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訪問介護は将来性がない?現状や抱える問題点を徹底解説

訪問介護の将来性について気になっている方も多いのではないでしょうか?

訪問介護に限らず、介護業界と言えば「人材不足」「低賃金」「きつい・汚い・危険の3K」など、負のイメージを抱く方も多いかも知れません。

そこで今回の記事では、介護サービスの中でも特に訪問介護の将来性について解説します。訪問介護サービスの抱える問題についてもお伝えしますのでぜひ参考にしてください。

訪問介護サービスが抱える問題

まずは、訪問介護サービスが抱える問題についてみていきましょう。

少子高齢化による深刻な人手不足

介護業界が全体的に人材不足が深刻であることは周知の事実です。超高齢社会を迎えた日本は令和4年10月1日現在で65歳以上の人口が総人口の29.0%となり、令和25年にピークを迎えると予測されています。

一方で出生数は平成28年から減り続けているため、高齢者を支える若い世代の人口自体が少なくなっています。さらに、若者が介護職に就いたとしてもさまざまな要因から定着しにくいのが現状です。

ヘルパーの高齢化

公益財団法人介護労働安定センターの「事業所における介護労働実態調査 結果報告書」によると、65歳以上の労働者が「いる」と回答した事業所は69.1%でした。うち、訪問介護員が26.3%で最も多くなっています。

また、訪問介護員の平均年齢は以下の通りでした。

年齢職員の割合
25歳未満1.4%
25歳以上30歳未満2.8%
30歳以上35歳未満3.8%
35歳以上40歳未満5.5%
40歳以上45歳未満7.6%
45歳以上50歳未満10.1%
50歳以上55歳未満12.6%
55歳以上60歳未満12.1%
60歳以上65歳未満13.2%
65歳以上70歳未満11.4%
70歳以上13.5%
参考:公益財団法人 介護労働安定センター「令和4年度介護労働実態調査 事業所における介護労働実態調査 結果報告書」

勤務する職員で一番多い年齢層が「70歳以上」で13.5%、ついで「60歳以上 65歳未満」が13.2%と高齢の職員が多くを占めているのがわかります。職員の平均年齢は54.7歳で、50歳以上の職員が6割以上と高齢化しているのが現状です。

訪問介護は主婦の経験を活かして働ける職場であるため、高齢の方でもお元気でまだまだ働きたい方を積極的に採用しているからというのもあるでしょう。

しかし、経験の浅い若いスタッフが働きにくい環境であり、そのために後継者が不足していることは問題です。年齢の高い方が引退すればヘルパー不足がますます加速することが予想されます。

施設介護などに比べて働くハードルが高い

訪問介護のヘルパーとして勤務するには、介護職員初任者研修かその上位の取得が必須です。「生活援助従事者研修」の修了者の場合は、生活援助中心型のサービス提供のみとなり、身体介護が行えません。そのため、施設介護などに比べて働くハードルが高いと感じる方もいるでしょう。

また、訪問介護では自宅にて1対1の介護を行わなければなりません。施設介護のように困ったことがあればすぐに誰かに聞いたり助けてもらったりできる環境ではないため、初心者にはハードルが高く感じてしまいます。緊急事態などが発生すれば、ヘルパー個人に大きな負担がかかってしまいます。それぞれのご自宅の状況に合わせて臨機応変な対応も必要になるでしょう。ご利用者の自宅で勤務するという環境が、訪問介護で働くことに躊躇してしまう要因の一つです。

他の業界に比べるとまだ給料が低い

厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護職員の平均給与は32万円弱でした。経団連による令和3年6月度「定期賃金調査結果」では全産業平均の給与額が39万円強だったことから、介護職員は他の職種の平均より7万円程度低いことがわかります。

処遇改善手当によりだいぶ改善されつつあるものの、介護士の給料はまだ他の業界に比べると低いのが現状です。体力的にも精神的にもハードな仕事の割には、給料が見合わないと感じる方も多いかも知れません。

参考:厚生労働省 令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果
参考:一般社団法人 日本経済団体連合会 2021年6月度「定期賃金調査結果」を発表

基本介護報酬が引き下げられた

2024年4月1日に改定された訪問介護の基本報酬では、特別養護老人ホームなど多くの施設や事業所の基本報酬が上がる中、訪問介護の基本報酬が引き下げられました。処遇改善加算の加算率がアップしたり特定事業所加算が見直されたり、さまざまな改正があったため一概には言えませんが、加算が算定しにくい小規模事業所は運営が厳しいものとなります。

基本報酬の引き下げは訪問介護が軽視されているのではないかという意見もあり、大きな波紋を呼んでいます。

2024年度版介護サービスコード表

2024年4月の報酬改定に対応した【全サービス掲載】介護サービスコード表です。

倒産する事業所が増えている

東京商工リサーチによると、2023年の訪問介護事業者の倒産件数は2023年12月15日までで60件でした。これは過去最多の倒産件数です。

倒産の要因はそれぞれですが、物価高やヘルパーの人手不足などがあげられます。最近ではとくに大手企業や異業種からの参入などで競争が激しくなり、小規模な事業所が勝ち残るのが厳しい状況です。そこにきて、基本報酬の引き下げがどう影響するのか不安視されています。

参考:東京商工リサーチ「2023年の「訪問介護事業者」倒産が 60件に急増  ヘルパー不足や物価高、競合で過去最多を更新」

訪問介護の将来性

ここまでの解説で、訪問介護の将来に不安を感じた方も多いかも知れません。ここからは、将来性についても目を向けてみましょう。

少子高齢化によりますます需要が高まる

超高齢社会の進行により今後も高齢者の人数は増え続けることが予想されています。さらに少子化により働き手が不足する中、訪問介護の需要は高まる一方です。人材不足が深刻な介護業界にあって、あえて介護職を選んで働いていること自体が社会貢献になります。

訪問介護は、最期まで住み慣れた自宅で自分らしく過ごしたい方の望みを叶えることができる仕事です。経験を通して多くのことが学べ、やりがいにもつながるでしょう。

キャリアアップが目指せる

介護の仕事は、年齢・性別・学歴に関係なくキャリアアップが目指せる職業です。現場で実務経験を積むことで介護の資格の中でも唯一の国家資格である、介護福祉士試験にもチャレンジできます。

サービス提供責任者に昇格すれば、ご家族対応やヘルパーの管理・計画書の作成・請求事務など仕事の幅が広がり、多くの知識やスキルが身につきます。サービス提供責任者の仕事を通して介護保険制度や介護報酬請求についてなどにも詳しくなれるので、ケアマネジャーへのキャリアチェンジにも有利です。

年齢を重ねても活躍できる

前述の通り、訪問介護で働く方は年齢層が高く、体力的に問題がなければ高年齢でも積極的に採用してもらえます。ヘルパーの高齢化は問題でもありますが、逆に言えば年齢を重ねてからも仕事が続けられるのはメリットです。

訪問介護の家事援助などは、これまでの家事の経験や人生経験がとても役立ちます。ご利用者やご家族と年齢が近いことにより、話がしやすかったり思いをくみ取りやすかったりもします。

年齢を重ねているからこそ、自分の強みを活かしながら長く働くことができるでしょう。

女性が活躍できる

介護の仕事は女性が活躍できる職場です。特に訪問介護は家事援助が必要なため、主婦の経験が豊富な方が重宝されることもあります。

また、フルタイムで働くことは難しいけれどスキマ時間で仕事をしたい方であれば、登録ヘルパーとして希望の時間帯で働くことも可能です。自分のライフスタイルに合わせて勤務できるため、家事に育児に忙しい世代の女性には働きやすい環境が作れるでしょう。

国が処遇改善に取り組んでいる

国は、介護人材の確保に取り組むべく処遇改善に取り組んでいます。

2012年には介護職員の賃金を改善するために「介護職員処遇改善加算」の制度がスタートしました。介護職員処遇改善加算は、介護サービスの利用料に上乗せして請求する形で介護報酬をアップさせ、得られた利益を介護職員の給与に反映させる仕組みです。

また、2019年10月からは、経験や技能がある介護職員の処遇改善を行う目的で「特定処遇改善加算」、2022年10月の介護報酬改定(臨時改定)では、介護職員等の月額の賃金を引き上げる目的で「介護職員等ベースアップ等支援加」が創設されています。

処遇改善を目的とした加算にはそれぞれに対して要件が設けられており、その要件を満たすことができない事業所は取得することができません。そのため、2024年度の改正では3種類が「介護職員等処遇改善加算」として一本化することにより取得しやすく改善され、加算率も引き上げられました。

事業所は加算を取得するために、働きやすい職場環境を整える必要があります。処遇改善加算を取得している職場では働きやすい環境が整えられ、さらに給与アップすることが期待できます。

ICTの導入が進められている

人材不足が深刻な介護業界ではICTの導入が積極的に進められており、令和3年にはICT化にかかる費用を厚生労働省が補助する補助金制度も整備されました。

訪問介護におけるICTの活用事例には以下のようなものがあります。

  • 介護ソフトの導入
  • 記録や情報共有のシステム化
  • チャットツールの利用
  • センサー・カメラなど見守りシステム

新型コロナウイルスの感染拡大により感染症対策が強化され、テレワークも一気に広がりました。介護業界でもICTを積極的に導入し、働きやすい環境づくりが進められています。

AIの普及によりさまざまな仕事が奪われてしまうといった話もありますが、介護の仕事はロボットにすべて奪われてしまうということはありません。介護の仕事は細やかな気遣いや心のケアが大切な仕事だからです。ただし、介護の仕事を助けてくれる重要なツールにはなり得ます。ICTをうまく活用しながら、職員が働きやすい環境改善が進められています。

安心して働ける環境づくりを

今回の記事では訪問介護の将来性について解説しました。訪問介護は、年齢を重ねて介護が必要になってもご自宅で生活されたい方の生活をサポートする役割があります。超高齢社会によりたくさんの課題に直面しているため心配は尽きませんが、これからもなくてはならない大切な仕事です。

事業所としては、安定した事業所運営のため、何よりも人材確保が大切です。ヘルパーさんが気持ちよく仕事が続けられる、働きたいと思える環境づくりを考えていきましょう。その一環として、ヘルパーさんの負担を軽減するために、介護ソフトの導入を検討してみるのも対策の一つです。

テレッサモバイル」なら日々の実施記録の入力を簡単に行うことができ、LINEで送信するだけでサ責にサービスの実施が報告できます。実施記録を事業所に提出しにいかなくても良いのでヘルパーさんや、実施記録のチェックを行うサービス提供責任者の方の負担が大きく軽減します。

忙しくてなかなかスタッフの労働環境を整えることができていない、忙しくて加算の対応ができていない事業所は、これからの事業所の運営のためにも、「えいやっ」の時間が必要かもしれません。

何から始めたらいいかわからない、アドバイスが欲しいという方は、ぜひお気軽に「テレッサモバイル」にご相談ください。

IT技術をうまく活用しながら安心して働ける環境づくりを目指していきましょう!

また、特定事業所加算取得サポートもオプションで受けることができます。しっかりと対策をして、今後の事業所運営を安定させていきましょう!

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tomo
tomo
特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、居宅介護支援事業所での勤務経験。
介護福祉士、介護支援専門員の資格を活かし、高齢者やその家族、介護現場で働く方々のお役に立てる情報をウェブメディアなどで執筆中。