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2024年訪問介護の基本報酬が引き下げられる!早めの対策を

2024年4月1日に改定される介護報酬で、訪問介護の基本報酬が引き下げられることになりました。他の介護サービスの基本報酬が引き上げられる中、訪問介護はなぜ引き下げられるのでしょうか。当然現場からは不満や怒りの声が上がります。

今回の記事では、2024年4月1日に改定される訪問介護の基本報酬について解説しますのでぜひ参考にしてください。

2024年度訪問介護における主な介護報酬変更点

訪問介護の介護報酬改定の中で一番注目されているのは、何と言っても基本報酬が引き下げられる点です。まずは、訪問介護における介護報酬の主な変更点について確認してみましょう。

訪問介護サービスの基本報酬は2%ほどの引き下げ

今回の介護報酬改定では特別養護老人ホームなど多くの施設や事業所の基本報酬が上がる中、訪問介護の基本報酬は減額します。

【身体介護】

改訂前改定後(2024年4月〜)
20分未満167単位163単位
20分以上30分未満250単位244単位
30分以上1時間未満396単位387単位
1時間以上1.5時間未満579単位567単位
以降30分を増すごとに+84単位+82単位
参考:厚生労働省 令和6年度介護報酬改定における改定事項について

【生活援助】

改訂前改定後(2024年4月〜)
20分以上45分未満183単位179単位
45分以上225単位220単位
身体介護に引き続き20分以上の生活援助をおこなった場合所要時間20分から25分を増すごとに+67単位(201単位が限度)所要時間20分から25分を増すごとに+65単位(195単位が限度)
参考:厚生労働省 令和6年度介護報酬改定における改定事項について

【通院等乗降介助】

改訂前改定後(2024年4月〜)
1回99単位97単位
参考:厚生労働省 令和6年度介護報酬改定における改定事項について

介護職員等処遇改善加算が一本化・拡充される

これまで介護職員の処遇改善を目的とした加算には「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」の3種類がありました。2024年度の改正では「介護職員等処遇改善加算」という名称で3つの加算が一本化され、4段階の区分で加算率が設けられます。(令和6年度中は措置期間)

加算加算率対応する改正前の加算
介護職員等処遇改善加算(Ⅰ)24.5%処遇改善加算(Ⅰ)特定処遇加算(Ⅰ)ベースアップ等支援加算
介護職員等処遇改善加算(Ⅱ)22.4%処遇改善加算(Ⅰ)特定処遇加算(Ⅱ)ベースアップ等支援加算
介護職員等処遇改善加算(Ⅲ)18.2%処遇改善加算(Ⅰ)ベースアップ等支援加算
介護職員等処遇改善加算(Ⅳ)14.5%処遇改善加算(Ⅱ)ベースアップ等支援加算
厚生労働省「「処遇改善加算」の制度が一本化(介護職員等処遇改善加算)され、加算率が引き上がります」

これまでは、ベースアップ等支援加算や特定処遇改善加算を取得するためには処遇改善加算の取得が必要だったため、要件を満たしていても加算が取得できない事業所もありました。制度内容が複雑で理解しづらく、事務手続きも煩雑なため取得率は7割台にとどまっている状況です。

今回の改正で一本化されることにより手続きが簡素化され、加算が取得しやすくなることが期待できます。また、最大で22.4%の加算率だったところが、改正後には最大24.5%まで取得できるようになります。これは他の施設や事業所に比べても高い加算率です。

特定事業所加算が見直しされる

特定事業所加算はこれまでも(Ⅰ)〜(Ⅴ)の5種類ありましたが、そのうち(Ⅳ)が廃止になり、これまでの(Ⅴ)が(Ⅳ)に変更されます。また新しい要件である特定事業所加算(Ⅴ)が新設されるため、改正後も加算の要件は5種類です。

報酬区分加算率
特定事業所加算(Ⅰ)20%
特定事業所加算(Ⅱ)10% 
特定事業所加算(Ⅲ)10%
特定事業所加算(Ⅳ)3%
特定事業所加算(Ⅴ)3%
参考:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定の主な事項について」

特定事業所加算(Ⅴ)は、特定事業所加算(Ⅰ)〜(Ⅳ)それぞれの加算と併算定が可能です。

特定事業所加算では従来に加え、看取り期における対応中山間地域等に居住するご利用者に対する継続的なサービス提供を評価する要件が追加されました。また、取得が難しかった重度者対応要件が選択式となるため、介護の必要度が高い方への対応が評価されます。

なぜ基本報酬が引き下げられるのか

通所介護や訪問看護、特別養護老人ホームなど多くの施設や事業所の基本報酬が上がる中、なぜ訪問介護の基本報酬は減額するのでしょうか。

その理由には以下のようなことが考えられています。

訪問介護の利益率が上がっているため

厚生労働省の令和5年度介護事業経営実態調査結果によると、各介護サービスにおける収支差率((介護サービスの収入額-介護サービスの支出額)/ 介護サービスの収入額)は、7.8% で、前年度より2.0%上回っていました。全サービス平均が2.4%ということから、訪問介護は他に比べて利益率が高いとされ、基本報酬が引き下げられたのではないかいう見解があります。

参考:厚生労働省「令和5年度介護事業経営実態調査結果の概要」

処遇改善加算を取得すれば全体の報酬が上がるため

訪問介護サービスの基本報酬は引き下げられますが、処遇改善加算はアップします。そのため、スタッフがキャリアアップできる仕組みや賃金体系を整備し、働きやすい職場環境を整えることで全体として大きく報酬が下がらないというのが国の考えです。

処遇改善加算を取得すれば最大24.5%の加算が算定できます。しかし、小規模な事業所は条件を整えることが難しいのが現状です。

介護職以外の職種も処遇改善が必要なため

訪問介護の基本報酬を引き下げた要因として、介護職以外の処遇改善も必要だということもあげられます。

訪問介護は施設サービスほど設備投資にお金がかからず、介護職員以外の職種がほとんどいません。そのため介護職以外の職種も多く働く施設サービスなどの基本報酬を上げたと言われます。

基本報酬の引き下げで懸念されること

基本報酬の引き下げで懸念されることは以下の通りです。

経営状態が悪化する・倒産のリスク

処遇改善加算は1ヶ月の総単位に各種加算や減算をしてから、それぞれの処遇改善加算率を乗じて計算します。処遇改善加算率が上がると言えども、元となる基本報酬が下がれば1ヶ月の総単位も下がってしまうため、最終的に報酬がアップした感覚は得られないかも知れません。

東京商工リサーチによると、2023年の訪問介護事業者の倒産が12月15日までに60件にのぼり、年間の倒産件数が最多となりました。 小規模な事業所は処遇改善加算を取得する体制を整えるのが難しいため、さらなる経営状態が悪化倒産のリスクが懸念されます。

売り上げが立たなければ、厚生労働省が力を入れている介護現場のICT化も進められません。ヘルパーの職場環境が改善されず悪循環になることが予想されます。

参考:東京商工リサーチ「2023年の「訪問介護事業者」倒産が 60件に急増  ヘルパー不足や物価高、競合で過去最多を更新」

訪問介護サービスが重要視されない印象を持つ

国は、要介護者が住み慣れた地域でその方らしい生活が継続できるように地域包括ケアシステムを推進しています。在宅介護において訪問介護は介護保険サービスの主軸と言っても過言ではありません。その訪問介護の基本報酬が引き下げられるという事実から、在宅介護や地域包括ケアシステム自体が重要視されていない印象を感じてしまいます。

介護業界で働き手が不足している中、同じ介護職でも訪問介護事業所のヘルパー不足はさらに深刻です。基本報酬の引き下げは、今後介護職につきたいと考えている方の印象も左右するかも知れません。

現状は加算取得を目指すしかない

基本報酬の引き下げは大きな波紋を呼び、全国ホームヘルパー協議会と日本ホームヘルパー協会が厚生労働省へ抗議文を提出しています。

参考:日本ホームヘルパー協会「令和6年度介護報酬改定における改定事項について、厚生労働省に意見書を提出しました」

しかし、新しい介護報酬は2024年4月1日から適用されます。今後は加算を取得して報酬アップさせていくしかありません。可能な限りヘルパーさんの働きやすい環境を確保する取り組みを行い、加算取得を狙っていきましょう。

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また、特定事業所加算取得サポートもオプションで受けることができます。しっかりと対策をして、今後の事業所運営を安定させていきましょう!

2024年度版介護サービスコード表

2024年4月の報酬改定に対応した【全サービス掲載】介護サービスコード表です。

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tomo
tomo
特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、居宅介護支援事業所での勤務経験。
介護福祉士、介護支援専門員の資格を活かし、高齢者やその家族、介護現場で働く方々のお役に立てる情報をウェブメディアなどで執筆中。