介護のDX化が推進されている中で、以下のような悩みやニーズを持っている方は多いのではないでしょうか?
- 「介護事業所のDX化を進めたいけど、どのようにすればいいかわからない」
- 「実際にDX化を進めている事業所の事例を知りたい」
- 「DX化は進めたほうがいいの?」
介護現場のDX化にはさまざまなメリットがありますが、導入する際の注意点がいくつかあります。
本記事では、介護現場におけるDX化の事例を5つ紹介します。DX化を推進するメリットや注意点も紹介しているので、ぜひ参考にしてください
介護事業所のDX化事例5選
以下5つの介護事業所のDX化事例を紹介します。
- 介護記録にLINEを活用し業務を効率化(仁道株式会社)
- 保管書類のペーパーレス化(訪問介護すばる)
- 介護事業所の生産性を向上(茨城県大子町)
- 見守りカメラによる転倒事故の減少(社会福祉法人白秋会)
- 介護ロボット導入による疲労感の軽減(社会福祉法人平成福祉会)
事例の詳しい内容を見てきましょう。
1.介護記録にLINEを活用し業務を効率化(仁道株式会社)
当社で取り扱う「テレッサモバイル」を導入していただいた事例です。テレッサモバイルは、LINEアプリを導入し、介護記録やシフト管理などの効率化を図れるDXツールです。
有料老人ホームを運営する仁道株式会社様では「テレッサモバイル」を導入し、介護記録の業務効率化に成功しました。
とある70代の職員も、はじめは入力作業に時間を要していましたが、今では何件もの介護記録をスムーズに打ち込めるようになり、DX化のメリットを実感しているようです。
2.保管書類のペーパーレス化(訪問介護すばる)
2つ目も「テレッサモバイル」の導入事例で訪問介護すばる様から感想をいただきました。新しいツールを導入するため、当然慣れるまでは時間がかかりましたが、確実に介護記録の効率化につながったとのことです。
また介護記録をツール内で管理できるようになったため、ペーパーレス化につながり、保管書類に必要なスペースの削減に成功しました。
DX化により印刷にかかる費用も減り、コスト面でもメリットをもたらしてくれます。
3.介護事業所の生産性を向上(茨城県大子町)
高齢化が進んでいる茨城県大子町では、町と介護のベンチャー企業が協力して、介護事業所のDX化を推進し生産性の向上に取り組んでいます。
内容は、介護事業所ごとの課題を分析し、それぞれに必要なDX化を見極め支援するプロジェクトです。
また介護事業所以外にも、自宅でひとり暮らしをしている高齢者に対して、見守りロボットをはじめとしたDX化の推進にも積極的に行っています。
4.見守りカメラによる転倒事故の減少(社会福祉法人白秋会)
社会福祉法人白秋会では、以下のような機能がある見守りカメラを導入し、さまざまな効果につながりました。
- センサーによる起き上がりや離床の感知
- ナースコールとの連動
- 録画機能による振り返り
機器の性能だけに頼るのではなく、見守りカメラを導入することで、見守りの重要性や転倒転落事故などに対する職員の意識が高まる結果となりました。
DX化が利用者の安全や負担軽減だけでなく、職員の意識改革にもつながった事例です。
5.介護ロボット導入による疲労感の軽減(社会福祉法人平成福祉会)
社会福祉法人平成福祉会では、「SASUKE」という移乗介助をサポートしてくれる介護ロボットを導入しました。
移乗介助をロボットにやらせることに否定的な意見もありましたが、実際に導入し使用方法をマスターすることで、職員の負担軽減につながりました。
これまで2人で介助していた利用者を1人で行えるようになったことで、残業の削減にもつながった成功事例です。
介護事業所がDX化に取り組むべき理由・メリット
介護事業所がDX化に取り組むべき理由・メリットは、以下の5つです。
- 感染症対策になる
- 職員の負担軽減になる
- 利益の拡大につながる
- 制度変更に対応しやすくなる
- 介護サービスの質の向上につながる
それぞれ詳しい内容を見ていきましょう。
感染症対策になる
介護ロボットを導入したり、見守りカメラを活用するようなDX化により、利用者との接触回数を減らすことで、人から人に移る感染症のリスクを軽減できます。
今後も新たなウイルスが発生する可能性がある中で、今のうちに介護のDX化を進めていくことは、将来のリスクマネジメントにもつながるでしょう。
職員の負担軽減になる
見守りカメラやセンサー導入による利用者確認の軽減や、移乗介助ロボットの活用による介助の負担軽減など、DX化はさまざまな面で職員の負担を軽減してくれます。
DX化によって機械に任せられる業務は積極的に移行し、利用者とのコミュニケーションや入浴介助など、職員にしかできない業務の質を向上させることにもつながります。
利益の拡大につながる
DX化に向けて必要不可欠な取り組みが、ITテクノロジーの積極的な活用です。
経済産業省のDXレポートに登場した「2025年の壁」、これはITテクノロジーを活用しない法人は、活用している法人と比べて収益に差が出ることを表したものです。
介護事業所の業務を効率化させ、企業の利益を拡大させるためにも、DX化は必要不可欠と言えるでしょう。
参考:経済産業省の「2025年の崖」について分かりやすく解説|株式会社 日立ソリューションズ・クリエイト
制度変更に対応しやすくなる
介護事業所がDX化を進めることで、介護保険制度の変更に対応しやすくなるメリットがあります。たとえば、以下のような制度変更への対応です。
- 利用者の負担割合の変更
- 介護サービスの併合や新たなサービスの創設
- 介護職員の処遇改善加算の追加や一本化
このような制度変更があった際、紙の書類で対応するよりもITテクノロジーを活用したほうが効率的に作業できます。
介護事業所専用のソフトを導入しておけば、制度変更時もアップデートをするだけで効率的に対応しやすくなることも期待できるでしょう。
介護サービスの質の向上につながる
DX化は介護職の意識を改革し、介護サービスの質の向上につながります。サービスの質が向上すれば、利用者の満足度も上がり介護事業所として価値も高まるでしょう。
またサービスの提供不可欠なケアプランの作成でも、利用者のニーズや課題をDX化により見える化することで、より最適なケアプランを立てやすくなる効果も期待できます。
介護事業所のDX化への課題とは?
介護事業所のDX化に取り組む際、以下のような課題があります。
- DX化に詳しい職員がいない
- 予算が足りない
- 費用対効果を予想しにくい
それぞれ詳しい内容を解説します。
DX化に詳しい職員がいない
DX化を進める中で、まず直面するのがDX化に詳しい職員の不足です。日本ではITに精通した人材自体が不足しており、介護事業所のDX化推進に向けても、DX化に必要な人材を獲得しにくい可能性があります。
まずは簡単なツールを導入したり部分的に進めたりして、徐々にDX化に慣れていくことが大切です。
費用はかかりますがmDX化に特化した企業に委託して、効率的にDX化を進めるのも一つの方法です。
予算が足りない
DX化を進めるためには、どうしても費用がかかりますが、予算が足りずにDX化を諦めざるを得ない事業所もあります。
DX化に向けた予算が足りない場合は「ICT導入支援事業」を活用し、国から補助金をもらうことで、DX化に必要なツール導入を支援してもらえます。
補助を受けられる条件や対象の機器などについては、厚生労働省のホームページを参考にしてください。
費用対効果を予想しにくい
DX化は使用実績や成功事例が少ないため、費用対効果を予想しにくいという課題があります。
介護事業所のDX化を推進する上で欠かせない介護ロボットについては「介護ロボットポータルサイト」の機器の詳細やコラム記事などに目を通すのがおすすめです。
「現在の介護現場の課題は何か?」「どういったDX化が有効なのか?」などを考えながら、費用対効果について考えてみましょう。
介護事業所がDX化に取り組む際の注意点
介護事業所がDX化に取り組む際の注意点は、以下の3つです。
- 事前に事業所全体でDX化の目的を共有する
- 業務スケジュールを見直す
- メリットや感想を言語化する
注意点を理解した上で、効果的なDX化につなげましょう。
事前に事業所全体でDX化の目的を共有する
DX化を進める際は、必ず事業所全体で情報を共有し「なぜDX化をするのか」について周知することが大切です。
DX化はさまざまなメリットがあり便利かもしれませんが、職員一人ひとりが事業所ごとの課題や目的を把握した上で導入しないと、効果を最大限に発揮できません。
DX化を進める段階で、職員会議や日頃の申し送りなどの際に、話し合いを重ねておきましょう。
業務スケジュールを見直す
DX化を推進する中で、職員の業務スケジュールに変化が生じます。たとえば、見守りカメラの導入により、これまで見守りに充てていた時間や職員に余裕が生まれます。
DX化の推進する際は、必ず業務スケジュールの見直しを検討しましょう。
DX化によって空いた時間に、新たな取り組みを入れたり、これまで不足していたサービスを組み込むことで、介護サービスの質の向上にもつながるでしょう。
メリットや感想を言語化する
DX化を推進しても、人によっては効果を感じられない可能性もあります。そのため、DX化を推進している最中は、定期的に導入後の変化や感想、メリットなどを職員同士で話し合いましょう。
職員一人ひとりの意見を定期的に共有することで、それぞれが気付けていなかったいい点や改善点などが明確になります。
介護事業所のDXは部分的にはじめよう!
さまざまな機器の導入により介護事業所のDX化が実現でき、業務の効率化や職員の負担軽減などの効果をもたらします。
しかし、一度に多くのDX化を進めようとしても中途半端になってしまう可能性があります。そのため、介護事業所のDX化は部分的に進めるのが効果的です。
本記事の事例でも紹介した「テレッサモバイル」は、多くの人に馴染みのあるLINEアプリを活用したDXです。介護記録やシフトの管理など、身近な部分からDX化を進められます。
使い方も非常に簡単で、手順に沿って入力するだけなので誰でもすぐに使いこなせます。
実際の使い方や、テレッサモバイルの活用事例は、弊社YouTubeチャンネル「介護・福祉の文具マーケットキャプス」でも紹介しているので、ぜひご覧になってみてください。
Author Profile
- 介護業界16年目の現役介護職。介護リーダーや管理職の経験もあり、現在は地方法人のグループホームに勤務。現在は介護職以外に、介護士の転職メディア「介護士の転職コンパス」の運営や、複数のメディア(介護に限らず)でWebライターとして活動中。主な保有資格は、介護福祉士、介護支援専門員、社会福祉士など。
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