介護の現場における環境整備とは、一体どこにポイントを置いていけばいいのでしょうか。
本コラムでは、介護現場の環境整備の重要性やメリットなどについて、現役の介護士として活動している筆者が考えてみました。
「介護現場の環境整備はどうすればいいのだろう?」という方は、ぜひ一緒に考えていきましょう。
それでは本題に入っていきます。
介護現場における環境整備とは?
介護現場における環境整備とは、施設であれば 居室、トイレ、洗面所、浴室、キッチン、デイルームなどの清掃や消毒、訪問介護であれば利用者宅の換気、室温、ベッドまわりの整頓や清潔、そしてそれぞれの事業所でのデスク周りなどの整理整頓などにあたります。
つまり、利用者様の居住環境を整えること、そして、スタッフの働く環境を整えることですね。
これらの環境整備を効果的に実施するには、介護職員が同じ認識を持ち、日々の業務のなかに取り入れることが重要です。
しかし具体的に、「なぜ環境性が重要であるのか」ということを深く考えることは少ないでしょう。
ここでは、介護現場の環境整備の重要性と、環境整備を怠ることによる危険性を解説していきます。
利用者様はもちろん、スタッフの安全のためにも重要な内容ですので、ぜひ職場で共有してみてください。
介護現場の環境整備の重要性
介護は利用者様の生活を支える仕事です。そのため、環境整備をしてスタッフの働きやすさを実現することで、より良いサービスを提供することが可能になります。
また環境整備は衛生面でも重要です。職場や利用者様の生活空間を清潔に保つことで、感染症のリスク軽減や心身の健康維持など、関わるすべての人を守ってくれます。
介護現場における環境整備は必要であるということを、スタッフ全員が認識し、利用者様へのサービス向上につなげていきましょう。
環境整備を怠ることによる危険性
続いて、環境整備を怠ることによる危険性について触れていきます。
環境整備で最も注意したいのが、不衛生が原因で利用者様や職員が感染症になることです。最悪の場合、命の危険も考えられるため、改めて環境整備の重要性を認識しておきましょう。
感染源となるウイルスは、トイレや居室などに長時間潜伏し、環境を介して感染します。いわゆる「環境由来の病原体」と言われています。
以下、主な病原体とそれぞれの生存期間の目安です。
ウイルス | 生存期間 |
---|---|
B型肝炎ウイルス | 1週間 |
インフルエンザウイルス | 1〜2日間 |
ノロウイルス | 8時間〜7日間 |
上記の表からも分かるように、各ウイルスは生存期間が長いため、こまめな消毒が重要になってきます。
特にインフルエンザやノロウイルスは、冬場の介護現場で流行する代表的なウイルスで、環境整備の際にアルコールやハイターなどを使い、確実に消毒することが必要になってくるでしょう。
現役介護士が実際にしている環境整備を紹介
続いては、現役の介護士である筆者が、介護の現場で実際に行なっている環境整備を紹介します。結論、以下の3つが主です。
- こまめに掃除をする
- 使ったものは元の位置に戻す
- 共有で使うものはこまめに消毒する
それでは、一つずつ解説していきます。
こまめに掃除をする
「環境整備は清掃から」と言われるように、まずはこまめに掃除をします。具体的には、以下のようなことです。
- ゴミを見つけたらすぐに捨てる
- 利用者さんが食事したあとは掃除前にこぼれたものを先に拾う
- テーブルやデスクの使用前後はアルコール消毒をする
ゴミの種類によってはすぐに拾わないと、床にこびりついてしまう場合もあるので、こまめな掃除は重要です。また、仕事周りのデスクはこまめに掃除することで、次使う人が気持ちよく仕事できるので、結果的に仕事の生産性が上がると考えています。
使ったものは元の位置に戻す
使ったものは元に戻すことを徹底しています。当たり前のことかもしれませんが、介護現場は人手不足で忙しいことが多く、時間に追われることもあります。そのため、使ったものを出しっぱなしにして、それが積み重なり徐々に散らかっていく状況を何度も目にしてきました。
「どうせまた使うんだから出しっぱなしで良くないですか?」という意見を言われたことがありますが、介護はチームで動いているので、物の場所を決めておいて元に戻さないと、どこにあるか分からなくなります。これが一人暮らしの自宅であれば問題ありません。
使ったものは元の位置に戻すことで、間違いなく仕事は効率化します。さらに、整理整頓が継続され掃除がしやすい環境なので、結果的に衛生的にも効果があると言えるでしょう。
共有で使うものはこまめに消毒
共有で使うものは、使用のたびに消毒することを徹底しています。例えば以下のようなものです。
- パソコンやタブレット
- ハサミやホッチキス
- ナースコールの受話器
- 排泄介助用のバッグ
- 使った椅子やデスク上
などです。
筆者の職場では、感染症予防を徹底しており、スタッフ一人一人がアルコールを携帯しながらこまめに手や物を消毒しています。
こまめに行なうことが非常に重要だからこそ、携帯しいつでも消毒できる状態にしており、感染症予防には最適です。ただ、手が荒れやすいというデメリットがあるので、保湿クリームは欠かせません。
介護現場で環境整備をするメリットとは?
最後に、介護現場で環境整備をすることのメリットを紹介します。内容は以下のとおりです。
- 仕事の効率化
- 利用者様のリスク軽減
- 感染症の予防
では、それぞれ解説していきます。
仕事の効率化
前述にもあるように、使ったものは元の位置に戻すことや、主に仕事するデスクの上などを整理整頓することで、仕事が効率化する効果が期待できます。
整理整頓ができていない状態だと物を探すことに時間を取られたり、散らかっている状態にストレスを感じ生産性が低下する可能性があります。仕事の効率化が図れないと、それが利用者様へのサービス低下につながり、事業所としての信頼性にも影響を及ぼすでしょう。
スタッフが働く環境に対する環境整備は、介護職の仕事の効率化のために、非常に重要であることを改めて知っておきましょう。
利用者様のリスク軽減
環境整備によって清掃や整理整頓が行き届くと、利用者様の転倒や異食行為など事故のリスク軽減につながります。なぜなら、物が散乱している状態であれば、導線が確保されにくく利用者様が転倒しやすいと言えるからです。また、認知症の方であれば、何気なく置いていた物を食べてしまうこともあります。
筆者が経験した異食事故は、デスクの上に置いてあった小さなネジを、認知症の利用者様が食べてしまいました。その時はすぐに病院へ行き、特に異常はなくそのまま様子観察となりました。もしこれが内臓を傷付ける物や他の方の薬であった場合、命の危険もあるでしょう。
環境整備の整理整頓は、余計なものは置きっぱなしにしないことが重要です。利用者様の命を守るためにも、環境整備を徹底していきましょう。
感染症の予防
ここまで、環境整備は感染症予防において重要であるとお伝えしてきました。そして、感染症予防のためには、環境整備における整理整頓や清掃などさまざまな具体策を行なうことが必要です。
使った物は元の位置に戻し、余計な書類は削減することで環境整備が行き渡ります。それが清掃や消毒をしやすい状態となり、衛生的な環境を実現してくれます。結果的に感染症の予防につながるというわけです。
環境整備は整理整頓以外にも、清掃や消毒などが必要で、それらを実践することで利用者様やスタッフの負担軽減を図れます。本コラムを読み、環境整備が介護において大変重要なテーマであることを、今一度考えるきっかけになればと思います。
介護現場の環境整備にはテレッサモバイルがおすすめ!
今回は、介護現場における環境整備について解説してきました。介護の現場では、大量の書類が存在し、それらが環境整備を妨げている要因にもなっています。そのため、より環境整備を促進するには、書類の削減が不可欠と言えます。そこで役に立つのが「テレッサモバイル」です。
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- 大量の書類の整理がなくなる
- 記入ミスの修正が不要になる
- 印鑑の捺印作業がなくなる
- 定期的な記録の提出がなくなる
など。
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Author Profile
- 介護業界16年目の現役介護職。介護リーダーや管理職の経験もあり、現在は地方法人のグループホームに勤務。現在は介護職以外に、介護士の転職メディア「介護士の転職コンパス」の運営や、複数のメディア(介護に限らず)でWebライターとして活動中。主な保有資格は、介護福祉士、介護支援専門員、社会福祉士など。
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