
訪問介護の現場では、サービス提供だけでなく、ケアプランの確認、シフト調整、記録作成、実績報告など、事務作業が占める割合も大きいことが特徴です。特にサービス提供責任者(サ責)や管理者は、「業務改善をしたい」「スタッフ教育に時間を割きたい」と思いながらも、日々の事務作業に追われて手が回らないという声が多く聞かれます。
訪問介護事業所にとって、記録アプリの導入は業務改善の大きな助けとなります。スマートフォンやタブレットを使用することで、介護記録の作成や報告がリアルタイムで行えるようになり、事務作業の負担が大幅に軽減されるのです。
この記事では、「訪問介護の業務改善」をキーワードに、記録アプリの導入によって事務負担を軽減し、現場の生産性とサービスの質を高める方法を詳しく解説します。
訪問介護の業務改善が進まない理由
訪問介護の業務は多岐にわたり、事務作業に携わる職員は残業が多い傾向にあります。業務全体の効率を上げ、改善したいと思っていても、そもそも業務改善の方法や手段を考える時間がないということは多いのではないでしょうか。
業務改善を考えるうえで最も有効なのは事務作業のICT化ですが、介護業界もICT化が進んできている一方で、他の業種と比べるとまだまだ遅れている業界でもあります。
その理由として、財源の厳しさや職員の高齢化なども大きな要因です。ICT化するためにはある程度の予算が必要となるほか、高齢スタッフが使いこなせない、スタッフの反対があるなどが理由でICT化に踏み切れない事業所も多いのです。
訪問介護の業務改善が進まない理由を具体的に見ていきましょう。
費用面への不安
- 導入コスト、ランニングコストが負担に感じる
- 費用対効果が見えにくい
ICTやアプリへの抵抗感
- 高齢の職員が多く、スマホやタブレットの操作に不安を感じている(反対がある)
- 「紙の方が慣れている」「新しいツールは難しそう」という心理的ハードルがある
人手不足による余裕のなさ
- 慢性的なヘルパー不足により、業務改善に取り組む余裕がない
- 改善活動よりも「目の前の訪問をこなすこと」が優先されがち
改善の成果が見えにくい
- 業務改善の効果を数字に表しにくく、メリットを感じにくい
- 現場のスタッフにとっては一時的に負担がかかり、改善していると感じられにくい
事業所全体としてはICT化により業務効率が上がると感じていても、現場スタッフには「慣れたものを変える大変さ」ばかりが表面化してしまい、スムーズに受け入れられない傾向もあります。
また、業務効率というものは数字に表しにくいため、費用対効果を実感しにくく、ICT化に踏み切れない事業所も多くあります。
こうしたことから、訪問介護の業務効率がなかなか進まないということが起こっているのです。
訪問介護の業務改善の第一歩は“記録業務の効率化”

訪問介護事業所で業務改善を進めるには、まず、介護記録業務の効率化が不可欠です。介護記録はサービスの証明・請求の根拠・情報共有の基盤となるものですが、その数は膨大で、事業所全体の事務作業の負担割合が大きいものでもあります。
事務作業の負担が大きい部分を効率化することで、他の業務にも余裕が生まれます。
介護記録の課題(紙の場合)
- 記録自体に時間がかかる
- 提出のために事務所に立ち寄る必要がある
- 膨大な量の介護記録を1枚ずつ目視でチェック
- 保管スペースの確保が必要
- 情報共有に時間がかかる
- 記録ミスや漏れが発生しやすい
さらに、手書きの介護記録は、読みやすさに差があったり、誤字脱字が起きやすい、記入時に漢字や単語が思い出せずに時間がかかってしまうなどの課題もあります。
こうしたことから、ヘルパー自身も介護記録に苦手意識を持っていたり、記録やチェックを「面倒」だと感じてしまうということもあるのです。
訪問介護の業務改善のために記録アプリを導入するメリット
訪問介護事業所において記録アプリを導入することで、前述のような介護記録に関する課題を改善することができます。
記録アプリ導入のメリット
- リアルタイムで報告が可能になり、直行直帰が可能
- サ責が即時に記録を確認・指示できる
- 音声入力や漢字変換など、記録がスムーズに行える
- 保管スペースが不要になり、検索も簡単
- 情報共有がスムーズになる
業務効率は数字に表しにくいものではありますが、例えば、ヘルパーが記録の提出のためだけに移動時間が30分かかっていたとすると、その時間は不要に。
記録に10分かかっていたものが5分で入力できるようになるとすると、これまでの半分の時間になるなど、数字として見える部分も多くあります。
訪問介護事業所は介護記録に関する業務にかけている時間が多いため、記録アプリを導入することは業務改善の肝と言っても過言ではないでしょう。
記録アプリ導入のポイント|失敗しないためのコツ
訪問介護事業所が記録アプリを導入する際には、以下のポイントを押さえることでスムーズに業務改善が進みます。
1. 小さく始めて徐々に広げる
- まずは介護記録部分だけICT化
- 慣れてきたら報告・連絡・シフトなどにも展開
- 紙との併用期間を設けてスムーズに移行
記録アプリには、その他の業務が機能として付随しているものも多くあります。しかし、いきなり複数の業務をICT化しようと思っても、スタッフの教育や費用の面などを考えるとかなり大変です。
結果、もう少し先でいいかなと感じて今に至るという事業所も少なくありません。
「どうせやるなら」と考えがちですが、まずは一番手間や時間が取られている介護記録業務の部分だけをICT化することに集中すると、スタッフの混乱も最小限に抑えられスムーズです。慣れてきたら別の業務にも広げていきましょう。
2. 操作研修とサポート体制の整備
- 高齢スタッフには操作説明を丁寧に
- マニュアルや動画でのサポートがあると安心
- 導入前にスタッフの不安をヒアリングしておく
導入時の教育は、忙しい介護事業所にとって大きなハードルとなります。また、スタッフによってはシステムへの拒否反応が強いこともあるでしょう。
十分なお試し期間があるシステム、サポートが充実しているシステムを選ぶことをおすすめします。
3. セキュリティ対策の確認
- 個人情報を扱うため、暗号化やアクセス制限が必須
- 法人向けLINEや専用アプリの利用で安全性を確保
介護事業所は多くの個人情報を取り扱います。紙とは違った面でのセキュリティ対策が必要になりますので、しっかりと確認し、教育も徹底しましょう。
訪問介護の業務改善におすすめのアプリ

訪問介護の業務改善におすすめなのが、「テレッサmobile(モバイル)」です。
介護記録「テレッサ」でお馴染みのキャプスが販売している、介護記録に特化したシンプルなシステムです。
スマホでサクサク活用!テレッサmobile
テレッサmobileは、幅広い年齢層で利用されているLINEを使って、介護記録の報告が行えるシステムです。
紙の介護記録と同じように所定のフォーマット欄にチェックを入れていくだけで業務報告が行えるため、日々の負担を軽減できます。
また、苦手意識を持つスタッフも多い「申し送り」は、テンプレート機能があるため、よく使う文章をあらかじめ登録しておくこともできます。
さらに、システムに抵抗があるスタッフが在籍する場合は紙との併用もでき、1年間は記録用紙が無料でもらえるサービスも行っています。(※年間冊数には制限あり)
テレッサモバイルの主な特徴
- LINEで記録を入力・送信
- サ責がリアルタイムで確認・指示
- 申し送りはテンプレートでミスや漏れを防止し効率UP
- 紙の記録と併用できる設計で安心(1年間は専用記録用紙の無料プレゼントもあり)
- 慣れてきたらシフトなどの機能がついたバージョンに切り替え可能
- IT導入補助金対象ツール
このほか、テレッサを安心して使えるよう「遠隔サポート」「電話サポート」「LINEサポート」の3つのサポート体制が整っていることもおすすめポイントです。
検討中の方必見!最大2ヶ月無料のお試しあり
テレッサmobileには「ストレージ版」と「ベーシック版」の2つの料金プランが設定されています。
まずは介護記録に関する業務をシステム化したい場合にはストレージ版がおすすめです。
さらにシフト確認やケアプラン管理など、特定事業所加算取得にも役立てたい場合にはベーシック版が便利でしょう。
同アプリは最大2ヶ月無料で試せるため、検討中の方はまず無料でシステムを導入して運用してから決めていくことをおすすめします。
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訪問介護事業所におすすめのグッズ

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介護用語や研修記録のページなど、ヘルパーさんの日常業務に活用できる情報満載のヘルパー手帳です。
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投稿者プロフィール

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5年にわたり祖母の介護を経験。その経験を元に、介護の世界へ。
現在はライターとして介護の記事を中心に執筆中。
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