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訪問介護事業所のレセプト極意|請求の流れやミスを防ぐ方法

訪問介護事業所のレセプトについて解説します。レセプト業務は介護保険請求に欠かせない大切な業務の一つです。

この記事では請求の流れやミスを減らす工夫について解説しますのでぜひ参考にしてください。

レセプトとは、医療機関や介護施設などが保険者に報酬を請求するための明細書のことで、ドイツ語のRezept(処方箋)が語源です。介護サービス事業所の場合は、介護保険の報酬を受け取るために提出する書類をいいます。

月単位でご利用者の氏名・被保険者番号などの基本情報や、提供したサービスの種類・回数・各種加算の内容などを記載し、国民健康保険団体連合会(国保連)に提出します。国保連でレセプトの内容をチェックし、問題がなければ介護報酬が事業所に支払われる仕組みです。

介護報酬請求業務において、レセプトを取り扱うための資格は必要ありません。事業所によって管理者サービス提供責任者が行うところや、介護事務員に任せているところもあります。

また、適切なレセプト請求を行うためには、ヘルパーが日々記録するサービス提供の記録も重要な要素の一つです。

レセプト業務で提出する書類には「介護給付費請求書」と「介護給付費明細書」の2種類があります。それぞれの違いをみていきましょう。

事業所の1カ月の介護給付請求額を集計し記載するのが「介護給付費請求書」です。事業所の基本情報や、請求するサービスの件数費用公費請求の情報などをまとめた総括的な書類になります。

介護給付費請求書は、サービス提供年月ごとに作成します。請求書には種類があり、要支援の方は介護予防サービスに対応した様式へ記載しなくてはなりません。ただし、介護ソフトを利用している事業所では、基本情報を正しく入力していれば自動で作成してくれるケースがほとんどです。

利用者それぞれの保険請求額や利用者負担額、公費請求額等を記載した書類が「介護給付費明細書」です。個々の利用者ごとに作成される詳細な内訳書であり、利用者負担額を計算する際にも請求の根拠となります。

国保連請求では、介護給付費明細書とそれを集計した介護給付費請求書をセットにして提出します。

訪問介護事業所における、レセプト業務の流れを大まかにまとめると以下のとおりです。

  1. ヘルパーが記入した実施記録を集計し「介護給付費請求書」と「介護給付費明細書」を作成する
  2. サービス提供の翌月の1~10日までに請求データを作成し、国保連に提出する
  3. サービス提供の翌々月に国保連から介護報酬が振り込まれる

上記のように、サービス提供月から支払いまでは約2カ月かかります。少しでも不備があれば支払いはさらに翌月に繰り越されるため、できる限り一度で審査が通るように正しい請求データを提出することが大切です。

前述のとおり、通常はサービス提供後約2カ月で介護報酬が振り込まれますが、通常通りに支払われないパターンもあります。それが「月遅れ請求」や「返戻」「保留」のときです。

それぞれのパターンを詳しく解説します。

介護保険サービスは、介護認定を受けていなければ利用することができません。そのため、レセプトには介護保険証の被保険者番号や要介護度などの情報を正しく記載する必要があります。

しかし、急に介護が必要になってしまったため、結果を待たずに介護サービスの利用を開始するケースがあります。また、保険者の都合で認定結果が遅れ請求に間に合わないケースもよくあることです。

そのような場合は、みなしで介護保険サービスを利用して、介護保険証が発行されてから翌月以降にまとめて請求することになります。これを「月遅れ請求」といいます。月遅れ請求は、2年間であれば過去に遡って請求することが可能です。

返戻」は、請求データに不備があった場合に、介護給付費明細書が返却されるケースです。

返戻には以下のようなケースが該当します。

  • 単純な数値の入力ミス
  • 請求の重複
  • ご利用者情報の入力ミス
  • 事業所の体制変更を届けていない(事業所情報が一致しない)
  • 介護保険情報が一致しない  など

返戻で差し戻された場合には支払いがされないため、修正して翌月以降に再請求する必要があります。

請求が「保留」になるのは、介護事業所が提出する介護給付費明細書と、ケアマネジャーが提出する給付管理票に相違がある場合です。

例えば、事業所が提出していてもケアマネジャーが提出していなければ突合ができないため、請求が保留になります。ケアマネジャーが提出した内容と相違がある場合にも報酬が支払われません。

保留になった場合、事業所側に間違いがなければ再提出する必要はありません。ケアマネジャーに正しいレセプトの提出依頼をします。翌月以降に突合できれば報酬が支払われます。

支払いが確定した後に請求ミスが発覚した場合は「過誤申立」の手続きが必要です。過誤申立とは、支払いが確定した実績を取り下げるように申請することをいい、介護給付費を返還したあとに正しい内容で請求しなおします。

過誤申立には「同月過誤」と「通常過誤」があります。

2つの違いは以下のとおりです。

同月過誤実績の取り下げと再請求を同一月内に行う
通常過誤取り下げだけを行う。
再請求する場合は取下げが確定した後に行う

請求確定後なので、ご利用者に請求してしまっている場合には返金しなくてはならないケースや、逆に追徴しなくてはならないケースも考えられます。

請求業務は事業所の収益に直結する大切な業務なので、ミスは極力減らしたいものです。しかし、どれだけ気をつけていてもどうしても間違いは起きてしまいます。ミスを最小限に抑えるための工夫を日頃から講じておきましょう。

入力ミスはどうしても完璧には防げないため、ダブルチェックの習慣をつけることが大切です。できれば、入力した人と別のスタッフがダブルチェックするほうがミスが見つけやすくなります。

チェックする際はただ漫然と見るのではなく、チェックリストなどを作成しておき、見るべきポイントを抑えながら実施するのがおすすめです。マニュアルを作成しておき、マニュアル通りに行うことで手順を統一するのも、ミスを抑える対策になります。マニュアルは新人スタッフや請求業務に慣れていないスタッフが業務を行う時にも役立ちます。

介護保険はルールの改正が定期的に行われるため、日頃から知識をアップデートしておくことが必要です。勉強会ミーティングを開催するなど、学びや情報共有の機会を作るようにしましょう。

請求業務や介護保険の知識は一度覚えたら終わりではなく、積み重ねが大切です。知識が足りないがためにミスを見落とさないように、事業所全体で知識や経験、スキルを向上させていきましょう。

請求業務の効率化には介護ソフトの導入が欠かせません。介護ソフトにはさまざまなタイプがありますが、おすすめなのが介護記録と請求データが連動しているタイプです。

介護スタッフが入力した内容がそのまま介護ソフトに反映されれば転記ミスを最小限におさえることができます。記載内容の整合性がとれない場合や入力漏れ、ミスなどがあればアラートなどで知らせてくれるのも便利です。ご利用者の基本情報なども、それぞれの書式と連動してるため何度も入力しなくてもすみます。

ミスを防ぐとともに効率化を図るためにも、介護システムの導入はマストだと言えます。

今回の記事では介護保険サービスのレセプトについて解説しました。

ご説明のとおり、介護保険請求は通常でもサービス提供から支払いまで約2カ月かかります。ミスがあればさらに支払いが遅くなるため、できる限り正しい請求を行う工夫が大切です。

訪問介護事業所の介護ソフトでおすすめなのがLINEアプリのシステムを利用した「テレッサmobile」です。テレッサモバイルなら、ヘルパーさんは日々の介護実施記録を入力して送信ボタンを押すだけでサ責に実績報告が完了します。サ責さんはタイムリーに実績が確認でき、記録用紙の提出を待たずに請求業務に取り掛かれます。

また、テレッサmobileをご利用いただくと、テレッサmobile訪問介護請求代行サービスもご利用いただけます。「テレッサmobile×請求代行」は、忙しい管理者さん・サ責さんに代わり、記録や帳票類をチェックして国保連請求まで行うサービスです。ヘルパーさんは、今までどおり実績をLINEで報告するだけ。そのあとの請求業務を一手に引き受けます。

ミスを軽減するだけでなく、管理者さん・サ責さんの業務負担を大幅に軽減することは間違いありません。浮いた時間をサービス向上の取り組みにあてたり、営業で新規開拓したりすることも可能。良い循環を生み出すことに役立てていただけるはずですので、ぜひご検討ください。

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tomo
tomo
特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、居宅介護支援事業所での勤務経験。
介護福祉士、介護支援専門員の資格を活かし、高齢者やその家族、介護現場で働く方々のお役に立てる情報をウェブメディアなどで執筆中。