「環境整備」とは文字通り環境を整え備えること。介護業界においてもよく聞く言葉ではないでしょうか。
介護業界における環境整備は、ご利用者の生活スペースを整えるだけの意味ではなく、スタッフの働きやすい体制を整えることなど幅広い環境の整備を意味します。
今回の記事では、介護業界における環境整備の取り組みについて解説します。環境整備の意味や環境整備がもたらすメリットについて説明しますので、ぜひ参考にしてください。
介護業界における環境整備とは
ビジネスシーンで使われる「環境整備」という言葉は、働く環境を整えることを指します。オフィスのほか製造業や建設業の職場などでも、環境整備を徹底することが掲げられています。
職場における環境整備はただ単に整理整頓したり掃除したり清潔を保つだけが目的ではありません。仕事を効率化して組織の生産性をあげるためにさまざまな環境整備が行われています。
介護現場では、スタッフの職場環境というよりはご利用者の生活空間を清潔にし快適なものに整える作業について環境整備という言葉がよく使われています。
これは近代看護教育の母としても有名なナイチンゲールが、患者さんの療養生活のため環境整備は看護師の大切な責務であると説き、看護の現場で大切にされてきたからです。介護の現場でも同様に、高齢者の健やかな生活のためには環境整備が重要です。
介護現場における環境整備の取り組みを考える際には、職員の働く環境とご利用者の生活空間の両方を大切にしなければなりません。
環境整備3つの基本
ビジネスシーンにおける環境整備は「物」「人」「情報」3つの基本があります。これは、介護現場でも当てはまるものです。環境整備3つの基本を確認してみましょう。
1.「物」の環境整備
物の環境整備とは基本的に物の整理整頓や清潔を指します。効率よく快適に仕事をするためには、物を整理して決まった場所に配置し仕事に集中できる環境作りが大切です。
普段使用するものが定位置になかったり物で散らかっていたりすれば、必要なものを探す手間が発生します。必要なものとそうでないものを整理し「不要なものは処分」「使ったあとは定位置に戻す」が基本です。
スタッフルームが備品や書類で溢れていると、掃除機がかけにくかったり拭き掃除がしにくかったりします。普段から整理整頓を心がけ、掃除や消毒がしやすい状況に整えておくことが大切です。
2.「人」の環境整備
人の環境整備とはマナー・挨拶・身だしなみなどの基本的なことを一人ひとりが身につけて、気持ちよく働くための環境作りです。気持ち良い挨拶や返事を心がけて礼儀を正し、時間やルールを守るといった社会人として基本的なことの徹底が重要になります。
職員同士のコミュニケーションが取りやすく、報告・連絡・相談を円滑にできる職場の雰囲気作りや、ハラスメントやいじめがない風通しのよい環境を作ることなども当てはまります。
介護現場は特に日々の業務においてチームプレイが大切な職場です。コミュニケーションが滞ってしまえば、ご利用者の事故やクレームにつながってしまう危険性もあります。人と人との関わり合いが大切な介護現場においては人の環境整備には大きな意味があります。
3.「情報」の環境整備
職場では情報が至るところに散乱しているため、情報をまとめて整理し共有できる環境を整えることが大切です。
介護現場はシフト勤務で動いており、毎日1人のご利用者に対して複数のスタッフが関わります。そのため、誰が関わっても同じ対応ができるようにご利用者の情報をわかりやすく集約しておかなければなりません。
ご利用者の情報のほかにも職場のルールや介護のノウハウなど、さまざまな情報を共有することによりスムーズに業務が行えるようになります。
介護業界の環境整備の取り組みによるメリット
介護現場で環境整備に取り組むメリットを確認してみましょう。
感染症のリスクを軽減する
共有部分やご利用者の居室をこまめに掃除や消毒を行い、環境整備を徹底することは感染症のリスクを軽減します。
多くの人が利用するリビング・トイレ・浴室などの共用部分、手すりやエレベーターなど手に触れる機会が多い場所は徹底した感染症対策が必要です。また、スタッフが利用する事務所や休憩室を整理整頓したり、共有するパソコンや電話をこまめに消毒する作業も重要です。
普段から整理整頓できている環境であれば、掃除や消毒がしやすくなります。まずは整理整頓を基本として、掃除や消毒がしやすい整った環境を常に心がけておくのが大切です。
事故を予防する
共有部分や居室などの整理整頓ができていなければ、ご利用者が移動時に足を引っ掛て転倒する恐れがあります。また、事故の原因で多いのが「移動する時に必要な車椅子や歩行器などが近くになかった」「使用したいものが手元になかった」など、ご利用者の生活環境が整えられていなかったことが原因となる事例です。
ほかに、認知症の方にも環境整備が重要です。異食してしまうものが身の回りにないか、徘徊のある方が誤って施設を出てしまうリスクはないかなども確認しなければなりません。
介護の現場ではご利用者の心身の状況に応じて安全に生活できる環境整備を適切に行うことが事故予防につながります。
快適に過ごす空間が作れる
介護施設はご利用者の生活の場です。環境整備により快適に過ごす空間作りが実現します。
ご利用者が快適に過ごせる空間の一例は以下の通りです。
- 整理整頓された空間
- バリアフリーが配慮されている
- 快適な室温や湿度
- 不快な匂いがしない
- 換気がされている
- 音がうるさくない
- 季節が感じられる掲示物や飾り
生活する場所であることを意識し、ご利用者の立場に立って環境を改善することが大切です。認知症の方が不穏にならず、落ち着いて生活できる効果も期待できます。
スタッフ業務が効率化できる
スタッフのデスク周りが散らかっていれば業務の効率が低下するのは想像に難くないでしょう。これまで説明してきたとおり、環境整備はスタッフの業務を効率化させるメリットがたくさんあります。
スタッフルームの環境整備では書類の整理に頭を悩ますケースも多いのではないでしょうか。書類整理の悩みを解決するのが情報のペーパーレス化です。介護ソフトを導入してペーパーレス化すれば事務所が書類で溢れることがありません。過去の書類を保管する倉庫のスペースも必要なくなります。
介護記録にかかる時間を短縮したり、情報共有がしやすくなったりするのもメリットです。印刷にかかるコストも削減できます。
離職率が低下する
スタッフが働きやすい環境に整えることで離職率の低下が期待できます。
例えばスタッフが働きやすい勤務形態を検討することです。残業を減らすようにしたり柔軟に働けるシフトを準備したり、労働環境を改善し整備すると家庭の事情で働きにくい方なども仕事が続けられるようになります。
スタッフがそれぞれスキルアップできるような支援体制を整える取り組みも、モチベーションを維持しながら働き続けられるサポートの一つです。
また、スタッフ同士の風通しがよくなるような工夫をすれば、ストレスなく気持ちよく勤務できる環境が整えられます。
介護業界では人手不足で悩んでいる施設や事業所が多いものです。スタッフが気持ちよく働けるきれいな職場環境はもちろん、労働環境を整える取り組みで離職率の低下が防げるのは大きなメリットになるでしょう。
テレッサモバイルで環境整備に取り組もう
今回の記事では、職場の環境整備について解説しました。環境整備と言ってもその範囲は広くさまざまなことが当てはまります。
スタッフのための環境整備としてペーパーレス化を行うことで業務の効率を上げることをお伝えしましたが、テレッサモバイルは「介護記録」をペーパーレス化するためにお役立ていただけます。
介護記録をペーパーレスにすることで、スタッフは直行直帰が可能になり、サ責もネット環境のある場所であればいつでも介護記録のチェックが可能になります。こうした環境が整うことで、離職率を下げたり、スタッフの満足度を上げることができるようになるのです。
また、現在介護記録の保管場所として使用している場所が空き、有効活用できるという面でも「環境整備」に役立ちますよね。
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特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、居宅介護支援事業所での勤務経験。
介護福祉士、介護支援専門員の資格を活かし、高齢者やその家族、介護現場で働く方々のお役に立てる情報をウェブメディアなどで執筆中。
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