
訪問介護事業所にとって、特定事業所加算の取得はサービス品質の向上と収益改善の両面で大きなメリットがあります。しかし、加算を得るためには厳格な体制要件を満たす必要があり、特に「指示・報告」の仕組みづくりが大きな課題となります。
本記事では、特定事業所加算の概要と算定要件をわかりやすく解説し、現場での「指示・報告」業務を効率化する介護アプリの活用方法について紹介します。
特定事業所加算とは?

特定事業所加算とは、質の高い介護サービスを提供する事業所に対して、一定の評価をする加算のことです。
特に、専門性が高い人員を配置したり、要介護度の高い利用者にも積極的な介護サービスを提供したりしている事業を評価するものです。
特定事業所加算は地域における介護サービスの向上を目的としており、国が定めている一定の条件を満たしていること、かつ申請を行うことで適用されます。
特定事業所加算は、(Ⅰ)から(Ⅴ)までの5つの区分があり、それぞれ異なる算定条件と加算率が設定されています。各区分の特徴を理解し、自事業所に適した加算を選択することが重要です。
加算区分別の算定条件
まず、加算区分別の算定条件をみておきましょう。
加算区分 | 加算率 | 主な算定条件 |
---|---|---|
Ⅰ | 20% | ・最も厳格な要件<br>・サ責・訪問介護員の資格・経験が必要<br>・重度者対応の実績<br>・安定した雇用と人材育成<br>・質の高いサービス提供 |
Ⅱ | 10% | ・加算Ⅰより条件が緩和<br>・人材要件は軽減<br>・重度者対応の実績は不要<br>・加算Ⅰへの移行を目指す段階 |
Ⅲ | 10% | ・基本体制要件+サ責配置が基準以上<br>・または訪問介護員の勤続年数が長い<br>・重度者対応の実績が重視される |
Ⅳ | 3% | ・加算Ⅲと同様の体制要件<br>・重度者対応の実績は不要<br>・取り組みやすい条件設定 |
Ⅴ | 3% | ・最も取得しやすい区分<br>・中山間地域でのサービス提供<br>・多職種共同による訪問介護計画の見直し<br>・他加算との併算定が可能(最大23%) |
体制要件
体制要件は、事業所の運営体制に関する基準です。算定要件には、以下の8項目があります。
1.計画的な研修の実施
計画的な研修の実施が求められます。
対象:すべての訪問介護員(サービス提供責任者も含む)
具体的な目標・研修内容・期間・時期等を定め、計画的に行う。
2. 定期的な会議の開催
サービス提供責任者(サ責)が中心となり、以下の内容を共有・討議します
- サービス提供に関する情報
- 留意事項の伝達
- 課題の解決策の検討
■開催頻度:原則として月1回以上
■参加者:すべての訪問介護員
■開催方法:グループ分けによる分散開催、テレビ会議などのオンライン形式も可
3. 利用者情報の指示・報告体制
サ責は、訪問介護員がサービスを開始する前に、必要な情報や注意点を文書等で確実に伝達する必要があります。
サービス終了後には、訪問介護員からサービス状況の報告を受ける体制が必要です。
この「記録に残る指示・報告体制」が、加算要件の重要なポイントです。
4. 健康診断の実施
- 対象:すべての訪問介護員(常勤・非常勤問わず)
- 実施頻度:年1回以上
- 費用負担:事業主が負担
- 目的:職員の健康管理と安全なサービス提供の確保
5. 緊急時対応の明示
利用者に対して、緊急時の対応方法を明確に説明する必要があります。※「明示」とは、以下の内容を記載した文書を交付・説明すること
- 対応方針
- 連絡先
- 対応可能な時間帯
方法例:重要事項説明書に記載し、説明・交付する
6. 看取り期の対応(加算Ⅰ・Ⅲ)
- 対象:看取り期の利用者
- 必要な体制:医療機関や訪問看護ステーションとの連携
- 24時間対応可能な体制の整備
- 看取りに関する職員研修の実施
- 利用者への方針説明と同意取得
7. 中山間地域等へのサービス提供(加算Ⅴ)
- 要件:山間地またはその周辺地域に居住する利用者への継続的なサービス提供
- 地域の定義:厚生労働大臣が定める基準に準拠
8. 多職種共同による訪問介護計画の随時見直し
見直しのタイミング:利用者の心身状態や家庭状況の変化に応じて随時。サ責が中心となり、以下のような多職種と連携して計画を見直す体制が必要です。
- ケアマネジャー
- 医師・看護師などの医療従事者
- その他、利用者に関係する支援者
加算取得に必要な「指示・報告」体制とは?
特定事業所加算の体制要件の中でも、特にハードルが高く感じるのが「サービス提供責任者による指示」と「訪問介護員からの報告」の仕組みです。
指示の要件
- サ責がサービス提供前に、利用者の情報や留意事項を文書またはアプリ等で確実に伝達すること。
- 指示内容には、ADL、意欲、要望、家族環境などが含まれる。
報告の要件
- サービス提供後、訪問介護員がサ責へ報告を行うこと。
- 報告内容は、サービス時の様子や利用者の反応などを記録に残す必要がある。
この「記録に残る指示・報告」は、サービス毎に実施する必要があり、紙ベースや口頭では要件を満たすのが困難な可能性があります。
アプリを活用した「指示・報告」体制の構築
こうした課題を解決する手段として注目されているのが、介護業務に特化したアプリの導入です。特定事業所加算の要件に対応したアプリを使うことで、指示・報告の記録を効率的に残すことが可能になります。
主な対応アプリの例
① Colibri(コリブリ)
- サ責からの指示をアプリで文書化し、訪問前に確認可能。
- 訪問後の報告もアプリ上で記録でき、一覧で確認可能。
- GPS機能により、訪問場所や時間の証明も対応。
- 研修計画や定期会議の記録も一元管理可能。
参考:Colibri
② トリケアトプス「スタッフ実績報告」
- 訪問スケジュールと連動し、指示書を自動表示。
- 報告はタップ操作で簡単に入力、音声入力にも対応。
- 実施記録票として出力可能で、請求業務にも連携。
参考:トリケアトプス
③ テレッサモバイル
- シフトと同時に指示内容がスマホで確認できる
- 訪問記録はLINEアプリで簡単に入力。
- 音声入力や申し送りの文章テンプレート機能も。
- 実績チェックは自動で行ってくれるからサ責もラクラク。
参考:テレッサモバイル
これらのアプリは、スマートフォンやタブレットを活用して、訪問介護員とサ責の情報共有をスムーズにし、記録の抜け漏れを防ぎます。
アプリ導入のメリット
✅ 加算要件を確実に満たせる
アプリを使えば、指示・報告の記録が自動的に残るため、自治体の監査にも対応しやすくなります。リアルタイムでの指示・報告が可能になり、加算要件を満たせます。
✅ 業務効率化
紙の記録や電話連絡に比べて、記録・確認の手間が大幅に削減されます。直行直帰の働き方にも対応可能です。
特定事業所加算取得のステップ
- 現状の体制を確認(サ責の人数、研修実施状況、報告体制)
- アプリ導入による記録体制の構築
- 研修計画・定期会議の実施と記録管理
- 加算要件を満たした上で、自治体へ届出
テレッサモバイルは特定事業所加算の算定におすすめ

特定事業所加算の取得には、訪問介護員とサービス提供責任者の間で「記録に残る指示・報告体制」を構築することが不可欠です。従来の紙や口頭でのやり取りでは限界があるため、介護業務に特化したアプリの導入が非常に有効です。
訪問介護事業所の介護記録に特化したテレッサモバイルは、LINEアプリを活用したシステムなので新たにアプリをインストールするなどの手間もかからず、すぐに導入可能です。
テレッサモバイルの特徴
- LINEで記録を入力・送信
- サ責がリアルタイムで確認・指示
- 申し送りはテンプレートでミスや漏れを防止し効率UP
- 紙の記録と併用できる設計で安心(1年間は専用記録用紙の無料プレゼントもあり)
- サポートも直接LINEですぐにつながる安心感
- 慣れてきたらシフトなどの機能がついたバージョンに切り替え可能
- IT導入補助金対象ツール
特定事業所加算の算定がきっかけでテレッサモバイルを導入されている事業所がどんどん増えています。ぜひこの機会にご検討ください。
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投稿者プロフィール

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5年にわたり祖母の介護を経験。その経験を元に、介護の世界へ。
現在はライターとして介護の記事を中心に執筆中。
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