
この記事では、訪問介護の実施記録などを電子化するメリットやおすすめのツールを紹介していきます。
少子高齢化が進む日本の介護現場において電子化は急務であり、平成28年度から厚生労働省も力を入れている取り組みです。
これから電子化を進めていきたい介護サービス事業者の方は記事を参考に導入を検討していきましょう。
厚生労働省によるICT利用の促進

インターネットなどの通信技術を介護の現場で活用することは、平成28年度より厚生労働省も力を入れている取り組みの1つです。
同取り組みはICT(Information and Communication Technologyの略)と呼ばれることも多く、インターネットなどの通信技術を用いて知識や情報を共有することに重点がおかれています。
次のような取り組みが、厚生労働省が支援する介護現場での具体的なICT利用の例です。
- 介護現場でのタブレット端末やスマートフォン機器の導入
- 介護サービスに特化したクラウドサービスの導入
- Wi-Fi機器の購入や設置
- 業務効率化を図るバックオフィスソフトの導入 など
ICT利用を進める目的は、業務の効率化を通じて訪問介護職員などの負担を軽くすることです。
これらのICTサービスを導入する際にはいくつかの要件を満たしていると、地域医療介護総合確保基金より費用のサポートが受けられる場合があるため、各都道府県に問い合わせてみるとよいでしょう。
訪問介護現場でのペーパーレスの取り組み

厚生労働省が公表したデータによると、全国で406件の企業や事業所が令和元年度にICT導入支援事業に参画しています。
導入した機能は情報共有や請求業務の電子化だけでなく、訪問介護の実施記録をペーパーレスにした企業や事業所は180件を超えました。
実際に訪問介護現場で実施記録のペーパーレスを実現したところのデータを見ると7割以上が「書類の量を削減できた」と答えており、「実施記録の保管スペースが不要になった」などの声もあがっています。
一方で、訪問介護の実施記録を電子化する場合には、印鑑での押印の有無が懸念点にあがるという声も少なくありません。
しかし、法律上では印鑑の有無については明言されておらず、必ずしも行う必要はないと考えられています。
そのためICT化を進めていくときには、訪問介護記録と印鑑の関係についても覚えておくとよいでしょう。
実施記録を電子化するメリット

ここからは、前述の厚生労働省のデータを参考に、介護現場での実施記録を電子化するメリットについて見ていきましょう
業務が効率化される
実施記録を電子化するメリットの1つが、業務の効率化です。
たとえば、紙の実施記録の場合は報告業務のために事業所に立ち寄る必要がありましたが、電子化すると現場から報告が行えるため直行直帰が可能となります。
また、既定の電子フォーマットで記録と報告が同時に行えるため、訪問介護の実施記録の書き方について迷うこともありません。
業務の効率化は超過勤務も削減し、職員の負担やストレスの軽減などにもつながります。
転記のミスが減る
実施記録が電子化されると、転記によって発生するミスも減少します。
また、誤字や脱字も減り、内容が充実したと感じる事業所も多いようです。
報告を受ける管理者にとっても、転記ミスが少ない報告書を提出されることで、管理のしやすさを感じるという声もあがっています。
これにより、ケアプランが充実するなど、介護を受ける利用者が得るメリットも増えるでしょう。
情報共有がスムーズになる
実施記録が電子化されると、情報共有もスムーズになります。
同じ事業所内のケアマネージャーや同僚、利用者の家族との連絡だけでなく、他事業所との情報共有もしやすくなったと感じている事業所もあります。
また、電子化された実施記録はリアルタイムで共有できることが多いため、急なシフト変更などにも対応しやすいでしょう。
実施記録を電子化したらデメリットはあるの?

実施記録を電子化するときには、次のようなデメリットや課題に注意しておくとよいでしょう。
- 必要なパソコンの不足など導入コストの課題
- 職員間や利用者家族とのコミュニケーション不足
- パソコンが得意でない職員のフォロー
- 自社に合うツールを導入する
これらの課題は、実際に実施記録を電子化した事業所などからあがったものです。
上記を踏まえると、電子化は職員や利用者家族の利便性を高めるツールであり、コミュニケーションの面では頼りすぎずに活用していくとよいでしょう。
また、初期投資や運用費などのコスト面を含めて、導入するツールは自社に合うものを選ぶことが大切です。
こうした課題を考慮しながらも、実施記録を電子化すれば業務の効率化や管理者の負担軽減など生産性の向上を感じられる場合がほとんどなため、電子化のツールを導入する企業は年々増えています。
次世代の人材確保の面からも、できるだけ早めに電子化を検討したほうがよいでしょう。
電子化をサポートする企業のなかには、システムを本格的に運用する前に無料で試せるところもあるため、実際に使ってみて導入するツールを決めながら本格的に運用するとより安心です。
電子化対応!訪問介護向けのおすすめツール

実施記録を電子化したい方におすすめなのが訪問介護記録アプリの「テレッサmobile(モバイル)」です。
テレッサmobileは幅広い年齢層に親しまれているスマートフォンアプリ「LINE」を使って実施記録や報告がおこなえるアプリです。
そのため、システム導入にあたって人数分のパソコンを用意する必要がありません。
また、同システムは紙との併用も可能なため、電子機器に苦手意識を持つ職員がいる事業所などでも安心して導入がおこなえます。
実施記録に特化したストレージ版と特定事業所加算取得にも対応するベーシック版があり、最大2ヶ月無料でお試しできるため、使ってから利用を検討したい場合にも適しているでしょう。
まとめ
訪問介護の実施記録を電子化すると「業務効率の向上」や「ケアレスミスの削減」、「情報共有のスムーズ化」などのメリットがあります。
こうした負担を減らすことは、職員のストレス削減などにもつながるため、人材確保の面でも効果的です。ぜひこの機会に、実施記録を電子化するツールなどの導入を検討してみましょう。
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5年にわたり祖母の介護を経験。その経験を元に、介護の世界へ。
現在はライターとして介護の記事を中心に執筆中。
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