モニタリングとは、介護サービスが計画書に沿って提供されているかを定期的に確認することです。訪問介護サービスの場合は、サービス提供責任者が立てた「訪問介護計画書」に基づいたサービス提供の状況をモニタリングします。ご利用者の状況は日々変化するため、介護サービスにおいてモニタリングは欠かせないプロセスです。
今回は訪問介護事業所でのモニタリング頻度や流れを解説します。実施する際のポイントもお伝えしますのでぜひ参考にしてください。
訪問介護のモニタリングの頻度
訪問介護のモニタリングの頻度は、各事業所の方針やご利用者の状況により異なります。
居宅介護支援のケアマネジャーの場合、要介護の方は1ヵ月に1回以上、要支援の方は3ヵ月に1回以上は自宅に訪問してモニタリングを実施し、記録を残さなければならないと定められています。しかし、訪問介護事業所には明確なルールが定められていません。
ただし、ケアプランの長期・短期目標の有効期間内に最低1回は実施しなければならないとされています。また、サービスの見直しが行われる時や、認定の更新で訪問介護計画書を作成する際にはモニタリングが必要です。一般的には、初回訪問から1ヵ月後に実施し、その後は1ヵ月〜3カ月に1回のペースで実施されています。明確なルールはないものの、モニタリングに関する記録は実地指導でもチェックされるため、定期的に実施すると共に記録に残しておかなければなりません。
高齢者の心身の状況や環境は日々変化しやすいものです。モニタリングを通じてコミュニケーションを取りながら、定期的にサービスの状況を確認することが大切です。
モニタリングの流れ
訪問介護事業所のモニタリングは、サービス提供責任者が行います。ここからは、モニタリングの流れを解説します。
1.情報収集しておく
ご利用者・ご家族に聞き取りをする前に、情報収集をしておくとモニタリングがスムーズです。記録をさかのぼってサービスの利用状況やご様子の変化、ご要望をチェックしておきます。気になる点があり、さらに詳しく様子を確認しておきたい場合には、担当のヘルパーからもヒアリングしておきましょう。モニタリング時に確認すべき要点が整理できます。
1.ご利用者・ご家族に聞き取る
モニタリングで聞き取る内容は以下の通りです。
- 心身の状況の変化
- サービスの実施状況
- サービスの満足度
- 目標の達成度
- 新たなニーズ
- 計画の見直しの必要性
訪問介護ではケアマネジャーのように自宅への訪問が義務付けられているわけではありませんが、モニタリングの際は自宅での聞き取りがおすすめです。ご利用者の心身の状況や自宅内の様子が実際の目で確かめられ、些細な変化にも気づくことができます。
2.モニタリング内容を記録に残す
聞き取った内容は速やかにモニタリングシートにまとめます。記録を残さなければモニタリングを行った証拠にはなりません。実地指導でも、適切なモニタリングが実施できているかどうかは記録で確認します。
訪問介護のモニタリングの書式も決められた様式はありません。そのため各事業所で使いやすいように作成すると良いでしょう。
全国ホームヘルパー協議会のモニタリング訪問記録票の項目は以下の通りですので参考にして下さい。
- 記入日
- ご利用者様の基本情報(氏名・住所)
- 訪問日時
- 面接者(立ち会った家族等)
- 評価者名(サ責名)
- 訪問理由
- 利用者本人・家族等の状況
- サービスの満足度(利用者・家族)
- サービス内容の問題
- 訪問介護員の技術等の問題
- 満足度・サービス内容・訪問介護員に対する利用者本人・家族の意見等
- 訪問介護計画見直しの必要性
- 事業所内カンファレンス開催の必要性
- 見直し、検討内容、今後の方針
- 居宅介護支援事業所へ連絡すべき特記事項
参考:全国ホームヘルパー協議会「サービス提供責任者と介護支援専門員との連携様式」
シートに沿って聞き取りをすると質問忘れを防ぐことができます。記録を通してご利用者情報が再認識でき、サービス向上につなげられるでしょう。
3.ケアマネジャーに報告・相談する
モニタリング報告はケアマネジャーに提出義務はありませんが、毎月のサービス実績を送る際に一緒に提出するのが一般的です。
サ責が作成する訪問介護計画書はケアプランに基づいて作成します。訪問介護計画書とケアプランは常に連動していなければなりません。そのため、モニタリングで心身の状況やニーズに変化があったときはケアマネジャーに報告し、サービス内容を相談します。
サービス内容を変更することになった場合は訪問計画書を更新し、再度内容に同意いただいた上でサービスを開始することになります。
訪問介護におけるモニタリングのポイント
ここからは、モニタリングをより良いものにするために、訪問介護におけるモニタリングのポイントを確認しておきましょう。
関係者にも聞き取る
モニタリングでは、ケアプランに記載されている目標達成に向けて、適切なサービスが提供されるかを確認しなくてはなりません。また、心身の状況に応じてサービスの変更の必要性や新たなニーズを探る必要があります。そのため、ご利用者の聞き取りだけでは情報が不十分な場合があります。ご自身の考えをうまく伝えられない方もいるため、そのご利用者の介護に関わっている方への聞き取りも重要です。
- ご家族などの介護者
- 担当ヘルパー
- ケアマネジャー
- 主治医
- 他に利用している介護サービス担当者(訪問看護・デイサービスなど)
とくに、訪問介護ではご家族がご自宅で介護するうえでの困りごとにも配慮しながらサービス提供しなければなりません。ご家族のご要望をうかがうことも重要なプロセスになります。
訪問介護記録をさかのぼって分析する
ご自宅に訪問して対面で聞き取りをするだけがモニタリングではありません。ヘルパーの記録から、サービス実施状況をこまめに確認することも大切なモニタリングです。
実際にサービスを提供しているヘルパーの記録は大切な情報源です。実施記録から日々の様子の変化を読み取り、気になった場合は直接ヘルパーにヒアリングしましょう。
モニタリングを通して信頼関係を築く
定期的にモニタリングを行うことは、ご利用者やご家族との信頼関係の構築につながります。とくに、普段サ責がサービスに入っていないご利用者であれば、モニタリングの機会がコミュニケーションのきっかけになります。いつも気にかけてもらっているという安心感につながるでしょう。
適切な介護サービスのためにモニタリングは重要
今回の記事では訪問介護のモニタリングについて解説しました。事業所として適切なサービスを提供し続けるためにも、モニタリングは非常に大切なプロセスであることがお分かりいただけたかと思います。
モニタリングをより充実させるためには、日々の記録やヘルパーからの情報提供がカギになりますが、1枚1枚をチェックする作業に追われていませんか?
訪問介護の実施記録をより効率化させるツールとしておすすめなのが、「テレッサモバイル」です。
テレッサモバイルは訪問介護の記録に特化した介護ソフトで、あらゆる年代でなじみのあるLINEアプリを使用して記録するので、ITに苦手意識がある方でも安心して使用していただけます。
記録後はリアルタイムでサービスの報告が受けられるので、サ責はご利用者の変化にすぐに気付き対応することができます。
ご利用者に満足していただけるサービスを提供し続けるためにも、ぜひ導入を検討してみて下さい。
Author Profile
-
特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、居宅介護支援事業所での勤務経験。
介護福祉士、介護支援専門員の資格を活かし、高齢者やその家族、介護現場で働く方々のお役に立てる情報をウェブメディアなどで執筆中。
Latest entries
- コラム2024年10月25日ホームヘルパー(訪問介護員)とは?役割や働き方・魅力を徹底解説
- コラム2024年11月11日訪問介護は依頼を断れない?サービス提供を拒否できる正当な理由とは
- コラム2024年11月11日訪問介護で適用される2時間ルールとは?具体的な事例で解説します
- コラム2024年10月15日【例文あり】訪問介護のモニタリングシートの書き方を解説!