあげるのが優しさではありません。手伝ったほうが早いと思ってしまいがちですが、根気よく見守ることも自立支援です。

また、本人になにか役割をもってもらうのも一つです。施設などで入居者の方に、洗濯物を畳むなどのお手伝いに意欲的に取り組んでいただけるケースがあります。手伝っていただいたあとに感謝の気持ちを伝えると、誰かの役に立っていることに生きがいや喜びが感じられます。

その方の生活歴や得意なことを考慮しながら、無理のない範囲でお願いしてみるとよいでしょう。

「歩行が不安定になった」「転倒することが多くなった」などの理由で、自身で移動ができなくなれば、行動範囲が狭まってしまいます。動かなくなることでどんどん筋力が低下し、廃用症候群のリスクも高まります。

介護保険では、20万の支給限度額内で自宅を住宅改修することが可能です。うち、費用の1割~3割は自己負担、残りの9割〜7割が支給されるので住宅改修で環境整備を検討してみるのもよいでしょう。

対象となる6つの工事は以下の通りです。

  1. 手すりの取付け
  2. 段差の解消
  3. 床・通路の材料の変更
  4. 扉の取替え
  5. 便器の取替え
  6. 住宅改修に付帯して必要となる工事

とくに、古い家屋の場合には段差が多いなどのお悩みがある方もいらっしゃるかもしれません。そのような昔ながらの家屋は特に、住宅改修で住みよい環境にするのがおすすめです。住宅改修が難しい場合は、福祉用具をレンタルする方法もあります。手すりやスロープで環境を整えるほか、杖や歩行器をレンタルすることで安全に移動できるケースがあります。その方のお身体や家屋の状況によりおすすめできる方法が異なるため、ケアマネジャーに相談すると介護保険を最大限に活用できるはずです。

運動が継続できるような環境をつくることも自立支援につながります。散歩ラジオ体操などをお声がけし、身体を動かすことを習慣化できるようサポートしましょう。

運動はなかなか続けるのが難しいものです。自力で継続できない場合には、介護保険でデイサービスデイケアなどの通いのサービスや、訪問リハビリなどを活用するのも一つです。とくに、通いのサービスを利用することにより人との交流機会が生まれ、引きこもり防止認知症予防にも効果を発揮します。

少しずつで良いので継続できる環境を整えていきましょう。

介護保険を申請し、自立だと判定された場合には介護保険サービスが利用できません。そのような方は、自治体のサービス利用を活用してみましょう。

地域により異なりますが、介護予防プログラムを実施していたり地域のコミュニティーイベントなどを企画していたり、自立支援のための取り組みがおこなわれています。ご自身ではなかなか見つけられない方も多いので、リサーチして興味がありそうなものに参加を促してみるのも自立支援のきっかけになります。

介護はチームケアです。介護保険を利用することで、ご家族のみならず介護や医療の専門家の力を集結しチームで対応します。

チームで臨むことが自立支援を最大限に発揮することにつながります。関わるすべての方と情報共有しながら取り組んでいくことが大切です。

介護職が知っておきたい「ほんとうの自立支援」がわかる本

「本人にできることをしてもらえば自立支援」など、現場では本来目指すべき「自立支援」が思い込みで誤解されたり、介護職の都合で曲解されるケースが多い。
マンガや事例を通し「思い込み自立支援」から「本来の自立支援」へと見直すための具体的な対応とヒントを解説しています。

今回の記事では、自立支援について解説しました。自立支援は介護者だけががんばるのではなくご本人の意思が重要です。いかに意欲を引き出せるかを考えながらチームで取り組んでいくことが望まれます。

チームの力を発揮するためには、介護者同士の情報共有が大切です。最近では、介護施設や事業所でもどんどんIT化が進み、介護ソフトを活用しながら情報共有の効率化が図られています。

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tomo
tomo
特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、居宅介護支援事業所での勤務経験。
介護福祉士、介護支援専門員の資格を活かし、高齢者やその家族、介護現場で働く方々のお役に立てる情報をウェブメディアなどで執筆中。