
介護報酬改定のたびに注目される「特定事業所加算」。訪問介護事業所にとっては、サービスの質を評価される加算でありながら、取得率は全国で約4割にとどまっています。
特定事業所加算取得のメリットや取得のハードルについてきちんと理解できていない方も多いのではないでしょうか。特定事業所加算を取得していない事業所はの多くは
「利用者様の負担が増えるから」という理由が多いようです。また、特定事業所加算は、介護サービスを営利目的に感じさせるという声もありました。
実際、取得している事業所と取得していない事業所では、最大で20%の売上の差が出ます。
この記事では、特定事業所加算の仕組みと取得の意義、現場の課題、そしてICT活用による解決策まで、わかりやすく解説します。
特定事業所加算とは?令和6年度の最新区分と要件
令和6年度の介護報酬改定では、訪問介護の「特定事業所加算」が再編され、より段階的かつ実態に即した評価体系へと見直されました。これにより、事業所の体制整備やサービスの質に応じた加算取得がしやすくなっています。
最新の加算区分(令和6年度版)
加算区分 | 加算率(所定単位数に対して) | 主な要件の概要 |
---|---|---|
加算Ⅰ | 20% | 厳格な体制整備。常勤訪問介護員5名以上、サービス提供責任者2名以上、24時間対応体制、記録・報告の即時性などをすべて満たす |
加算Ⅱ | 10% | 常勤訪問介護員3名以上、サービス提供責任者1名以上、記録・報告体制の整備、緊急時対応の仕組みなど |
加算Ⅲ | 10% | 重度者対応に特化。要介護4・5の利用者割合が高く、専門的支援体制が整っている |
加算Ⅳ | 5% | 基本的な体制整備。常勤職員2名以上、記録の整備、サービス提供責任者の配置など最低限の基準を満たす |
加算Ⅴ | 3% | 新設。小規模事業所でも取得可能な加算。ICT活用や記録の電子化、サービス提供責任者の配置などが評価対象 |
※加算Ⅲは加算Ⅰ・Ⅱとの併算定不可。加算Ⅴは他加算との併算定が可能。
なぜ取得すべきなのか?特定事業所加算のメリット
特定事業所加算によって増えた収益は、処遇改善加算と異なり、使途は自由です。
加算を取得することで営利主義と見られ、結果、利用者にマイナスのイメージを持たれると不安に思っている事業所も多いですが、そういった事業所の多くがまた、経営的に困難を感じているということもあります。介護サービスは、利用者の生活を守る大きな柱です。
加算を取得することによる事業所のメリットを見ていきましょう。
1. 経営の安定化
加算によって増える収益は、処遇改善加算とは異なり使途が自由。設備投資やICT導入、職員の給与反映など、事業所の裁量で活用できます。
2. 職員の定着・採用力向上
加算による収益を職員の待遇改善に充てることで、満足度が向上し、離職防止や採用力強化につながります。
3. サービスの質向上
加算取得の要件を満たすことで、記録や報告の精度が上がり、利用者への対応力も高まります。結果として、利用者満足度の向上にもつながります。
加算取得のハードルと現場の悩み
このように、訪問介護事業所にとって、特定事業所加算取得は大きなメリットがあります。一方で、加算取得には高いハードルがあるのも事実です。
例えば、“事前指示”と”適宜報告”。ヘルパーがサービスに入る前に、サ責から指示を受けて訪問へ向かう必要があることや、サービスの完了の都度、サービスの内容についての報告をあげなくてはならないといったことです。
事前指示においては、LINEやメールなどのツールを使うことができますが、サービスの報告については、紙の介護記録(ヘルパー日誌)ではまず不可能です。
こうした指示や報告については、特定事業所加算では、きとんと文書で保管されているかという点を特に厳しくチェックされます。
よくある課題
- 要件が複雑で、何を満たせばいいか分かりづらい
- 記録や報告の手間が増える
- 紙ベースの管理では対応が追いつかない
- 利用者負担が増えることへの懸念
- 加算取得が“営利目的”と誤解されることも
実際、「加算を取ると利用者にマイナスの印象を持たれるのでは」と心配する事業所もあります。しかし、加算取得によってサービスの質が上がることを丁寧に説明すれば、誤解は防げます。
ICT活用で加算取得のハードルを下げる
ICTは、こうした特定事業所加算取得のハードルを下げることのできるツールです。
ICT導入のメリット
- LINEや専用アプリで事前指示を即時共有
- 記録はクラウドで一元管理し、検索・修正も簡単
- 報告の抜け漏れを防ぐテンプレート機能
- 管理者がリアルタイムで状況を把握できる
紙の記録では不可能だったスピードと精度が、ICTによって実現可能になります。特定事業所加算の要件をクリアするための“仕組みづくり”として、ICTは非常に有効です。
特定事業所加算取得を可能に近づけるテレッサモバイル

介護記録をLINEアプリで記録・報告する「テレッサモバイル」は、事前指示もアプリ内から行うことができ、リアルタイムでサービス実施の記録が報告できるため、特定事業所加算の要件クリアに役立ちます。
実際に、多くの事業所が導入し、特定事業所加算を取得しています。
IT導入補助金の対象ツールでもあるので、導入費用にハードルを感じている事業所は、チャレンジしてみてもいいかもしれません。
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投稿者プロフィール

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5年にわたり祖母の介護を経験。その経験を元に、介護の世界へ。
現在はライターとして介護の記事を中心に執筆中。
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