訪問介護事業所で介護報酬を得るためには、正しい実績管理が必要です。ご利用者お一人おひとりに複数のサービスが存在し、予定が変更になることも少なくないため、サ責業務の中でも、大変な業務の一つです。今回の記事では、訪問介護の実績について解説しますので、サ責業務に関心がある方はぜひ参考にしてください。
訪問介護の実績とは?
「実績」とは、辞書で調べると「実際の功績・成果」という意味です。訪問介護サービスにおける実績とは、ヘルパーが実際にサービスを提供した結果のことを言います。ヘルパーはご利用者への訪問介護サービス提供後に「サービス実施記録」により、サ責に実績を報告します。実績をもとに、介護報酬請求やヘルパーの給与計算が行われるため、ヘルパー業務の中でも実績報告は重要な役割の一つです。
訪問介護の予定・実績管理の流れ
訪問介護の予定・実績を管理するのは、サービス提供責任者の重要な仕事です。ここからは予実管理の流れをみていきましょう。
1.ケアマネジャーからサービス提供票を受け取る
訪問介護サービス事業者は、ケアマネジャーが作成する「サービス提供票」に記載された予定にそって訪問介護サービスを提供しなくてはなりません。サービス提供票とは毎月、居宅介護支援事業所から介護事業所へ「予定表」として渡される、ご利用者の1カ月分の介護サービスの利用予定が記入された書類です。
提供票には1カ月分の日付・曜日が並んでおり、通常は訪問介護サービスを予定している日付の予定欄に「1」と記載されています。サービス提供の時間帯やサービス内容なども記載されているので、訪問介護事業所は提供票通りにスケジュール調整をおこないます。
ケアマネジャーはサービス提供票を作成する前に、利用者個々に「サービス利用票」を作成し、支給限度額の管理を行っています。利用票をご利用者に提示し、同意を得て交付することはケアマネジャーの責務です。この、同意を得た利用票をもとに提供票が作成されるため、提供表に示されているスケジュールはあらかじめご利用者から同意を得ている内容だということになります。
2.サ責がスタッフを割り当てる
サ責は、サービス提供票の内容をもとにスタッフを割り当て、ヘルパーのスケジュールを調整します。基本的には前月のスケジュールを引き継いで作成することが多いですが、ご利用者の予定やヘルパーの休み予定により、毎月調整しなくてはなりません。ご利用者の増減やサービス内容の変更により、全体的な見直しが必要になるケースもあります。
3.ヘルパーがサービス実績をサ責に報告する
ヘルパーはサ責から指示を受けた予定通りの日時、内容でサービスを提供します。サービス終了後に、その実績をサ責に報告するまでがヘルパーの責務です。
サービスの実績は「サービス実施記録」により報告します。手書きの場合は、決められた様式にサービス内容を記載し、事業所に提出します。介護ソフトを使用している事業所の場合は、システムに入力後に送信すれば、報告が完了します。サービス提供の有無だけでなく、ご利用者の心身の変化や、次に入るヘルパーへの伝達事項なども詳しく報告することが大切です。
4.サービス提供票へ実績として記入する
ヘルパーのサービス実施記録をチェックし、滞りなくサービスが提供できているかを管理するのもサ責の大切な役割です。予定通りにサービス提供がなされなかった場合には、サービス提供が漏れているか記録を提出し忘れている可能性があります。サービスの予定と実績が合っているかを確認し、サービス提供表へ実績として記入するまでが、訪問介護の予定・実績管理の流れです。
訪問介護事業所の介護保険請求の流れ
実績まで記載したサービス提供票は、介護報酬の請求の根拠となる重要な書類です。実績から支払いを受けるまでの流れを確認しましょう。
1.ケアマネジャーに1カ月分の実績を報告する
サ責は月末から月初にかけて、1カ月分のサービス実績を提供票の「実績」欄に記入し、ケアマネに提出します。このとき、ケアマネジャーが予定していたサービスと実績に違いがあれば報告しなくてはなりません。正確な情報を報告しなければ、居宅介護支援事業所と訪問介護事業所の実績に齟齬が生じ、正しい請求ができないため注意が必要です。
2.国保連に介護給付費請求書と明細書を提出する
国保連に請求するための請求データを作成し、毎月10日までに提出します。提出書類は「介護給付費請求書」と「介護給付費明細書」の2種類です。介護給付費請求書は、事業所全体の1カ月分のサービス件数や単位数をまとめた請求書、介護給付費明細書はご利用者ごとの介護報酬を請求する書類です。
3.ご利用者負担分の請求書を発行する
介護保険サービスを利用する際には、ご利用者の自己負担額が発生します。ご利用者が支払う費用は所得に応じて1割〜3割の自己負担割合があらかじめ決められており、介護保険被保険者証と一緒に「介護保険負担割合証」が発行されます。介護事業所は、この負担割合証を確認して、それぞれに応じたご利用者負担分を請求します。
また、生活保護を受けている方はご利用者の負担金が発生しません。生活保護の方は、介護費用がすべて公費で賄われるため、福祉事務所から送られる介護券を確認したうえで国保連に請求する必要があります。
4.国保連から支払いを受ける
国保連請求を行ってから事業所が支払いを受けるのは、翌々月末です。ただし、請求内容に不備があった場合は支払いされません。その場合には、正しい請求内容に修正し次月以降に再提出して支払いを受けることになります。
実績管理の注意点
前述の通り、国保連に介護報酬を請求した際に不備があった場合には支払いされず、返戻や保留の扱いになります。
国保連にはケアマネジャーからも給付管理票が提出され、訪問介護事業所が提出した内容と突合しているのです。そのため、そこでもし齟齬が見つかれば、その月は介護給付費が支給されません。その場合、齟齬があった箇所の費用だけでなく、そのご利用者の1月分すべての介護給付費が保留になってしまいます。ミスがあればご利用者への返金や追徴の可能性や、ヘルパーの給料に関わってくるケースもあるので注意が必要です。
効率的な実績管理にはテレッサmobileがおすすめ!
今回の記事では、訪問介護の実績について解説しました。実績報告の重要性についてご理解いただけたのではないでしょうか。
しかし、業務の多いサ責さんにとって、実績報告に係る業務は非常に煩雑で時間の取られる仕事です。
効率的な実績管理には介護ソフトの利用がおすすめです。手書きの実績報告では、どうしてもその都度提出できずタイムラグが発生します。介護ソフトを利用すれば自動的に実績が反映されるので、予定と実績が違っていればすぐに見つけることができます。記録用紙をまとめて提出するといったこともないので、月末を待たずに請求業務にとりかかることができ、サ責業務の負担が軽減できます。
訪問介護事業所が介護ソフトを導入するなら「テレッサmobile」を検討してみてはいかがでしょうか。テレッサmobileは訪問介護事業所に特化した介護ソフトです。サービス実施記録はLINEアプリで報告するので、ヘルパーさんからタイムリーな実績報告が受けられます。
タイムリーな実績報告は特定事業所加算の要件クリアにも役立ちます。
実績管理を効率化し、安定的な事業所運営をするためにも、ぜひ参考にしてみてください。
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特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、居宅介護支援事業所での勤務経験。
介護福祉士、介護支援専門員の資格を活かし、高齢者やその家族、介護現場で働く方々のお役に立てる情報をウェブメディアなどで執筆中。
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